リストラが違法・不当な場合はどうする?|不当解雇された場合の対処法

  • 労働問題
弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
リストラが違法・不当な場合はどうする?|不当解雇された場合の対処法

経営難などを理由に、労働者(従業員)を盛んにリストラする企業が増えています。

しかし日本では、会社による一方的なリストラ(整理解雇)は、無効と判断されることが多いです。また、退職勧奨の際にパワハラを受けた場合などには、会社に対して損害賠償を請求できることがあります。

弁護士のサポートを受けながら、不当なリストラに立ち向かいましょう。

1. リストラとは

「リストラ」とは一般に、会社側の都合によって一部の労働者を退職させることをいいます。

経営状態が思わしくない状態の会社は、人件費を圧縮するためにリストラを行うことがあります。しかし日本では、リストラは常に認められるわけではなく、不当解雇として違法と判断されるケースが少なくありません。

(1)リストラの種類

リストラには、会社が一方的に雇用契約を終了させる「整理解雇」と、労働者に退職を促した上で(=退職勧奨)、合意に基づいて雇用契約を終了させる場合の2パターンがあります。

また、会社による以下のような取り扱いも、労働者を自主退職に追い込むことを目的としている場合はリストラの一種と解されます。

  • 正当な理由のない減給、賞与のカット
  • 配置転換
  • 降格
  • 出向
  • 転籍

など

(2)整理解雇の有効性の判断基準

経営状態が悪化した会社が、人員削減などを目的として労働契約を一方的に打ち切ることは「整理解雇」と呼ばれます。

整理解雇は労働者に大きな不利益を及ぼすため、無制限に認められるわけではありません。整理解雇の有効性は、以下の4要件を総合的に考慮したうえで判断されます。

①整理解雇の必要性

整理解雇が真にやむを得ないほど、高度の経営危機に陥っていることが必要です。

②解雇回避努力義務の履行

役員報酬の削減、希望退職者の募集、新規採用数の抑制など、別の手段を尽くしてもなお整理解雇が避けられないといえることが必要です。

③被解雇者選定の合理性

整理解雇の対象者は、合理的な基準を策定したうえで、その基準を合理的に運用して決定する必要があります。

④手続きの妥当性

整理解雇する労働者本人や労働組合に対して説明を尽くし、納得を得るように努めることが求められます。

(3)リストラとその他の解雇の違い

会社による労働者の一方的な解雇には、リストラに当たる整理解雇のほか、「懲戒解雇」と「普通解雇」があります。

  • 懲戒解雇
    →労働者の就業規則違反を理由とする解雇です。就業規則に定められた懲戒事由に該当し、かつ労働者の行為の性質・態様に照らして、懲戒解雇の客観的合理性および社会的相当性が認められる場合に限って行うことができます。
  • 普通解雇
    →解雇のうち、懲戒解雇と整理解雇を除くものです。労働契約または就業規則に定められた解雇事由に該当し、かつ解雇の客観的合理性および社会的相当性が認められる場合に限って行うことができます。

なお、業績が回復するまで労働者を一時的に解雇することは「雇用調整(レイオフ)」と呼ばれることがあります。雇用調整は、法的には整理解雇の一種です。

2. リストラが不当解雇に当たるケース

リストラとして行われる解雇は、整理解雇の4要件に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には無効となります。法的に無効である解雇は「不当解雇」と呼ばれます。

リストラが適法な整理解雇ではなく不当解雇に当たるのは、たとえば以下のようなケースです。

  • 経営状態の悪化がそれほど深刻でないにもかかわらず、労働者を解雇した。
  • 役員報酬の削減、希望退職者の募集、新規採用数の抑制などの措置を事前に講じることなく、いきなり労働者を解雇した。
  • 解雇の対象者を、特に基準を設けることなく人事権者の好き嫌いで選んだ。
  • 労働者本人や労働組合に対する説明の機会を設けることなく、突然労働者を解雇した。

など

なお、名目上は解雇という形をとっていなくても、労働者に対する退職の強要が行われた場合には、法的には解雇と評価される可能性が高いです。その場合は、解雇の客観的合理的理由および社会的相当性が認められないため、不当解雇として無効となります。

また、労働者に対する退職の強要は、強要罪(刑法第223条)として処罰の対象となることもあります。あまりにも悪質な退職強要を受けた場合には、刑事告訴も検討しましょう。

3. 不当なリストラに遭った場合の対処法

会社による不当なリストラを受けた場合に、どのように対処すべきかについて解説します。

(1)不当解雇された場合

会社に不当解雇されたときは、解雇の撤回と復職を主張するのが基本線です。会社が復職を拒否する場合には、裁判所に対して労働審判を申し立てる方法や、労働者としての地位確認請求訴訟を提起する方法も考えられます。

ただし最終的には、会社が割増退職金などの好条件を提示してくれば、合意退職に応じることも選択肢のひとつです。

(2)退職強要やパワハラを受けた場合

会社側が執拗に退職を強要してきたり、退職勧奨の過程でパワハラを行ってきたりした場合には、行為者および会社に対して損害賠償を請求しましょう。

行為者に対しては不法行為(民法第709条)、会社に対しては安全配慮義務違反(労働契約法第5条)または使用者責任(民法第715条第1項)に基づいて損害賠償を請求可能です。和解交渉がまとまらなければ、裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起して争うこともできます。

(3)不当なリストラに遭ったら弁護士に相談を

会社との間でリストラに関するトラブルが発生した場合には、労働問題を得意とする弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すれば、不当解雇の無効主張や損害賠償請求などに関して、会社との交渉や労働審判・訴訟などの法的手続きの対応を代行してもらえます。弁護士が法的な観点からリストラの不当性を主張することで、労働者にとって有利な解決が得られる可能性が高まります。

リストラされたことに納得できない方は、会社と対等に争うため、お早めに弁護士へご相談ください。

非正規社員は解雇されても泣き寝入り!? 非正規社員が解雇されたときにできること

不当解雇の証拠として有効なものと証拠集めが難しい場合の対処法

突然解雇を告げられた……その種類は? 正しい方法・手続きなのか

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年04月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

労働問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す