リストラされても退職金はもらえる? 相場や増額交渉の方法を解説

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
リストラされても退職金はもらえる? 相場や増額交渉の方法を解説

労働者(従業員)がリストラ(整理解雇)された場合、退職金が支払われるかどうかは会社によって異なります。交渉次第で退職金額の増額もあり得るので、早い段階から弁護士のサポートを受けて退職金を請求しましょう。

1. リストラされたら退職金はもらえるのか?

「リストラ」とは、会社側の都合によって一部の労働者を退職させることをいいます。経営状態が思わしくない状態の会社が、人件費を圧縮するためにリストラを行うケースが多いです。

リストラは、会社が一方的に雇用契約を終了させる「整理解雇」による場合と、労働者に退職を促した上で(=退職勧奨)、合意に基づいて雇用契約を終了させる場合の2通りに分かれます。

整理解雇については、労働者が不測の不利益を被る事態を避けるため、4要件(整理解雇の必要性・解雇回避努力義務の履行・被解雇者選定の合理性・手続きの妥当性)の観点から、その適法性が厳格に審査されます。

リストラ時に退職金が支給されるかどうかは、会社によって異なります。

退職金制度が設けられており、支給要件に該当すれば退職金が支給されます。これに対して、退職金制度が存在しない場合や、支給要件に該当しない場合は支給されないのが原則です。ただし退職勧奨を受けている場合には、会社との交渉次第で、退職金制度の有無・内容にかかわらず、退職金の支払いを受けられる可能性があります。

2. リストラ時にもらえる退職金の種類・金額相場・税金

リストラ時にもらえる退職金の種類・金額相場・税金について解説します。

(1)リストラ時にもらえる退職金の種類

リストラ時にもらえる退職金の種類としては、以下の例が挙げられます。会社によって採用している制度が異なるため、就業規則や退職金規程などの内容をよくご確認ください。

①退職一時金

退職金規程等に従って、一括で退職金が支払われます。

②企業年金

一定の年齢に達した日以降、会社の積立金から年金を受け取れます。

③中小企業退職金共済制度

中小企業では、共済制度を利用した退職金制度を設けている場合があります。

出典:「中小企業退職金共済事業本部

(2)リストラ時の退職金額の相場

リストラ時に支払われる退職金額は、従前の賃金額や勤続年数などによって異なりますが、賃金の3か月分から1年分程度が支払われるケースが多いです。

早期退職制度(希望退職制度)を利用して退職した場合には、退職金が増額される例がよく見られます。また、退職勧奨を受けている場合には、会社と交渉すれば退職金が増額されることがあります。

(3)リストラ時の退職金にかかる税金

リストラ時に受け取る退職金に対しては、退職所得として所得税および住民税が課されます。

退職所得については、支給額から退職所得控除を差し引いた上で2分の1を掛けた金額が課税対象となるなど、通常の賃金よりも労働者に有利となる優遇措置が設けられています。

また、退職所得は源泉分離課税とされており、支給時に源泉徴収されて課税が終了するため、他の所得と合算して確定申告をする必要はありません。

3. リストラ時の割増退職金と増額交渉の方法

会社が労働者に対して退職勧奨を行う際には、通常よりも増額された退職金(=割増退職金)を提示してくることがあります。退職勧奨に応じてもらい、解雇に関する厳しい規制を避けつつ円満に退職させることが目的です。増額の幅はケースバイケースですが、賃金の3か月分から1年分程度が増額される例がよく見られます。

労働者としては、割増退職金と引き換えに退職勧奨に応じるかどうかは任意です。また、会社の提示額は絶対ではなく、交渉すれば増額されることもあります。特に、会社が労働者に早く退職してほしいと考えている場合には、ある程度の増額は受け入れられるケースが多いです。

退職金の増額を求めて交渉する際には、会社にとってのメリットを提案すると受け入れられやすくなります。また、強引に解雇すれば争う姿勢を見せることも効果的です。

たとえば、以下のような交渉の仕方が考えられるでしょう。

  • 退職の時期を早めることを提案する
  • 有給休暇を買い取ってもらい、その有給休暇を取得せずに退職することを提案する
  • 未払い残業代など、別の請求を行わないことを確約する
  • 弁護士を代理人として交渉する

など

4. 退職金が正しく支払われない場合は、弁護士に相談を

会社が退職金を正しく支払わない場合には、弁護士に相談しましょう。

会社に対して退職金請求を行う際には、主に以下の対応が必要になります。

  1. 退職金規程などを確認し、請求できる退職金の額を計算する
  2. 会社に対して請求を行い、退職金の支払いについて交渉する
  3. 退職金の支払いを拒否された場合には、労働審判や訴訟などの法的手続きを利用する

弁護士に依頼すれば、これらの対応を一任することが可能です。また、退職勧奨を受けている場合には、退職金の増額を求めて交渉してもらうこともできます。

また弁護士に相談すれば、不当解雇や未払い残業代請求など、退職に関連するその他の労働問題についてもアドバイスを受けられます。弁護士のサポートを受けながら、きちんと準備した上で会社との交渉や法的手続きに臨むことで、有利な解決を得られる可能性が高まります。

退職金に関するトラブルを適切に解決するためには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。退職金について会社と揉めてしまった場合には、お早めに弁護士へご相談ください。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年04月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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