国選弁護人とは? 利用条件とメリット・デメリットを解説
- (更新:2024年01月29日)
- 犯罪・刑事事件
1. 国選弁護制度とは
「国選弁護制度」とは、貧困その他の事由により弁護人を選任することができない被疑者・被告人のために、公費で国選弁護人を選任する制度です。
(1)国選弁護制度の利用状況
2019年の地方裁判所における刑事事件のうち、弁護人が選任されている事件は99.6%に及んでいますが、そのうち85.0%に国選弁護人が選任されています。
(2)国選弁護人の費用は公費で賄われる
国選弁護人の費用は、全額公費で賄われることになっています。したがって、被疑者・被告人やその家族が弁護士費用を負担する必要はありません。
(3)国選弁護人について知っておくべきポイント
国選弁護制度の利用を検討する際には、以下のポイントを知っておきましょう。
①利用条件がある
国選弁護制度を利用できるのは、資力などの利用条件を満たす人に限られます。
②被疑者国選と被告人国選の2種類がある
勾留されている被疑者は被疑者国選、起訴された被告人は被告人国選を利用できます。
③国選弁護人から私選弁護人への切り替えも可能
すでに国選弁護人が選任されていても、被疑者・被告人が希望すれば私選弁護人への切り替えが可能です。
④国選弁護制度を利用できるのは刑事事件のみ
民事事件(損害賠償請求など)については、国選弁護制度を利用できません。
2. 国選弁護制度の利用条件
国選弁護制度を利用できるのは、以下の①②の条件をいずれも満たす方に限られます。
①勾留され、もしくは勾留を請求されている被疑者、または既に起訴された被告人であること(刑事訴訟法第36条、第37条の2)
②以下のいずれかに該当すること
(a)所有する預貯金と現金の合計が50万円未満であること(同法第36条の2)
(b)(a)以外の場合で、あらかじめ弁護士会に対して私選弁護人の選任を申し出たが、弁護人となろうとする者がいなかったこと(同法第36条の3第1項、第37条の2第2項)
(c)必要的弁護事件に当たること(同法第289条)
また、上記以外の場合にも、裁判所の職権で国選弁護人が付されることがあります。
3. 国選弁護制度を利用するメリット・デメリット
国選弁護制度を利用することには、メリット・デメリットの両面があります。デメリットが気になる場合は、私選弁護人への切り替えをご検討ください。
(1)国選弁護人のメリット
国選弁護人の最大のメリットは、弁護士費用が公費で賄われるため、自分で負担する必要がない点です。
また、国選弁護人は裁判所が選任するため、被疑者・被告人は自分で選ぶ必要がありません。弁護士を選ぶのが面倒な場合には、国選弁護制度を利用すれば手間が省けます。
(2)国選弁護人のデメリット気になる場合は私選弁護人への切り替えを
その一方で、国選弁護制度には以下のデメリットがあります。
- 信頼できる弁護士を自分で選べない
- 刑事事件の実績がある弁護士が選ばれるとは限らない
- 選任のタイミングが遅い(逮捕された場合は勾留への移行後、逮捕されていない場合は起訴後)
- 私選弁護人を選任する場合を除き、自由に解任できない
この点、私選弁護人は自分で選べるため、刑事事件の実績が豊富な信頼できる弁護士に依頼できます。また、依頼直後から弁護活動を行ってもらえるため、不起訴となる可能性が高まります。
国選弁護人のデメリットが気になる場合は、私選弁護人としての依頼または私選弁護人への切り替えをご検討ください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年01月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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