私選弁護人と国選弁護人の違いは? 刑事事件における弁護士の選び方
- (更新:2025年01月06日)
- 犯罪・刑事事件

刑事弁護を依頼する弁護士には、私選弁護人と国選弁護人の2種類があります。また、逮捕された被疑者に限り、無料で当番弁護士を呼ぶことも可能です。
1. 私選弁護人と国選弁護人の違い
「私選弁護人」は、被疑者・被告人やその家族が費用を支出して依頼する弁護人です。これに対して「国選弁護人」は、公費によって選任される弁護人です。
私選弁護人と国選弁護人には、主に以下の違いがあります。
(1)選任方法
私選弁護人は、弁護士との間で委任契約を締結して選任します。依頼先の弁護士は、依頼者が自分で選べます。
これに対して国選弁護人は、被疑者または被告人の請求に基づき、裁判官または裁判所が選任します。被疑者・被告人は、国選弁護人を自分で選ぶことはできません。
(2)選任の時期
私選弁護人は、任意のタイミングで選任できます。
これに対して国選弁護人は、被疑者が逮捕されている場合は勾留に移行したあとで、逮捕されていない場合は起訴されたあとで選任できるようになります。
(3)弁護士費用
私選弁護人の依頼費用は、依頼先の弁護士によって異なり、依頼者自らの負担となります。
これに対して、国選弁護人の費用は統一的に定められており、全額公費によって賄われます。
私選弁護人の弁護費用はどのくらい? 払えない場合はどうする?
2. 当番弁護士制度とは
逮捕された被疑者は、私選弁護人または国選弁護人を選任する前の段階で「当番弁護士」を呼ぶことができます。
(1)当番弁護士とは
「当番弁護士」とは、各都道府県の弁護士会に待機し、逮捕された被疑者の求めに応じて接見に行く弁護士です。
逮捕された被疑者は、留置場の警察官を通じて弁護士会に連絡すると、1回に限り、当番弁護士を呼ぶことができます。当番弁護士からは、刑事手続きの流れや取り調べに臨む際の注意点などについてアドバイスを受けられます。
(2)当番弁護士と私選弁護人・国選弁護人の違い
私選弁護人と国選弁護人は、実際に被疑者・被告人のために刑事弁護活動を行います。
これに対して、当番弁護士は無料で呼ぶことができますが、相談できるのは1回のみです。当番弁護士からはアドバイスを受けられるだけで、具体的な刑事弁護活動は行ってもらえません。当番弁護士に刑事弁護活動も行ってもらいたい場合は、私選弁護人として改めて選任する必要があります。
3. 刑事弁護を依頼する弁護士の選び方
刑事弁護を依頼する弁護士を選ぶ際のポイントと、依頼方法を解説します。
(1)弁護士を選ぶ際のポイント
刑事弁護(私選弁護)を依頼する弁護士を選ぶ際には、以下のポイントに注目するとよいでしょう。
①解決実績の豊富さ
刑事弁護の経験を豊富に有する弁護士に依頼すれば、経験を活かして有利に弁護活動を展開できますので、被害者との示談の締結や不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。刑事手続きのスケジュールを踏まえつつ、身柄の早期解放および重い刑事処分の回避につながるように、適切な対応をとってもらえるでしょう。
②相性の良さ・相談しやすさ
刑事事件の被疑者・被告人には、身柄拘束や捜査のプレッシャーが強くかかります。精神的な不安を少しでも緩和するためには、良き相談相手になってくれる弁護士に依頼することが非常に大切です。
弁護士は被疑者・被告人とその家族と頻繁に連絡を取ることになります。相談者の話をよく聞き、理解したうえで、可能な限り早急に対応してくれる弁護士を選びましょう。相談者について理解を示してくれて、不快な態度をとらない弁護士を選択してください。
法律事務所の電話対応や相談対応、すぐに接見してくれるかなどを踏まえて判断しましょう。
③全国対応しているか
刑事事件を起こして逮捕される場所が地元ではない場合は、全国対応の法律事務所をおすすめします。全国にオフィスがある法律事務所であれば速やかに接見が可能です。
④弁護士費用
私選弁護人を探す際には、弁護士費用を必ず確認しましょう。あらかじめ説明がある事務所、詳しくWebサイトなどに記載がある事務所を選ぶと、費用面での不安を解消できます。弁護士によって費用は異なるので、複数の弁護士に相談して比較することも考えられます。
(2)弁護士への依頼方法
弁護士への依頼方法は、私選弁護人と国選弁護人で異なります。
①私選弁護人への依頼方法
法律事務所のウェブサイトなどから弁護士に連絡して相談し、委任契約を締結します。
②国選弁護人への依頼方法
留置場の警察官、または検察官・裁判官に国選弁護制度を利用したいと伝えます。
なお、私選弁護人はいつでも選任できますが、国選弁護人の選任は、身柄拘束の有無・手続きの段階・資力によって請求できるかどうかが異なります。
国選弁護人の選任を請求できるのは、以下の①②の要件をいずれも満たす場合です。
①以下のいずれかに該当すること
- 勾留されている被疑者
- 起訴された被告人
②貧困その他の事由により弁護人を選任することができないこと
上記の要件を満たさない場合は、私選弁護人を選任することになります。たとえば逮捕されている段階や、身柄拘束されておらず起訴前の段階にある場合、資力が一定水準以上の場合には、私選弁護人を選任しましょう。
弁護士の選び方については、以下のコラムもご参照ください。
- こちらに掲載されている情報は、2025年01月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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