刑事事件と民事事件の違い

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刑事事件と民事事件の違い

刑事事件では犯罪の処罰が問題となるのに対して、民事事件では当事者間における請求(損害賠償、貸金の返還、不動産の明け渡しなど)の当否が問題となります。

1. 刑事事件と民事事件の違い

「刑事事件」とは、犯罪が問題となる事件をいいます。たとえば殺人事件・強盗事件・窃盗事件などが、刑事事件の典型例です。

これに対して「民事事件」とは、個人や法人の間で発生したトラブルが問題となる事件をいいます。たとえば損害賠償請求・貸金返還請求・不動産明け渡し請求などが、民事事件においてよく問題となります。

また、交通事故や名誉毀損(きそん)などのように、刑事事件と民事事件の両方に該当し得る事件もあります。

刑事事件と民事事件の主な違いとしては、以下の各点が挙げられます。

手続きの目的

刑事手続きの目的は被疑者・被告人の処罰について決定すること、民事事件の目的は当事者間における紛争を解決することです。

捜査の有無

刑事事件では警察・検察による捜査が行われますが、民事事件では捜査が行われず、当事者が自ら証拠などを集める必要があります。

和解の可否

刑事事件が和解によって解決されることはありませんが、民事事件は和解による解決も可能です。

裁判の種類

刑事事件は刑事裁判(公判手続き・刑事訴訟)、民事事件は民事裁判(民事訴訟)によって争われます。

裁判における当事者

刑事裁判の当事者は検察官と被告人、民事裁判の当事者は原告と被告です。

2. 刑事事件と民事事件の手続きの流れ

(1)刑事事件の手続きの流れ

刑事事件の手続きの流れは、以下のとおりです。

<身柄事件の場合>

①逮捕・勾留

被疑者が逮捕されると、拘置所などで身柄を拘束されます。罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合には、逮捕に続いて勾留が行われます。逮捕の期間は最長72時間(3日間)、勾留の期間は最長20日間です。その間、被疑者に対する取り調べを含む捜査が行われます。

②起訴または不起訴

検察官が、被疑者を起訴するかどうかを判断します。起訴された場合は引き続き身柄が拘束され、不起訴となった場合は釈放されます。

③刑事裁判または略式手続き

正式起訴された場合は、通常の刑事裁判(公判手続き)によって有罪・無罪および量刑が審理されます。一方、100万円以下の罰金または科料を科す場合であって、かつ被疑者に異議がないときは略式手続きも認められています。略式手続きでは、書面審理のみが行われます。

<在宅事件の場合>

①在宅による捜査

被疑者の身柄を拘束せず、在宅のまま警察・検察の捜査が行われます。被疑者は警察署や検察庁に呼び出されて取り調べを受けます。

②起訴または不起訴

身柄事件と同様に、検察官が起訴・不起訴を判断します。

③刑事裁判または略式手続き

身柄事件と同様に、刑事裁判または略式手続きによって有罪・無罪および量刑が審理されます。

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(2)民事事件の手続きの流れ

民事事件の手続きの流れは、以下のとおりです。

①交渉

当事者間で、紛争解決に向けた交渉を行います。損害賠償などを請求する側が内容証明郵便などによって請求書を送付し、それをきっかけに交渉が始まるケースが多いです。

②民事調停・民事訴訟

交渉がまとまらない場合は、法的手続きによる解決を目指します。民事調停は話し合いによる合意を目指す手続き、民事訴訟は裁判所の判決によって紛争を強制的に解決する手続きです。

③強制執行

民事調停や民事訴訟で確定した債務が履行されない場合、債権者は裁判所に対して強制執行を申し立てることができます。強制執行手続きでは、債務者の財産が差し押さえられ、債務の弁済へ強制的に充当されます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年01月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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