自首したい。自首するメリットと流れを解説
- (更新:2024年12月23日)
- 犯罪・刑事事件

何らかの罪を犯すと、警察により逮捕されるリスクが生じますので、その前に「自首」を検討することもひとつの選択肢です。ただし、自首には要件があり、単に警察署に出頭するだけでは、自首が成立しない可能性もありますので注意が必要です。
1. 自首とは
自首とは、どのような制度なのでしょうか。自首の概要とメリット・デメリットについて説明します。
(1)自首とは
「自首」とは、捜査機関に犯罪事実が発覚する前に、自ら犯罪事実の申告を行い、その処分を求めることです。自首と似た言葉に「出頭」があります。自首と出頭は、自ら捜査機関に出向いて犯罪事実の申告をする点では共通しますが、捜査機関に犯罪行為が発覚していないタイミングで行うのが自首、発覚後に行うのが出頭という違いがあります。
出頭の場合、自首のような優遇措置は得られません。ただし、その事実は捜査資料として残され、刑事裁判において、情状面で酌量される理由となる可能性があります。
自首が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。
①捜査機関に犯罪事実が発覚する前であること
まず、捜査機関に犯罪事実が発覚する前のタイミングで行わなければなりません。すでに犯罪の嫌疑をかけられている状態では、自首は成立しません。
警察が事件の発生を一切認知していない状況のほか、犯罪の発生は認知しているものの被疑者が判明していない状況でも自首とみなされます。
他方で、すでに犯罪の嫌疑をかけられている状態では、自首は成立しません。捜査機関に被疑者として特定され所在を捜索されている、逮捕状が発付され指名手配を受けているといった状況では、自首ではなく出頭として扱われます。
②自発的に犯罪事実の申告をすること
犯人が自ら進んで犯罪事実の申告をすることが必要です。職務質問や取り調べの際に犯罪事実を自白したとしても、「自発的な申告」とはいえませんので、自首は成立しません。
③捜査機関に申告をすること
捜査機関とは、司法警察員および検察官をいいます。司法巡査や検察事務官への申告では、自首にはあたりませんが、これらの者から上司である司法警察員や検察官に報告があった時点で自首と認められます。
④自分の処分を求めること
自己の訴追を含む処分を求めていることが必要です。犯罪事実の申告をしたものの、刑事責任を否定している場合は自首にはあたりません。また、ほかの犯罪や犯人を隠すために出向いた場合も、自首にはあたりません。
(2)自首するメリット・デメリット
①自首するメリット
・逮捕を回避できる可能性が高まる
逮捕をするには、被疑者に逃亡のおそれまたは罪証隠滅のおそれがあることが必要です。自首した場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれがないとして、逮捕を回避できる可能性が高くなります。
・示談の可能性が高まる
被害者と示談をしたくても、被害者の連絡先がわからないことも少なくありません。自首した場合には、捜査機関を通じて被害者に示談の意向がある旨を伝えることができますので、被害者と示談できる可能性が高くなります。
・刑が減軽される可能性がある
自首が成立すると刑を減軽できると定められています(刑法42条1項)。
減軽が認められると、死刑は無期もしくは10年以上の懲役・禁錮に、無期懲役・無期禁錮は7年以上の懲役・禁錮に、有期の懲役は上限が2分の1に減じられます。罰金の場合も、上限または下限の2分の1へと減じられます。
自首による減軽は、刑法で「することができる」と示されているとおり、必ず適用されるわけではありません。裁判官の判断によっては減軽しないことも可能なので、犯罪の重大性や自首にいたる経緯、反省の程度や自首によってもたらされた捜査経済上の効果などによっては減軽を受けられないおそれもあります。
なお、減軽と紛らわしい用語として「減刑」が存在します。減刑はすでに確定している刑罰について減じるもので、恩赦のひとつとして位置付けられています。
②自首するデメリット
・自らの罪が発覚する
自首することにより自らの罪が発覚します。場合によっては逮捕・勾留により長期間の身柄拘束を受ける可能性があります。捜査機関に犯罪事実が発覚していないのであれば、被害者と示談をする方がよいケースもありますので、自首するかどうかは弁護士と相談しながら慎重に判断するようにしましょう。
・必ず罪が軽くなるわけではない
自首は、あくまでも任意的な減軽とされていますので、自首したとしても刑の減軽を受けられないこともあります。
自首したらどれくらい刑が減軽されるのかについては、以下のコラムもご参照ください。
2. 自首の流れ
(1)現金や着替え、犯罪の証拠を持ち警察署へ出向く
自首する場合には、警察署に出向いて、自らの犯罪行為を告白する必要があります。自首後は、そのまま逮捕される可能性もありますので、現金や着替え、犯罪の証拠を持参して警察署に出向くようにしましょう。
(2)取り調べを受ける
捜査機関により自首が受理されると、被疑者の取り調べが行われます。また、犯行現場での実況見分が行われることもあります。
(3)自首調書が作成される
取り調べ後は、自首した被疑者の身上・経歴、事件の概要、自首した理由などが記載された自首調書が作成されます。
(4)逮捕される、逮捕されなければ在宅事件に
自首したとしても、逃亡または罪証隠滅のおそれがあると判断された場合には、逮捕される可能性があります。逮捕されなければ在宅事件になりますので、警察や検察からの呼び出しがあった場合には、警察署や検察庁に出向いて取り調べを受ける必要があります。
3. 自首する方法
自首には、被疑者一人で警察署に出頭する方法と弁護士に同行してもらう方法の2つがあります。
(1)一人で警察署に出頭する
一人で警察に出頭する場合には、自分の口から犯罪事実の申告を行わなければなりません。正確に事実を伝えなければ、自首と認められない可能性もありますので、あらかじめ警察に伝えるべき内容はメモしておくなどの対応も必要になるでしょう。
(2)弁護士に同行してもらい出頭する
あらかじめ弁護士に自首の相談をしていれば、警察に話すべき内容を事前に整理できますし、取り調べの際の注意点などをアドバイスしてもらえます。
また、自首当日は、弁護士が警察署まで同行して、担当の警察官に事情を説明してくれますので、不安な気持ちも少しは和らぐはずです。
万が一、逮捕されることになったとしても、弁護士が自首に同行していれば、身柄解放に向けた弁護活動にすぐに着手することもできます。弁護士が自首に同行することでさまざまなメリットがありますので、一人で自首することに不安を感じている方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2024年12月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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