逮捕されると会社や学校に知られてしまう? 回避するための方法

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
逮捕されると会社や学校に知られてしまう? 回避するための方法

逮捕されたことが会社や学校にばれてしまうと、職場から解雇されてしまったり、学校を退学させられてしまったりするおそれがあります。そのため、逮捕の事実が会社や学校に知られるかどうかは、重大な関心事といえるでしょう。
また、逮捕前後でしっかりと対策を講じることで会社や学校に知られるリスクを抑えることも可能です。

1. 逮捕されたら会社や学校にばれる可能性は?

逮捕されたことは会社や学校にばれてしまうのでしょうか。

(1)逮捕の事実が会社や学校にばれる可能性

①被害届を出された、逮捕された場合

被害者に被害届を出された場合、警察に逮捕された場合でも、会社や学校が事件とは無関係であれば、原則として警察から直接連絡がいくことはありません。また、逮捕歴や前科を一般人が調べる方法はありません。そのため、逮捕されても、それだけでは会社や学校にばれるおそれはないといえます。

②起訴された場合

起訴されると刑事裁判が行われますが、裁判の内容が会社や学校に通知されることはありません。また、重大事件でない限りは、新聞やニュースなどでも大きく報道されることはありませんので、会社や学校に知られる可能性は低いでしょう。

③裁判で有罪判決になった場合

裁判で有罪判決になったとしても、罰金刑や執行猶予付きの判決であれば、刑務所に収監されることなく、普段どおりの社会生活を送ることができます。有罪判決になったことが会社や学校に通知されることもありませんので、影響が生じることはないでしょう。

(2)逮捕の事実が会社や学校にばれるきっかけ

しかし、以下のきっかけで逮捕の事実が会社や学校にばれる可能性があります。

①ニュースなどでの報道

ニュースや新聞などで実名報道がされると、逮捕されたことが会社や学校にばれてしまいます。すべての事件が実名報道されるわけではなく、実名報道するかどうかは、警察やマスコミの判断にゆだねられていますが、以下のケースでは実名報道がされやすいでしょう。

・殺人、放火、強盗などの重大な犯罪

・特殊詐欺や児童買春など社会問題になっている犯罪

・有名企業の役員や社員、芸能人、医師、教師、警察官など社会的地位が高い人が犯した犯罪

②捜査機関による会社や学校への聞き込み

事件に会社や学校が関係している場合には、事情聴取のために捜査機関から会社や学校に連絡がいくことがあります。捜査機関から連絡が入ると、誰のどのような事件で捜査をしているのかが告げられますので、それにより会社や学校にばれてしまいます。

③無断欠勤、無断欠席

逮捕されると最大で72時間の身柄拘束を受けることになります。また、逮捕後に拘留されると最大で20日間の身柄拘束を受けます。

数日であれば、病気やけがを理由に会社や学校を休めますが、20日間もの長期間に及ぶと会社や学校も不審に思います。家族から事情を説明しなければならない事態にもなれば、ばれてしまうこともあるでしょう。

④学校・警察相互連絡制度

学校・警察相互連絡制度とは、児童生徒の非行防止および安全確保の目的で、非行少年などを逮捕・補導した場合に、警察から学校に連絡をする制度のことです。すべての事案でこの制度が適用されるわけではありませんが、事件の重大性、家庭環境、本人の反省の程度などを考慮して、学校へ連絡をするかどうかが決められます。

⑤家庭裁判所による調査

未成年者による犯罪の場合には、家庭裁判所に事件が送致されます。家庭裁判所では、未成年者への処遇を決めるために、家庭環境や生育状況の調査を行いますので、その一環で学校や職場から資料の取り寄せや事情確認が行われることがあります。このような家庭裁判所による調査が行われると、会社や学校に逮捕がばれてしまいます。

2. 逮捕の事実が会社や学校にばれた場合のデメリット

逮捕されたことが会社や学校にばれてしまうと、以下のデメリットがあります。

(1)解雇

会社によっては、逮捕されたことや犯罪行為をしたことなどが解雇事由として規定されていることもあります。そのような会社では、解雇事由に該当するとして解雇されてしまう可能性があります。

また、逮捕されると最大で72時間の身柄拘束を受けることになり、その後勾留をされれば最大で20日間の身柄拘束を受けます。そのため、逮捕がばれなかったとしても、長期間の無断欠勤を理由に解雇されてしまうリスクもあります。

(2)停学・退学

学校教育法では、教育上必要な場合に懲戒処分を行うことができるとされています(学校教育法11条)。学校に逮捕されたことがばれると、停学や退学処分を受けてしまうリスクがあります。

ただし、退学処分は、学生にとっては重大な処分ですので、その判断は、行為の軽重、平素の行状、他の生徒への影響などを総合して慎重に判断する必要があります。退学処分が重すぎる場合には、不当な処分として争える可能性もあります。

しかし、退学処分を免れたとしても、周りの児童・生徒に逮捕されたことが知れ渡り、学校に居づらくなり自主退学を余儀なくされるケースもあります。

(3)資格・職業の制限(前科がついた場合)

逮捕された犯罪事実で起訴され、有罪判決が言い渡されると、前科が付きます。執行猶予付きの有罪判決であれば、刑務所に入らずに社会生活を送れますが、一定の資格や職業については制限され、その職業に就けません。

執行猶予が認められる基準|実刑を回避するための方法を解説

3. 逮捕の事実が会社や学校にばれることを回避するための方法

会社や学校に、逮捕されたことがばれるのを回避するためには、以下の方法が考えられます。

(1)逮捕の事実を会社や学校に知られないための対処法

逮捕前と逮捕後に分けて、会社や学校に逮捕の事実を知られないための対処法を説明します。

①逮捕前

そもそも逮捕されなければ、会社や学校に逮捕の事実を知られる心配はありません。そのため、まずは逮捕を回避するための対策が重要になります。

・示談交渉をする

被害者がいる犯罪の場合には、被害者と示談を成立させることができれば、捜査機関に犯罪が認知される前に解決できます。

・自首する

逮捕をするためには被疑者に逃亡のおそれ、または罪証隠滅のおそれがある必要があります。捜査機関に自首をすれば、それらのおそれがないとして、逮捕されない可能性もあります。

②逮捕後

実名報道などがなされなければ、逮捕されたことが会社や学校に知られるリスクは低いといえます。しかし、身柄拘束が長期化すれば、適当な言い訳もできなくなり、逮捕が知られるリスクが高くなります。そのため、そのようなリスクを抑えるためにも、早期の釈放を目指すことが大切です。

(2)弁護士ができること、弁護士に相談するメリット

弁護士に依頼をすれば、以下の活動により、会社や学校に逮捕事実が知られるリスクを抑えられます。

①示談交渉

被害者の処罰感情が強い事件だと、加害者や加害者の家族による示談交渉では、被害者の強い反発を招き示談がまとまらないケースも少なくありません。このようなケースでも弁護士が対応することで、被害者も交渉に応じてくれる可能性があり、お互いに冷静に話し合いができるため、示談成立の可能性も高くなります。

早期に示談が成立すれば、逮捕の回避や早期の釈放により逮捕が知られるリスクを抑えられます。

②勾留阻止、不起訴処分の獲得

逮捕に引き続いて勾留をされると、逮捕期間と合わせて最長で23日間もの身柄拘束を受けるおそれがあります。その間は、会社や学校に行けませんので、逮捕されたことが知られるリスクが高くなります。

弁護士であれば勾留阻止に向けて捜査機関に働きかけることができますので、逮捕されたとしても身柄拘束期間を最小限に抑えられます。また、不起訴処分を獲得できれば、前科が付くことはなく、資格や職業への制限も回避することが可能です。

③実名報道されないための働きかけ

弁護士から捜査機関に対して、実名報道を避けるよう働きかけることができます。ただし、実名報道をするかどうかは、最終的には報道機関の判断に委ねられています。弁護士からの働きかけにより、確実に実名報道を回避できるわけではありませんので注意が必要です。

逮捕後に実名報道される基準や実名報道を回避する方法については、以下のコラムもご参照ください。

逮捕後に実名報道される基準はあるのか? 回避する方法は?

万が一、逮捕されたことが職場や学校にばれてしまい、解雇や退学処分を受けてしまったとしてもあきらめてはいけません。

逮捕されただけで解雇や退学になった場合には、不当な処分である可能性がありますので、解雇や退学を争うことで処分の撤回をしてもらえる可能性があります。弁護士であれば、会社や学校側の対応に対しての働きかけや裁判などの手続きをサポートできます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年01月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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