警察の取り調べは怖い? 取り調べ時間や回数、対応方法を解説

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警察の取り調べは怖い? 取り調べ時間や回数、対応方法を解説

警察の取り調べというと、怖いイメージを持たれる方も多いでしょう。そもそも、警察での取り調べでは、どのようなことを聞かれるのでしょうか。また、警察から取り調べの呼び出しを受けた場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。

1. 取り調べとは

(1)取り調べとは

「取り調べ」とは、警察や検察などの捜査機関が事件の関係者から事情を聞いたり、事実の確認をしたりすることをいいます。取り調べには、「被疑者の取り調べ」と「参考人の取り調べ」の2種類があります。

①被疑者の取り調べ

被疑者の取り調べとは、犯罪の嫌疑をかけられた人を対象に行われる取り調べです。被疑者の取り調べでは、主に、罪を犯したのかどうか、犯行時の状況、犯行の動機などを聞かれます。

被疑者の取り調べは、さらに「在宅事件の取り調べ」と「身柄事件の取り調べ」の2種類に分けられます。

在宅事件とは、身柄拘束を受けることなく捜査が進められる事件をいい、必要に応じて警察や検察などから取り調べのための呼び出しを受けることになります。身柄事件とは、逮捕・勾留により身柄拘束されている事件をいい、身体拘束をされている警察署内で取り調べが行われます。

②参考人の取り調べ

参考人の取り調べとは、事件の被害者、目撃者、関係者などを対象に行われる取り調べです。被疑者まではいかないものの、ある程度の犯罪の嫌疑をかけられた人も参考人として呼び出されることがあります。

(2)取り調べはどのように行われる?

①取り調べの場所

取り調べが行われるのは、警察署内の「取り調べ室」と呼ばれる場所です。刑事ドラマで出てくるような机と椅子が置かれた狭い部屋をイメージしてもらえればよいでしょう。

②取り調べの時間・回数

取り調べの時間や回数は、事件内容や聴取事項により異なりますので、一定ではありません。ただし、長時間の取り調べは違法になる可能性が高いため、1日の取り調べの上限は休憩を除いて “8時間まで”とされており、原則として午後10時から翌日の午前5時までの深夜の取り調べは禁止されています。

③取り調べの流れ

被疑者の取り調べは、一般的に以下の流れで行われます。

  • 黙秘権、供述拒否権の告知
  • 弁護人選任権の告知
  • 取り調べ
  • 供述調書の作成
  • 供述調書への署名押印

④取り調べで聞かれる内容

取り調べで聞かれる内容については、被疑者の取り調べであるか参考人の取り調べであるかによって内容が異なります。被害者の取り調べでは、主に以下の内容が聞かれます。

  • 犯行時や前後の行動
  • 犯行に至る経緯
  • 犯行の動機
  • 被疑者の身上経歴

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2. 取り調べにはどう対応したら良い?

取り調べを受ける前に知っておくべき知識や注意点などについて説明します。

(1)黙秘権が行使できる

被疑者には黙秘権がありますので、自分の意に反して供述を強制されることはありません。取り調べを受けたとしても、答えたくない質問については、黙秘権を行使して答えなくても問題ありません。黙秘権を行使したとしても、そのことを理由に不利益は受けませんので安心してください。

なお、参考人は、自らの供述により不利益を受ける立場にはありませんので、黙秘権の保護はありません。

(2)携帯での録音は違法ではない

取り調べの内容の録音を禁止する法律はありません。そのため、携帯やボイスレコーダーなどで取り調べの会話を録音したとしても違法ではありません。

しかし、捜査官に取り調べの録音の許可を求めたとしても、通常は、捜査の秘密などを理由に拒否される可能性が高く、途中で録音していることに気付かれれば録音をやめるよう求められるでしょう。そのため、録音をする場合には、捜査官に隠れて行うことになります。

なお、取り調べの可視化により、取り調べの録音・録画が進められていますが、取り調べのすべてを録音・録画するのは、一部の重大事件に限られています。

(3)納得いかない供述調書は訂正してもらう

取り調べの内容は、「供述調書」という書面にまとめられます。供述調書は、被疑者の発言をそのまま記載するのではなく、取り調べを担当した捜査官が、被疑者目線のストーリー形式でまとめます。そのため、供述調書には、自分の発言とは異なる内容やニュアンスで記載される可能性もあります。

作成された供述調書は、最終的に読み聞かせが行われますので、内容に少しでも納得がいかない場合には、その場で訂正を求めましょう。供述調書に署名押印する義務はありませんので、訂正に応じてくれない、または訂正されても納得できる内容ではない場合には、署名押印を拒否することもできます。

署名押印がない供述調書は、裁判の証拠として採用されませんので、納得がいかない供述調書により不利な判断がなされる心配はありません。

3. 取り調べを受けることになったら

取り調べを受けることになった場合には、弁護士への相談をおすすめします。弁護士に相談するメリットとしては以下が挙げられます。

(1)取り調べの対処法を教えてもらえる

ほとんどの方が取り調べを受けるのは初めての経験ですので、どのように対応すればよいかわからず、不安を感じていることでしょう。弁護士に相談をすれば、取り調べの流れや対処法を教えてもらえますので、初めての取り調べでも不安なく対応することができます。

(2)取り調べ時に助言をもらえる

取り調べへの弁護士の立ち会いは認められていませんが、弁護士に依頼をすれば、取り調べの際に同行し、取調室の外で待機してもらうことができます。任意の取り調べであれば、取調室を自由に入退室できますので、その都度弁護士から助言をもらうことができます。

また、弁護士が外で待機している状況だと、捜査官も無理な取り調べをすることができず、自白の強要などがなされるおそれも少なくなります。

(3)違法な取り調べに対処してもらえる

深夜または長時間に及ぶ取り調べや、暴力や暴言があった場合には、違法な取り調べになる可能性があります。

捜査官からこのような取り調べを受けた場合には、自白を強要されるおそれがありますので、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。違法捜査をやめるよう、弁護士から警察や検察に働きかけることで、このような取り調べを直ちにやめてもらうことができます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年01月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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