警察の取り調べはどのような流れで行われるの?
ドラマや映画のなかでは、事件を起こした容疑者が薄暗い取調室のなかで厳しい追及を受けるシーンが描かれることがあります。暴力行為を受けたり、脅迫的な取り調べが展開されたりする描写も多いので、実際に取り調べを受けたことがない方は強い不安を感じるでしょう。
実際の警察による取り調べは、どのような流れで進むのでしょうか?
1. 警察の取り調べはどのように行われる?
刑事事件の被疑者として容疑をかけられてしまった場合、どのような場所で、どんな雰囲気のなかで取り調べを受けることになるのでしょうか?
(1)取り調べを受ける場所
取り調べがおこなわれる場所は、警察署や交番などのほか、留置管理センターなどの警察施設に設置されている取調室です。身動きが取りづらいほどの狭い部屋なので、取調室に通されただけでも緊張してしまう方は多いでしょう。
ただし、近年では、閉塞(へいそく)感を軽減させるために出入り口のドアを開放したまま取り調べを進める警察署も増えています。暗い密室で取り調べを受けるといったシチュエーションのほうがめずらしいかもしれません。
(2)「供述拒否権」が告知される
取り調べの最初には、必ず「言いたくないことは無理に言わなくてもよい」という内容を告げられます。これは「供述拒否権の告知」といいます。供述を拒否できる、つまり「黙秘権」が存在することをこの段階で説明されます。
供述拒否権は、取り調べの最初に一度だけ告知しておけば足りると考えられているため、取調官にも毎回のように告げる義務はありません。ただし、事件の重要なポイントについて供述調書が録取される際や、複数の事件について取り調べられており前回とは別の事件について聴取される際は、改めて供述拒否権が告げられるのが一般的です。
(3)取り調べは拒否できる?
逮捕されず、任意の在宅事件として取り調べを受ける際は、原則として「取り調べを受けたくない」と拒否しても構いません。取り調べ途中での退室も自由です。これは、刑事訴訟法第198条1項において認められている被疑者の権利なので、警察官といえども無理に従わせることはできません。
ただし、何らかの容疑があるのに「任意だから断る」と拒否したり、警察からの連絡を無視していたりすると、任意での取り調べは無理だと判断されて逮捕状が請求され、逮捕されてしまう危険が高まります。任意段階での取り調べ拒否は、慎重に判断すべきでしょう。
逮捕されてしまうと、身柄を拘束されている間はある程度の取り調べには応じなければなりません。体調不良などでどうしても取り調べに応じられない場合を除き、取り調べの拒否は難しいでしょう。
もっとも、逮捕されている期間は、たとえ取り調べを拒否できても留置場から出られないので、自由に過ごせるわけではありません。
(4)暴力や脅迫を受けることはあるのか?
ドラマや映画などでは、取り調べ中の警察官から殴る・蹴るなどの暴力を受けたり「素直に白状しないと痛い目に遭うぞ」などと脅されたりするシーンが多いので、暴力的・脅迫的な取り調べに不安を感じている方もいるでしょう。
警察庁が発出した「警察捜査における取調べ適正化指針」によると、被疑者との身体接触や有形力の行使、不安を覚えさせ、または困惑させる言動などを「監督対象行為」としています。監督対象行為があった場合は、取り調べの中止や懲戒処分を受けることもあるため、暴力や脅迫を用いた取り調べを受けるおそれは激減しました。
とはいえ、基本的には取調官と1対1になる密室で取り調べが進むため、暴行や脅迫などがないとも断言できません。不当な取り調べを受けた場合は、ただちに弁護士に相談して捜査機関に抗議することをおすすめします。
2. 警察の取り調べの期間はどれくらい?
刑事事件の被疑者となった場合、どのくらいの期間にわたって取り調べを受けることになるのかも気になるところです。
(1)逮捕されず在宅事件になった場合
警察に逮捕されず、任意の在宅事件となった場合では、取り調べ期間に制限はありません。余罪のない窃盗事件や単純な暴行・傷害事件などでは、1~2か月の間に数回の呼び出しを受けて取り調べられるのが一般的です。
ただし、捜査が難航していたり、別の重大事件への対応で取り調べが進まなかったりすると、何か月にもわたって取り調べを受けることもあります。早く事件を終結させて社会復帰したいと望む被疑者にとっては、もどかしく感じるでしょう。
(2)逮捕・勾留されて身柄を拘束された場合
警察に逮捕された場合は、警察の段階で48時間以内、検察官の段階で24時間以内の身柄拘束を受けます。さらに、検察官からの請求で裁判官が勾留を認めると最大20日間まで身柄拘束が延長されるので、逮捕段階から合計すると23日間にわたって社会から隔離されてしまいます。
逮捕・勾留を受けている期間は、警察官や検察官による取り調べが進められます。休憩時間を除いて1日8時間を上限とした取り調べを受けることになるので、精神的に疲弊してしまう被疑者も少なくありません。
ただし、検察官が起訴した場合、あるいは不起訴として釈放した場合、その後の取り調べはほとんどありません。起訴後は余罪の補充捜査などで取り調べを受けるケースもありますが、すでに拘置所に移送されて警察の管理を離れているので、短時間の取り調べとなるのが一般的です。また、不起訴となれば事件が終結するため、証拠品の還付などで呼び出される機会はあっても、厳しい取り調べを受けることはないでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2022年03月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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