熟年離婚を考えたら。メリット・デメリットと準備について解説
- 離婚・男女問題
1. 熟年離婚のメリット・デメリット
熟年離婚には、以下のメリット・デメリットがあります。
(1)熟年離婚のメリット
①長年のストレスから解放される
熟年離婚をするかどうか迷っている方は、配偶者との関係に長年悩まされていた方が多いといえます。熟年離婚をすることにより、配偶者と一緒に生活をする必要がなくなりますので、長年のストレスから解放され、生き生きとした生活を送ることができます。
②残りの人生を謳歌(おうか)できる
婚姻期間が長い夫婦だと、子どもや配偶者のために自分の時間を犠牲にして生活をしてきたと思います。熟年離婚をすることで、やっと一人の時間を持つことができますので、それまで我慢していた趣味や習い事などに時間を割くことができます。それにより自分だけの自由な時間を謳歌することができるでしょう。
(2)熟年離婚のデメリット
①相続権がなくなる
離婚をすると配偶者としての地位を失います。配偶者であれば相手が亡くなったときの相続人になることができますが、離婚をしてしまうと相続権はありませんので、一切遺産を相続することができなくなります。また、相手が亡くなったときの遺族年金ももらうことができません。
②老後の資金に対する不安
熟年離婚をする夫婦は、年齢も高齢になっていますので、特に専業主婦やパートタイムでしか働いていなかった方は、新たに正社員としての仕事を見つけるのは難しいでしょう。そうすると離婚後の生活は、それまでの蓄えを切り崩していかなければなりませんので、老後の資金に対する不安が生じます。
2. 熟年離婚をする際に考えるべきこと
熟年離婚をする際には、以下のことを考えておくべきです。
(1)今後の生活のこと
熟年離婚をする場合には、離婚後の生活について考える必要があります。
専業主婦の女性の場合には、離婚後は自分で生活費を稼いでいかなければなりませんので、仕事を探すなど生活費の工面をしていく必要があります。
会社員として働いていた男性の場合には、家のことを妻に任せきりにしていた方もいることでしょう。離婚後は、掃除、洗濯、料理などすべての家事を自分で行わなければなりませんので、一人で家事ができるかを考えなければなりません。
(2)健康面
熟年離婚では、夫婦の年齢も高齢になっていますので、ご自身の健康面にも配慮が必要です。事故や病気により将来的に介護が必要な状況になったとしても、離婚をしてしまうと配偶者による介護は期待できません。
(3)本当に離婚が最適な選択なのか
長年のストレスから解放されたくて離婚を考える方もいるでしょう。しかし、離婚をしてしまうと経済的不安や生活の不安が生じますので、離婚だけではなく、別居という選択肢も検討してみましょう。
別居であれば、配偶者としての地位は失われませんので、相手が亡くなったときの相続人になれますし、遺族年金の受取人になることができます。
3. 熟年離婚をする際の準備
熟年離婚をする際には、以下の準備をする必要があります。
(1)財産分与
熟年夫婦の場合には、夫婦の共有財産も高額になりますので、離婚後の経済的不安を解消するためにも適正な財産分与を行うことが重要です。
そのためには、離婚を切り出す前に相手の名義財産をしっかりと把握しなければなりません。特に、熟年夫婦だと退職金の支払い時期が近くなりますので、退職金の把握と隠し財産の調査を重点的に行うようにしましょう。
(2)年金分割
年金分割を請求することにより、老後にもらうことができる年金を増やすことが可能です。年金分割を行うためには、「年金分割のための情報提供請求書」が必要ですので、最寄りの年金事務所に行ってあらかじめ取得しておくとよいでしょう。
(3)生活費や住居の用意
現在仕事をしていない方やパートタイムの仕事だけで十分な収入がない方は、離婚後の生活費を確保するためにも新たな仕事を探す必要があります。
また、離婚後は、夫婦が別々に生活することになりますので、自宅を出ていく予定の方は、離婚後の住居も確保しなければなりません。
(4)法定離婚事由や証拠の準備
離婚原因が不倫・DV・モラハラなどに該当する場合には、それを裏付ける証拠を準備する必要があります。これらの事情は、法定離婚事由に該当しますので、十分な証拠があれば離婚裁判を有利に進めることができるだけでなく、慰謝料を請求することも可能です。
なお、熟年離婚の財産分与や準備については、以下のコラムもご参照ください。
熟年離婚の準備は大丈夫? 後悔しないために知っておきたいこと
4. 熟年離婚についてのよくある質問
以下では、熟年離婚についてのよくある質問を紹介します。
熟年離婚後に遺族年金を受け取れるか?
遺族年金の受給対象者は、亡くなった方によって生計を維持されていた配偶者です。被保険者が亡くなった時点ですでに離婚が成立している場合には、遺族年金の受給対象者としての地位を失ってしまいますので、遺族年金を受け取ることはできません。
熟年離婚して生活保護を受けることはできるか?
熟年離婚後、生活が苦しくなり、生活保護の受給基準を満たしている場合には、生活保護を受けることができます。生活保護の受給を希望される方は、お住まいの地域の福祉事務所で相談してみるとよいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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