離婚後の健康保険手続き
- 離婚・男女問題
1. 健康保険とは
健康保険とは、公的医療保険制度のことをいい、日本では、国民全員が健康保険への加入を義務付けられています。このような健康保険には、大きく分けて「健康保険(社会保険)」と「国民健康保険」の2種類があります。
なお、どちらの健康保険に加入するかによって、医療費の自己負担額に差が生じることはありません。
①健康保険(社会保険)
社会保険とは、会社員が加入する健康保険です。保険料は、会社と被保険者が基本的には折半で負担し、一定の条件を満たした配偶者や親族は社会保険の扶養に入れることができます。
②国民健康保険
国民健康保険とは、無職の方や自営業者が加入する健康保険です。保険料は、被保険者が全額負担し、社会保険のような扶養の制度はありませんので、同居する家族もそれぞれ国民健康保険に加入しなければなりません。そのため、世帯の人数が多くなれば保険料の負担も大きくなります。
2. 健康保険の切り替え方法
健康保険の加入状況によっては、離婚に伴い健康保険の切り替えが必要になることがあります。
(1)健康保険の切り替えが必要な人
離婚に伴い健康保険の切り替えが必要になるのは、以下の方です。なお、離婚をしたとしても、自動的に健康保険の切り替えが行われるわけではありませんので注意が必要です。
①配偶者の健康保険(社会保険)に加入している
配偶者の勤務先の社会保険に扶養家族として加入していた場合、離婚により配偶者の扶養を外れますので、社会保険の加入資格を失ってしまいます。そのため、新たに社会保険または国民健康保険に加入する必要があります。
②自営業の配偶者が世帯主の国民健康保険に加入している
配偶者が自営業者で、配偶者が世帯主の国民健康保険に加入している場合には、切り替えの手続きが必要です。なぜなら、世帯主にその世帯全員分の健康保険料の請求がなされるからです。
このケースでは、ご自身を世帯主とする国民保険に加入するか社会保険に加入する必要があります。
(2)健康保険の切り替え方法
以下では、ケース別に健康保険の切り替え方法を説明します。
①健康保険→国民健康保険
配偶者の勤務先の健康保険に扶養家族として加入していて、離婚後すぐに就職しない場合には、健康保険から国民健康保険に切り替える必要があります。
まずは、配偶者に頼んで配偶者の勤務先から「資格喪失証明書」を取得してもらいます。その後、資格喪失証明書を市区町村役場に提出することで国民健康保険への切り替えができます。
②健康保険→別の健康保険
配偶者の勤務先の健康保険に扶養家族として加入していて、離婚後、会社員として働く場合には、健康保険から別の健康保険への切り替えが必要です。
この場合もご自身の勤務先に配偶者の勤務先から発行された「資格喪失証明書」を提出しなければなりません。健康保険への加入をスムーズに行うためにも、離婚する際には早めに配偶者に依頼するようにしましょう。
③国民健康保険→新たな国民健康保険
自営業の配偶者とともに国民健康保険に加入していて、離婚後も引き続き国民健康保険に加入する場合にも切り替えの手続きが必要です。
この場合には、国民健康保険の世帯主変更手続きが必要ですので、市区町村役場の窓口に国民健康保険の世帯主変更届を提出しましょう。
④国民健康保険→健康保険
自営業の配偶者とともに国民健康保険に加入していて、離婚後は、会社員として働く場合には、国民健康保険から健康保険への切り替え手続きが必要です
このケースでは、ご自身の勤務先で社会保険への加入手続きができますので、特別な対応は不要です。
3.子どもの健康保険手続き
子どもが配偶者の社会保険の扶養に入っていた場合、子どもは、離婚後も配偶者の扶養として社会保険を利用することができます。しかし、ご自身が子どもの親権者として子どもを引き取るのであれば、健康保険に関する手続きで離婚後も相手と連絡を取り合わなければなりませんので、できる限り子どもの健康保険も切り替えた方がよいでしょう。
なお、自分の健康保険に子どもも入れたいという場合には、自分の健康保険の切り替え手続きと一緒に子どもの健康保険の手続きを行うことができますので、負担もそれほど大きくありません。
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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