弁護士費用の種類と相場、支払い方法

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弁護士費用の種類と相場、支払い方法

弁護士費用の金額は、依頼先の弁護士によって異なります。正式な依頼の前に見積もりを取得し、複数の弁護士を比較した上で依頼先を決めましょう。

1. 弁護士への相談・依頼にかかる費用

弁護士への相談・依頼にかかる費用は、弁護士費用である「相談料」「着手金」「報酬金」「日当」と、別途発生する「実費」があります。

(1)相談料

相談料は、正式な依頼前の法律相談について発生する弁護士費用です。法律相談を利用する前後のタイミングで支払います。

相談料の金額は30分5500円程度が標準的ですが、無料相談を受け付けている弁護士も多いです。

(2)着手金

着手金は、弁護士へ正式に依頼した際に発生する弁護士費用です。弁護士との間で委任契約を締結した際に支払います。

着手金額の計算方法は、事件の内容などによって異なります。たとえば金銭の請求が問題となる事案では、着手金は請求額(請求を受ける額)の8.8%前後とされるケースが多いです。

(3)報酬金

報酬金は、弁護士による対応が終了した時点で、事件処理の結果に応じて発生する弁護士費用です。依頼の終了時に支払います。

報酬金額の計算方法も、事件の内容などによって異なります。たとえば金銭の請求が問題となる事案では、報酬金は獲得額(減額できた額)の17.6%前後とされるケースが多いです。

(4)日当

日当は、弁護士の出張について発生する弁護士費用です。たとえば訴訟期日に出席した場合や、相手方との交渉に弁護士が同席した場合などに日当が発生します。日当の精算時期や精算方法は、弁護士によって異なります。

日当額は、半日程度の出張であれば3万3000円から5万5000円程度、一日がかりの出張であれば5万5000円程度から11万円程度が標準的です。

(5)実費

実費は、弁護士が事件処理の過程で支出した費用です。日当と同じく、精算時期や精算方法は弁護士によって異なります。

よくある実費としては、以下の例が挙げられます。

  • 訴訟費用(裁判所に納付するもの)
  • 郵送料
  • 交通費
  • 印紙代

など

2. 弁護士費用の確認方法

弁護士費用については、弁護士に見積書を発行してもらって確認しましょう。複数の弁護士から見積書を取得して比較すると、提示された費用額が合理的かどうかを判断しやすくなります。

弁護士費用の見積書の中では、特に以下の事項を重点的に確認しましょう。

①各費用の金額・計算方法・支払時期

相談料・着手金・報酬金・日当について、金額または計算方法を必ず確認しましょう。また、支払う資金を準備するため、実費を含めた費用の支払時期についても確認しましょう。

②弁護士費用に含まれている業務・追加費用の有無

着手金・報酬金の範囲内でどのような対応をしてもらえるのか、どのような場合に追加費用が発生するのかを確認しましょう。特に日当については、着手金・報酬金に含まれているのか、それとも別途発生するのかをきちんと確認すべきです。

3. 弁護士費用の支払い方法

弁護士費用の支払いは、現金または銀行振込で行うケースが多いです。弁護士によっては、クレジットカードやキャッシュレス決済での支払いを受け付けていることもあります。

弁護士費用は一括払いが原則ですが、弁護士に相談すれば、分割払いや後払いが認められる場合もあります。経済的に困難な状況にある方は、弁護士費用の支払い方法について弁護士に相談してみましょう。

なお、法テラスの立替払い制度を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらうことができます(原則として、後に分割払いで返済します)。 法テラスの立替払い制度は、収入および資産が一定水準以下の方に限って利用可能です。

(参考:「民事法律扶助」(法テラス))

4. 弁護士費用に関するQ&A

弁護士費用について、よくある質問と回答をまとめました。

Q1. 弁護士費用は、加害者と被害者のどちらが払う?

弁護士費用は、弁護士に対して依頼した人が支払います。加害者・被害者などの立場を問いません。

Q2. 弁護士費用は相手に対して請求できる?

原則として請求できません。

例外的に、不法行為に基づく損害賠償請求については、弁護士費用を相手に対して請求することが認められています。ただし、弁護士費用の全額を請求できるわけではなく、損害賠償額の1割程度の弁護士費用のみが認められるケースが多いです。

Q3. 弁護士費用が払えないときは?

弁護士に相談すれば、分割払いや後払いが認められることがあります。また、以下の公的機関の制度を利用することも検討しましょう。

①法テラスの民事法律扶助(立替払い制度)

収入および資産が一定水準以下の方が利用できます。

(参考:「民事法律扶助」(法テラス))

②国選弁護制度

刑事事件について、被告人または身柄拘束された被疑者が利用できます。国費で弁護人が選任されるため、被告人・被疑者の負担は発生しません。

(参考:「国選弁護人・国選付添人」(法テラス))

③日弁連の法律援助事業

経済的に余裕がなく、弁護士に依頼する必要性・相当性がある方が利用できます。法律援助事業の種類は以下のとおりです。

  • 刑事被疑者弁護援助
  • 少年保護事件付添援助
  • 犯罪被害者法律援助
  • 難民認定に関する法律援助
  • 外国人に対する法律援助
  • 子どもに対する法律援助
  • 精神障害者・心神喪失者等医療観察法法律援助
  • 高齢者、障害者及びホームレスに対する法律援助

(参考:「法律援助事業のご案内」(法テラス))

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