弁護士の守秘義務とは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
弁護士の守秘義務とは

弁護士は法律上の守秘義務を負っているため、相談者・依頼者から聞いた情報を他人に話すことはありません。安心して弁護士にご相談ください。

1. 弁護士の守秘義務とは

弁護士は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負います(弁護士法第23条本文)。過去に弁護士であった者も同様です。

弁護士に法律上の守秘義務が課されているのは、依頼者が安心して弁護士に相談できるようにするためです。

法律問題に巻き込まれている事実やその内容は、依頼者にとって他人に知られたくない、プライベートな情報です。弁護士は法律問題の解決にあたって、依頼者からプライベートな情報を聞きだす必要があります。そのため、依頼者が安心して情報を伝えられるように、弁護士には守秘義務が課されています。

ただし例外的に、法律に別段の定めがある場合には、守秘義務が適用されないものとされています(同条但し書き)。たとえば、民事訴訟において証人である弁護士が黙秘の義務を免除された場合(民事訴訟法第197条第2項)などが守秘義務の例外にあたります。

また、正当な理由がある場合には守秘義務が解除され、秘密情報の開示が認められると解されています(弁護士職務基本規程第23条参照)。開示をする正当な理由があると考えられるのは、たとえば本人の承諾がある場合や、犯罪捜査に協力する場合などです。

2. 弁護士の守秘義務が及ぶ情報の範囲

弁護士の守秘義務が及ぶのは、「職務上知り得た秘密」です。

具体的には、法律相談の中で聞いた情報や、その後に依頼を受けて対応を行う際に知り得た情報などが守秘義務の対象となります。相談内容や案件の進行状況などに加えて、相談や依頼を受けているという事実そのものも守秘義務の対象です。

依頼者に関する情報はもちろんのこと、その他の情報についても、職務上知り得た情報であれば守秘義務が適用されます。たとえば、依頼に関して聞いた依頼者の家族の情報は、守秘義務によって保護されます。

これに対して、弁護士としての職務とは無関係に知った情報については、守秘義務が適用されません。

たとえば、友人から日常会話の中で聞いた情報は、弁護士が負う守秘義務の対象外です。また、「弁護士だから信頼できる」と言われてイベントの幹事を任されたとしても、それは弁護士としての業務ではないので、幹事業務の過程で知り得た情報は守秘義務の対象外となります。

3. 弁護士が守秘義務に違反した場合のペナルティー

弁護士が守秘義務に違反した場合は、刑事・民事上の責任を負い、さらに弁護士会による懲戒処分の対象となります。

①刑事責任

秘密漏示罪によって処罰されます(刑法第134条第1項)。法定刑は「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

②民事責任

守秘義務違反の情報漏えいによって依頼者などが損害を受けた場合には、弁護士は債務不履行または不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法第415条第1項、第709条)。

③弁護士会による懲戒処分

守秘義務違反の態様に応じて、戒告・2年以内の業務の停止・退会命令・除名の懲戒処分を受けることがあります(弁護士法第57条第1項)。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年02月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。