親権を決めるとき子どもの意思は決定打になる?

親権を決めるとき子どもの意思は決定打になる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

裁判所で妻(夫)と親権について話し合っているが、父親(母親)である自分の方に子どもはなついていて、「離婚してもお父さん(お母さん)と暮らしたい」と言っている……。

このようなとき、一緒に暮らしたいと言われた親であれば、裁判所には、子どもの意思も尊重して親権者を決めてほしいと思うことでしょう。しかし、子どもは身近にいる大人の影響を受けやすく、物事を判断する力が十分とはいえません。そのため、子どもの意思を尊重して親権者を決めることが、必ずしも子ども自身の将来のためになるとは限らないという問題があります。

裁判所で親権者を決めるときには、子どもの意思についてはどのように扱われるのでしょうか。

1. 「子どもの意思の尊重」という原則がある

親権は、身上監護権と財産管理権を内容とします。

子どもの親権者が父母の話し合いで決まらないときには、離婚調停や離婚裁判の中で解決を図ることになります。

(1)子どもの意思の尊重の原則

裁判所が親権者を決めるとき、子の利益を基準に判断されます。子の利益を尊重して判断する際の原則の1つとして「子どもの意思の尊重の原則」があります。

これは、物事を判断する力がつき意思を正確に伝えられる一定年齢以上の子どもについては、その意向を尊重して親権者を判断するというものです。

法律では、15歳以上の子どもについては、親権者の指定にあたって意見を聞かなければならないと定めています。15歳にもなれば、父母どちらと暮らしたいかといった明確な意思があり、その意思を無視して親権者を決めてしまうことは望ましくないと考えられているからです。

もっとも15歳に達していなくても、親権者を決める際に行われる家庭裁判所の調査官の調査で子どもの意思を確認することも珍しくはありません。実務上、およそ10歳前後から子どもの意思を確認することが多くなります。

(2)必ずしも子どもの意思どおりになるということではない

家庭裁判所の調査官の調査で子どもの意思を確認した場合でも、必ずしも子どもの意思どおりに親権者が決まるということではないので、注意が必要です。

子どもの意思は尊重されるものの、それ以外の父母の事情や子どもの事情などが総合的に考慮された上で、父母のどちらが親権者としてふさわしいかが判断されます。

なお一度決まった親権者を変更することは難しく、親権者変更調停を申し立てても、よほどのことがない限り変更は認められないと考えておいた方がよいといえます。そのため親権を獲得したい場合には、離婚時に親権を獲得できるように、裁判所が重視している原則などを理解しておくことが大切になります。

2. 親権者決定に大きくかかわる3つの原則

「子どもの意思の尊重の原則」のほかに、裁判所が重視している親権者の決定に関わる3つの原則があります。

(1)継続性の原則

「継続性の原則」は、これまで主に子どもを養育監護してきた親を優先するという考え方です。

子どもにとって、今まで一番身近にいて身の回りの世話をしてくれた親がいなくなったり、生活環境が変わったりすることは、大きな変化となります。そしてその変化は、子どもの心身に影響を与える可能性があり、健全な成長にとって望ましいものではありません。そのためこれまでの養育環境に問題がないのであれば、監護者が離婚後もそのまま親権者として継続して養育するという考え方がなされます。

(2)兄弟(姉妹)不分離の原則

「兄弟(姉妹)不分離の原則」は、離婚する夫婦の間に複数の子どもがいる場合には、兄弟姉妹が離れ離れにならないように同じ親権者のもとで育てるという考え方です。

これまで一緒に育ってきた兄弟姉妹は、子どもにとってかけがえのない存在です。離婚によって片方の親だけでなく、兄弟姉妹とも離れて暮らさなければならなくなってしまうのであれば、子どもの心身の発達に及ぼすマイナスの影響が懸念されます。兄弟姉妹で親権者を別にすることも可能ですが、基本的には不分離の考え方で親権者が判断されます。

(3)母性優先の原則

「母性優先の原則」とは、子どもの成長には母性が不可欠であるため、母を親権者とすべきであるという考え方です。

かつてはこの原則に沿って、特別な事情がない限りは親権は母親に帰属するという判断がなされることも多くありました。しかしながら、現在はこの考え方はとられないようになってきています。現在でも母親が親権者になることが多い理由は、母性優先の原則に沿って判断がなされているからではなく、母親にはこれまでの監護実績があることが多く、継続性の原則により評価されるためといえます。

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