妊娠中の離婚|もらえる養育費の相場は?
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妊娠中の離婚|もらえる養育費の相場は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

妊娠中に離婚した場合、気になるのは養育費をもらえるかどうかでしょう。子供を育てるためには、養育費をどのくらいもらえるかは今後の生活に関わります。

この記事では、離婚後に養育費をもらえる条件や、具体的な内訳と相場、請求の方法について解説します。

1. 妊娠中の離婚で養育費がもらえる条件

妊娠中に離婚しても、養育費をもらうことは可能です。ただし、どのような条件でもらえるかは、子供が生まれた時期によって変わります。

民法第772条1項および2項の規定により、離婚後300日以内に出産した場合、その子供は元夫との子供であると推定されます。つまり、法律によって「元夫の子供である」とされるので、養育費は原則として請求可能です。

一方、300日より後に出産した場合は、元夫に子供を認知してもらわない限り法律上は赤の他人とみなされます。よって、元夫に子供を認知してもらうことが、養育費をもらう条件となります。300日より後の出産で、元夫が認知を拒否する場合、裁判所での手続きを通して認知を求めることが必要です。

(1)妊娠中の離婚で養育費を支払う側に請求できるもの

妊娠中の離婚で養育費を支払う側に請求できるものは以下の通りです。

  • 養育費:子供の成長に必要な食費や教育費など
  • 慰謝料:離婚の原因となった不法行為(不貞や暴力など)によって母親が受けた精神的苦痛の補償
  • 財産分与:夫婦が共有していた財産(家や車など)の分割

これらの具体的な内容は、話し合いで取り決めたあと、離婚協議書を作成して明記することが重要です。口約束だと取り決めを守ってもらえず、離婚後にトラブルが発生する恐れがあります。

離婚協議書は当事者で作ることも可能ですが、弁護士や司法書士などの専門家に相談すれば、代わりに作成してもらえます。作成時期は離婚の前後どちらでも問題ありませんが、離婚後は相手との話し合いが困難になりやすいため、なるべく離婚前に済ませておく方がスムーズです。

2. 妊娠中の離婚でもらえる養育費の相場

養育費の相場は、父母の収入や職業、子供の年齢などにより異なります。裁判所が公表している算定表(令和元年版)から一部を抜き出すと、以下のようになります。

  • 子1人(0~14歳)、相手が給与所得者で年収500万円、自分の年収0円の場合:6~8万円/月
  • 子1人(0~14歳)、相手が自営業で年収784万円、自分が年収0円の場合:12~14万円/月
  • 子1人(0~14歳)、相手が給与所得者で年収1000万円、自分が自営業で年収312万円の場合:8~10万円/月

ただし、これらはあくまで目安であり、実際には話し合いや裁判所の判断によって決まります。

3. 養育費の請求方法

養育費を請求する方法は大きく分けて二つあります。

一つ目は、先述したように父母が話し合いによって決める方法です。双方が同意さえすれば、条件を自由に決められます。

二つ目は、裁判所に申し立てて決めてもらう方法です。当事者の話し合いで解決しない場合にとる方法で、「養育費請求調停」という手続きを行います。

(1)養育費請求調停とは

養育費請求調停とは、裁判所に申し立てて、裁判官ではない調停委員と呼ばれる第三者の仲介で養育費の金額や支払い方法などを決める手続きです。

調停では、養育費算定表や婚姻中の生活実態などを参考にして、父母が合意できるように調整が行われます。調停で合意が成立すれば、その内容は法的に拘束力を持つため、相手側が従わないときに強制執行の手続きが取れるようになります。

(2)養育費請求調停の具体的な流れ

養育費請求調停の流れは以下の通りです。

①家庭裁判所へ申し立て

母親が養育費請求調停の申立書を作成し、家庭裁判所に提出します。

②期日決定

家庭裁判所が父母に対して、調停の期日や場所を通知します。

③出席

父母が期日に家庭裁判所に出席し、調停委員と話し合います。必要に応じて何回か出席することがあります。

④終了

父母が合意した場合は、その内容を記した調停調書が作成され、終了となります。

養育費請求調停にかかる費用は、子供1人につき1200円分の収入印紙と、連絡用の郵便切手(金額は各裁判所による)が必要です。また、弁護士に依頼した場合は、弁護士費用も発生します。

(3)養育費請求調停が成立しなかった場合はどうなる?

調停は裁判所の手続きは、裁判のように強制力がある解決方法ではなく、あくまで当事者同士の合意が必要です。どうしても合意が取れない、もしくは相手が調停の場に来なかった場合、調停不成立となります。

調停不成立となった場合は、自動的に審判手続きへと移行します。審判手続きとは、裁判官の判断でトラブルを解決する手続きのことです。

審判に移行すると、双方の主張や提出された証拠をもとに、裁判官が客観的かつ公平に養育費の内容を決定します。話し合い~調停までで折り合わなかった問題も強制的に解決できますが、自分の希望する結果になるとは限らないので注意が必要です。

4. 離婚後に出産した場合の親権

離婚後に出産した場合の親権は、基本的に母親(元妻)が持ちます。しかし、子供の戸籍や氏については注意が必要です。

離婚後300日以内に出産した場合は、子供は元夫の戸籍に入ります。これは「嫡出推定」という法律上の仕組みで、離婚後300日以内に生まれた子供は元夫の子供と推定されるからです。この場合、母親と子供の姓が異なることになります。

母親と子供を同じ姓にするには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申し立てを行い、許可を得なければなりません。

離婚後300日より後に出産した場合は、子供は母親の戸籍に入ります。この場合は先述の通り、認知がない限り子供との間に法的な父子関係は成立しません。

妊娠中に離婚した場合には、養育費の取り決めを正しく行うことが大切です。安心して子育てができるよう、早めに弁護士へ相談しましょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2023年07月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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