【労働者向け】無断欠勤を理由にした懲戒解雇は認められる?

【労働者向け】無断欠勤を理由にした懲戒解雇は認められる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

突発的に会社を休まなければいけなくなった場合、社内ルールに基づき連絡をするのが一般的です。しかし、体調不良などの理由で、会社に連絡することができずに仕事を休んでしまうことがあるかもしれません。

労働者としては、欠勤したことについてきちんとした理由があったとしても、会社側から無断欠勤を理由として懲戒解雇が言い渡されることもあります。このようなケースでは、どのように対応したらよいのでしょうか。そもそも無断欠勤のみを理由にした懲戒解雇は認められるのでしょうか。

今回は、労働者の方向けに、無断欠勤を理由にした懲戒解雇が認められるのかについて解説します。

1. 無断欠勤を理由とした懲戒解雇は認められる?

無断欠勤を理由として懲戒解雇をされた場合には、不当解雇として争うことができる可能性があります。

(1)懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、社内の秩序を乱した労働者に対して、ペナルティーとして課される懲戒処分の一種であり、労働契約関係を終了させるというもっとも重い懲戒処分です。

懲戒解雇は、使用者が労働者に対して制裁として行うものであり、一方的に労働契約関係を終了させることになります。そのため、使用者が自由に行うことができる性質のものではありません。

懲戒解雇は、懲戒解雇となる理由が就業規則に明記されているなど、客観的に合理的な理由があり、処分内容が過度に重くないなど社会通念上相当と認められる場合でなければ認められません(労働契約法第15条)。

このような要件を満たさない懲戒解雇は、不当解雇であるとして無効になります。

(2)無断欠勤のみを理由とした懲戒解雇は違法となる可能性がある

会社の就業規則などに「○日以上の無断欠勤」を懲戒事由として規定している場合、会社側は、就業規則の懲戒規定を形式的に適用して、無断欠勤をした労働者を懲戒解雇にすることがあります。

しかし、懲戒解雇は懲戒処分の中でももっとも重い処分であり、労働者に対して著しい不利益を課す処分となります。そのため、懲戒解雇の有効性を判断するハードルは極めて高く、容易には認められません。

労働者に無断欠勤があったとしても、普段の勤務態度に問題がなく、これまで懲戒処分を受けたことがないような場合には、直ちに懲戒解雇をするということは相当性を欠くとして、不当解雇と認められる可能性が高いといえます。

2. 労働者も理解しておきたい解雇の流れ

懲戒解雇をされる場合は、次のような流れで行われるのが一般的です。

(1)労働者に対して弁明の機会を与える

懲戒解雇を行う場合には、労働者に対して弁明の機会を与えることが必要になります。会社側としては、無断欠勤をした労働者に対して、無断欠勤をしたことに関して言い分があるかどうかを確認することになります。

無断欠勤をしたことに関して正当な理由がある場合は、弁明の機会にきちんと会社側に伝えて、懲戒解雇の撤回を求めるようにしましょう。

(2)解雇予告の除外認定

懲戒解雇をする場合であっても、普通解雇と同様に、原則として30日前の解雇予告、または解雇予告手当の支払いが必要になります(労働基準法第20条)。

ただし、懲戒解雇の場合には、労働基準監督署に申請をして解雇予告の除外認定を受けることによって、解雇予告手当の支払いが不要になることがあります。即日解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支払われていないという労働者の方は、解雇予告の除外認定の手続きがとられているかどうかを確認してみるとよいでしょう。

(3)懲戒解雇通知書の交付

弁明の機会を与えたうえで、なお懲戒解雇が相当であると考える場合には、会社は労働者に対して、懲戒解雇通知書を交付して、懲戒解雇を言い渡すことになります。

懲戒解雇をされたもののその内容に納得がいかない労働者の方は、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

(4)離職票の発行

懲戒解雇の場合も、普通解雇や通常の退職手続きと同様に、会社は労働者に対して離職票を交付する必要があります。懲戒解雇の場合、会社都合での退職と比べて、失業保険を受給するまでの期間が長い、失業保険をもらうことができる日数が少なくなるなど、不利な取り扱いになることがあるため、注意が必要です。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年06月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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