離婚協議中、相手が弁護士を立てた場合にとるべき行動は?
離婚に向けた話し合いを夫婦間でしているときに、相手が弁護士を立ててくることがあります。「今後は弁護士を通じて協議を進めよう」と言われて、困惑する方もいるかもしれません。
本コラムでは、離婚協議中の相手が弁護士を立てた場合にどうすればよいのかを解説します。
1. 相手が弁護士を立てたら、離婚はどう進める?
相手が弁護士を立てた場合にどうなるのか、その後の離婚手続きは弁護士が介入しなかった場合と比べて変わるのかについて解説します。
(1)相手が弁護士を立てたら何が起こるか
相手が弁護士を立てた、すなわち弁護士へ離婚協議の交渉に関する代行を依頼した場合、通常は受任通知が届きます。
受任通知に記載されているのは、一般的に以下の内容です。
- 相手方があなたと離婚をしたいという意思表示
- 離婚に伴ってあなたに要求したいこと(慰謝料や養育費、親権など)
- 今後は相手方への直接連絡はせず、相手方の弁護士を通してほしいという要求
- 弁護士の連絡先(弁護士名、事務所の住所、電話番号など)
- 記されている要求に応じるかどうかの回答の求め
(2)弁護士の介入で離婚手続きは変わるか
相手が弁護士を立てることで、その後の離婚手続きは変わります。具体的には、協議の窓口がその弁護士に変わり、配偶者との直接的な話し合いはしないように求められます。
一方的に「以降は弁護士と話し合ってくれ」と告げられたところで、納得できない方もいるかもしれません。しかし、弁護士からの連絡を無視して配偶者との話し合いを続けようとすると、交渉にあたって不利に働く可能性もあります。
たとえば、配偶者がモラハラやDV、つきまといなどの被害を主張していた場合、直接交渉を求める行為が、そうした被害の存在する証拠と捉えられかねません。話し合いがまとまらず調停や裁判になったとき、裁判官の心証を悪化させるおそれがあるため、注意しましょう。
2. 相手に弁護士がついたら、連絡方法は?
相手方に弁護士がつくと、相手方との直接的な接触が禁止され、連絡には相手方の弁護士を介さなければならなくなるのが一般的です。届いた受任通知に記載されている、弁護士の連絡先を確認しましょう。相手方から届いた書面に、一定期間内に連絡するよう求める記述がある場合には、対応方法を検討しましょう。
ただし、焦って相手弁護士と直接連絡をとることは避けたほうが無難です。後述しますが、相手方の弁護士と話し合うことで、後の交渉に差し障りが生じるおそれがあります。
書面が届いたら、できるだけ早く自分の味方となってくれる弁護士に相談の上、助言を受けるようにしましょう。
3. 相手が弁護士を立てたら、自分も弁護士を立てるべき?
相手が弁護士を立てた理由としては、直接の話し合いを避けたい、離婚の交渉を有利に進めたいといったものが考えられます。こちらも対策を採らなければ、交渉において相手側に主導権を握られかねません。相手のペースに飲まれて一方的に不利な立場になることを避けるためにも、こちらも弁護士を立てることを検討しましょう。
以下では、弁護士を立てないままで交渉した場合のデメリットと、弁護士を立てた場合のメリットを解説します。
(1)弁護士を立てないまま交渉するデメリット
個人対弁護士では、離婚において不利になる可能性があります。相手方のみに弁護士がつくことで生じるデメリットは、次のとおりです。
①適切な主張方法や要求内容がわからない
離婚にあたって相手方と交渉するには、法律の定めや金銭の相場などを踏まえた主張が必要となります。
たとえば、子どもの親権を得たいときにどのような事実を主張すればいいのか、あるいは相手の浮気を理由とする離婚で慰謝料はどの程度請求できるのか、専門家ではない一般人にはわかりません。自分で交渉しようとしても、何をどのように主張すればよいかがわからず、要求できないというデメリットがあります。
②交渉力の差でストレスや不利益が生じかねない
専門家ではない一般人が弁護士と交渉しようとすると、そこには交渉力の差が生じます。弁護士が法律や裁判例を根拠として主張してきた場合、的確な反論をするのは非常に困難です。
調停や裁判に移行した場合でもこれは同様であり、常に相手側のペースで話し合いや訴訟が進む可能性もあります。自分の思うような主張ができないことは、大きなストレスとなりかねません。加えて、相手の主張ばかりが通れば自分の不利益になります。
③各種手続きに時間や労力を費やさねばならない
弁護士に依頼しない場合、証拠の用意や文書作成、離婚調停や離婚裁判の手続きもすべて自分で行う必要があります。そのような手続きは、専門家でない一般人が普段行うものではないため、都度調べなければなりません。多大な時間や労力を費やさねばならず、仕事や日常生活にも支障が出るおそれがあります。
(2)弁護士を立てることで得られるメリット
弁護士を立てると弁護士費用はかかりますが、次のようなメリットが得られます。
①的確な交渉の仕方や、慰謝料・養育費の相場がわかる
弁護士によるサポートがあると、何を主張すれば相手方の弁護士や裁判官が受け入れてくれそうか、慰謝料や養育費などをどの程度請求できるかといったことがわかります。たとえ協議がまとまらず調停や裁判となった場合にも、法律や裁判例に裏づけられた主張を行っていれば、認められやすくなります。
②対等な立場で交渉を進められる
自分の立てた弁護士が交渉してくれるため、相手方の弁護士と対等な立場・条件で交渉できます。相手に交渉の主導権を握られてしまう心配もありません。全面的に自分の主張が通るかどうかは別として、要求したいことをきちんと述べられれば、ストレスも感じにくいはずです。
③面倒な各種手続きを代行してもらえる
離婚に絡むさまざまな手続きは弁護士に任せればいいので、時間や労力の節約にもつながります。仕事や日常生活に与える影響を抑えられ、負担が大きく軽減されます。離婚することで就職先を新たに探す必要がある場合などにも、こうした手続きを代行してもらえると役立つはずです。
相手方が弁護士を立ててきた場合、自分だけの力で対抗するのは困難です。こちらも弁護士に相談し、対策を立てることをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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