親権を獲得したい。離婚調停で聞かれることとは?
離婚調停における質問は、「どちらを親権者とする方が子どもの利益になるか」という観点から行われます。
したがって、離婚調停で親権を獲得するには、ご自身が親権者となった方が子どもの利益になることを、調停委員に対して説得的に訴えることが大切です。
今回は、離婚調停で親権に関して聞かれることの内容や、親権を獲得するための留意事項などについて解説します。
1. 離婚調停で親権に関して聞かれること
離婚調停で親権が争われている場合、調停委員は「夫婦のどちらと暮らす方が子どもにとって利益になるか」を判断するため、さまざまな質問を行います。
具体的には、以下の各事項について質問される可能性が高いです。
(1)子どもの養育状況
離婚調停では、これまで子どもの養育を積極的に行ってきた側に親権を認めようとする傾向にあります。つまり、一般的には、普段の子どもの世話をしている親が有利となります。
そのため調停委員は、子どもの養育状況に関する以下のような事項につき、夫婦双方に質問してくることが予想されます。
- 1日の中で子どもと関与する時間
- 子どもとの普段のコミュニケーションの内容
- 養育費の分担状況
など
(2)収入の状況・離婚後の収支の見込み
子どもを養育していけるだけの自立した経済力があるかどうかは、親権者を決定する際の一つの考慮要素です。
調停委員は、経済力や資金活用の計画性などに関して、以下のような事項を質問してくる可能性が高いです。
- 現在の収入額
- 将来的な収入の変動見込み
- 離婚後の収支計画
など
(3)親権者となった場合に得られるサポートの内容
離婚後に一人で子どもを育てていくのは大変ですが、周囲にサポートしてくれる親族などがいれば、子どもにとって安心できる養育環境といえるでしょう。
したがって、仮に子どもの親権者となった場合に、サポートできる親族がいるかどうかについても、調停委員から質問される可能性があります。
(4)面会交流に関する意向
離婚調停では、離婚後の面会交流の方法についても取り決める必要があります。
そのため、仮に親権者になった場合には、面会交流についてどうするのか、たとえば、以下の事項について、調停委員から意向を確認されることになるでしょう。
- 頻度
- 場所
- 活動内容
- 面会交流時の子どもの引き渡し方法
- 非親権者と子どもの間で普段の連絡を自由に認めるかどうか
など
2. 離婚調停における親権争いを有利に進めるためのポイント
離婚調停で親権を獲得したい場合、調停委員を味方に付けることが必要不可欠です。
そのためには、子どもの養育に積極的に関与すること、および客観的な資料を基に主張を行うことを意識するとよいでしょう。
(1)子どもの養育に積極的に関与する
親権は、子どもの養育に長い時間、多くの量、関与している親に認められやすいです。
また、子どもの年齢がある程度高ければ(おおむね10~12歳以上)、親権の決定に際して子どもの意思が尊重される傾向にあります。
養育の状況については、家庭裁判所調査官による調査の対象にもなりますので、離婚調停の最中は(できればその前から)、子どもと積極的にコミュニケーションを取るようにしてください。
(2)客観的な資料を基に主張を行う
離婚調停では、夫婦のどちらも自分に有利な主張を行うため、調停委員としては判断に迷う場面が多いです。
しかし、客観的な資料に基づく主張は信ぴょう性があるため、調停委員も判断の基礎としやすくなります。
たとえば、収入であれば確定申告書や源泉徴収票、養育費の分担状況であれば銀行口座の入出金履歴など、できる限り客観的なエビデンスに基づく主張を展開するように努めましょう。
3. 離婚調停で親権を獲得するためにやってはいけないこと
反対に、離婚調停の最中に以下のような行為をすると、調停委員の心証を害して親権を獲得できる可能性が低くなりますのでご注意ください。
(1)子どもを連れ去る
子どもと一緒に暮らしたという既成事実を作るため、相手の承諾なく子どもを連れ去って別居する方が稀にいらっしゃいます。
しかし、相手からDVやモラハラを受けている場合などを除けば、子どもを連れ去って別居することは「悪意の遺棄」に当たる違法行為です(民法第770条第1項第2号)。
調停委員からの印象も悪化するため、相手の承諾なく、子どもを勝手に連れ去るのはやめましょう。
(2)相手のことを侮辱する
ご自身の主張を伝えたい思いが余ってのことか、相手のことを口汚く侮辱する方もたまにいらっしゃいます。
しかし、相手に対する一方的な侮辱に当たる発言が、調停委員に受け入れられることは決してありません。
離婚調停では、努めて冷静かつ客観的な根拠に基づく主張を行い、調停委員の理解を得る姿勢が大切です。
(3)他の異性と交際する
離婚調停が続いている間は、まだ婚姻関係が継続している状態です。
夫婦仲がどんなに悪いとしても、他の異性と性交渉を行うことは原則として不貞行為に該当します(民法第770条第1項第1号)。
不貞行為をした側については、たとえ子どもとの関係自体には影響がない場合でも、調停委員の印象が悪化しかねません。
そのため、他の異性と交際するのは、正式に離婚が成立してからにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2022年11月18日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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