離婚調停の期間はどれくらい?調停が長引くケースとは?
協議離婚の話し合いがうまくまとまらない場合、裁判所での「離婚調停」に発展する可能性があります。
離婚調停による離婚成立までの見通しを立てるために、期間や回数がどの程度かかるのか、長引くのはどのようなケースかについて知っておきましょう。
1. 離婚調停で話し合うべき内容
離婚調停で話し合うべき内容は、大きく分けて「離婚するかどうか」と「離婚条件の具体的内容」の2つです。
(1)そもそも離婚するかどうか
離婚すること自体について意見が食い違っている場合には、そもそも離婚するかどうかから話し合う必要があります。
調停委員の仲介の下で、今後夫婦関係が再建できる見込みがあるのかどうかを、お互いの言い分を踏まえながら話し合います。
なお、離婚すべきかどうかについて根本的に夫婦の意見がかけ離れており、調整がつかない場合には、早々に離婚調停を打ち切り、離婚訴訟へと場を移すことも考えられます。
(2)離婚条件の具体的内容
離婚をすることについて大筋で合意できた場合や、一定の条件を満たせば離婚してもよいという提案がなされた場合には、離婚条件の具体的な内容を離婚調停で話し合います。
離婚調停で話し合うべき主な離婚条件は、以下のとおりです。
①財産分与
夫婦の共有財産につき、分け方を話し合います。
②慰謝料
不貞行為などどちらか一方のみに離婚の原因がある場合、精神的な損害の補償額を話し合います。
③年金分割
どちらかが厚生年金に加入している場合、加入記録をどのように分割するかを話し合います。
④親権
子どもの親権をどちらが持つかについて、子どもの利益を最優先に考慮しつつ話し合います。
⑤養育費
非同居親が同居親に対して支払う養育費用の金額を話し合います。
⑥面会交流の方法
非同居親が子どもに会う頻度や方法などを話し合います。
2. 離婚調停の期間や回数はどれくらい?
離婚調停の期間や回数の目安については、裁判所が公表している「司法統計」のデータが参考になります。
(参考:「司法統計 家事 令和元年度 16 婚姻関係事件数 終局区分別審理期間及び自獅子期日回数別 全家庭裁判所」(裁判所))
(1)期間は6か月以内が6割超、1年以内が9割超
令和元年(2019年)度の司法統計によれば、調停成立の3万2532件のうち2万558件(63.2%)、調停不成立の1万360件のうち6290件(60.7%)が、6か月以内で終結しています。
また、1年以内に終結した件数は、調停成立のケースで3万2532件中2万9737件(91.4%)、調停不成立のケースで1万360件中9371件(90.5%)です。
このように、大半のケースでは離婚調停が1年以内で終結していることがわかります。
(2)期日回数は1~5回が8割以上、多くとも10回以内
離婚調停の期日回数については、5回以内で終結した件数が、調停成立のケースで3万2532件中2万6056件(80.0%)、調停不成立のケースで1万360件中8310件(80.3%)です。
また、10回以内で終結した件数まで範囲を広げると、調停成立のケースで3万2532件中3万1783件(97.7%)、調停不成立のケースで1万360件中1万101件(97.5%)となります。
上記のデータからは、離婚調停は5回以内で終結するケースが多く、回数がかさんだとしてもおおむね10回以内で終結する可能性が高いことがわかります。
3. 離婚調停が長引くケースとは?
離婚調停が長引くのは、主に各種の離婚条件について夫婦間の意見に相違がある場合です。
特に以下の点について争いがある場合、離婚調停が長期化する傾向にあります。
もし離婚調停が長期化しそうな場合には、ある程度の段階で調停離婚に見切りをつけ、離婚裁判を提起する準備を進めましょう。
調停離婚・裁判離婚の切り替えのポイントについては、弁護士にご相談ください。
(1)財産分与の金額・方法に争いがある場合
財産分与のベースとなる、夫婦の共有財産の範囲について争いがある場合には、財産調査などに時間がかかり、結果的に離婚調停が長期化します。
また、収入の多い側が半々の財産分与を拒否し、多くの財産を確保しようとする場合、その正当性について激しい議論が交わされ、離婚調停が長期化する可能性があります。
(2)親権の帰属や面会交流の方法について争いがある場合
離婚後の子どもとの関わり方は、夫婦双方にこだわりがある場合が多いため、離婚調停において揉めやすいポイントといえます。
特に、親権を双方が主張している場合や、面会交流の頻度・方法などについて希望内容に相違がある場合には、離婚調停が長期化する原因になります。
(3)慰謝料の金額について争いがある場合
慰謝料をそもそも払う必要があるのか、また払うとしてどのくらいの金額かという点も、離婚調停で争いになりやすいポイントのひとつです。
どちらか一方に非があるのか、それともお互い様なのかについて対立することもあり、感情的なもつれもあって、激しく争われる傾向にあります。
- こちらに掲載されている情報は、2022年02月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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