
- 離婚・男女問題
離婚裁判(離婚訴訟)の流れを解説! 必ず公開になるの?
通常、離婚をする際にはまず夫婦間で協議を行います。協議で合意がとれないときには、家庭裁判所で調停を行います。そして、調停でも離婚に関する合意がまとまらない場合には、最後の手段として、離婚訴訟(離婚裁判)を提起することになるのです。
今回は、「離婚裁判」とはどのようなものか、裁判手続きの流れや離婚裁判を行うことのメリットについて、解説いたします。
1. 離婚裁判の流れ
(1)調停前置主義
離婚訴訟を行うためには、前提として、訴訟の前に離婚調停を行っていることが必要です。これを「調停前置主義」といいます。
仮に離婚調停を行わず、いきなり離婚訴訟を申し立てたとしても、たとえば被告が行方不明の場合など調停を申し立てる意味がないような特殊な場合を除いて、調停に付されることになります。
(2)訴状の作成、提出
離婚訴訟を開始するためには、訴状を作成したうえで、夫婦のいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所へ提起することになります。
なお、自分が訴訟を提起した場合には、自分は「原告」、配偶者は「被告」となります。また、たとえば配偶者が不貞行為を行っていたような場合には、訴状を提出する際に、離婚訴訟とあわせて同時に慰謝料を請求することも可能です。
訴状には民法に定められている「法定離婚事由」を記載したうえで、記載した離婚事由の存在を裏付ける証拠も提出します。
離婚訴訟においては、訴状を作成する際にも、その後の裁判の手続きの場面でも、裁判所を納得させるために自分の意見を効果的に主張する必要があります。そのため、離婚訴訟の提起を検討されているなら、早い段階から弁護士に相談して準備を進めるとよいでしょう。
(3)期日・判決
訴状を家庭裁判所へ提出したら、初回の裁判の期日が決定され、その期日の1週間前を目安に被告から訴状に対する反論が記載された書面(答弁書)が提出されます。
原告は裁判の期日に裁判所まで行って出席しなくてはなりませんが、弁護士に依頼している場合には、弁護士だけの出廷で十分で、自身が裁判所に出向かなくても問題ありません。
初回期日の後は、原告と被告の双方が主張と証拠を互いに提示しあって、裁判が進んでいくことになります。裁判所での続行期日や尋問といった手続きを経たのちに、最終的には、裁判所が判決を言い渡すことになるのです。
判決には、裁判所が離婚を認めるか否かの判断が記載されています。もし判決に不服がある場合には、「控訴」を行うことで、高等裁判所で争うことができます。ただし、控訴期間内(判決正本が送達された日の翌日から2週間)に控訴をしなかった場合には、判決は確定して、離婚が成立します。
なお、離婚訴訟だからといって、結果は必ずしも「判決」によって定まるわけではありません。裁判所から「和解」の提案がされて、当事者が合意することができれば、和解によって解決することも多くあります。
(4)離婚届の提出
離婚を認める判決が確定した場合や和解で離婚が成立した場合、そのままでは「離婚した」という事実が戸籍に反映されるわけではありません。「離婚した」という事実を戸籍に反映させるためには、裁判をした当事者が、役所へ届け出をする必要があるのです。
たとえば、判決によって離婚が確定した場合には、離婚訴訟を提起した当事者は、離婚を認める判決が確定した日や和解が成立した日から10日以内に、役所に届け出る必要があります。なお、10日以内に届出がない場合には、裁判の相手方が届出をすることも可能になります。
2. 離婚裁判は必ず公開になるの?
離婚裁判は、他の民事訴訟と同様に、公開されるのが原則です。例外として、特別の事情がある場合には公開を停止することが許される場合がありますが、実際に公開が停止されることはきわめて珍しいのです。
ただし、裁判が公開されていると言っても、当事者の主張や証拠などが、細部にわたって傍聴人に把握されるわけではありません。主張は書面の形で裁判所に提出され、実際の法廷ではその内容がすべて読み上げられることにはなりません。
また、裁判所に提出した書面や証拠類についても、裁判所に対して閲覧請求をしない限り見られることはなく、全く無関係の第三者の閲覧請求が無制限に認められる可能性は低いと言えます。
3. 離婚裁判のメリットとは?
離婚裁判は、当事者ではなく裁判所が判決によって離婚の可否を決定するという点で、協議や調停とは異なります。
当事者の双方が主張と証拠に基づいて、「離婚事由が存在している」「離婚の要件が満たされている」と裁判所が判断をした場合には、たとえ相手方が離婚を拒絶していたとしても、離婚をすることができるのです。
つまり、「強制力」のある結論を得られる可能性があるという点が、離婚裁判の最大のメリットとなります。
ただし、自分の望んでいる結論を裁判で得るためには、自分の意見を裁判所に対して効果的に主張して立証するための、準備や戦略が必要となります。したがって、裁判を提起するなら、法律と訴訟の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2022年02月03日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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