
- (更新:2023年02月07日)
- 離婚・男女問題
離婚調停のすすめ方とは? 弁護士を依頼するメリットについても解説
配偶者と離婚を希望しているものの、うまく交渉ができず離婚調停を検討していませんか。
離婚時は、子どもの親権や慰謝料などなかなか個人同士の話し合いでは解決に至らない問題も多くあります。ここでは、離婚調停の進み方、離婚調停の際に弁護士を依頼するメリットについて解説していきます。
1. 離婚調停とは?
離婚調停とは、調停委員を通して夫婦の話し合いにより離婚の合意を目指す手続きのことです。離婚調停の仕組みについて確認をしておきましょう。
(1)離婚調停とは
離婚調停は正式には、「夫婦関係等調整調停」と呼ばれます。離婚調停では、離婚自体のみでなく離婚に関連する親権者や養育費、財産分与や慰謝料などの問題も含めて話し合いにより決着をつけていくことを目指します。もし、離婚調停を行ってもお互いの合意が得られず成立しない場合は、不成立となります。
(2)調停委員とは
離婚調停では、裁判官または調査官とともに、調停委員が立ち合います。調停委員とは、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家や地元の有識者から選出されることになっています。また、離婚調停の場合には男女の問題であるため、調停委員は男女1人ずつ選出されます。
(3)調停前置主義のため、すぐに訴訟は提起できない
日本では、夫婦が離婚する際に原則としていきなり訴訟を起こすことはできません。
家事事件手続法第257条1項では、「調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申し立てをしなければならない。」と規定しています。これを調停前置主義といいます。
いくら話し合いでの解決が困難であることが予想され離婚裁判を望む場合であっても、まずは調停を申し立てなければなりません。
(4)離婚調停と離婚裁判の違い
離婚調停では、前述のとおり基本的に当事者による話し合いによる解決を目指します。
他方、裁判では裁判所によって判決を下されます。離婚裁判で決定した判決については、判決結果に納得がいかなくても判決が確定すれば結果を受け入れる必要があります。
2. 離婚調停の申し立て手順
次に離婚調停の手順を解説します。離婚調停を開く場合は、原則として相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所に「申し立て」を行う必要があります。
(1)調停を申し立てる際に必要な書類
離婚調停を申し立てるために、申し立てを行う裁判所によりますが、おおむね必要な書類は以下のとおりです。
- 申立書3通
- 事情説明書1通
- 子についての事情説明書1通
- 連絡先等の届出書1通
- 進行に関する照会回答書1通
- 3か月以内に発行された戸籍謄本1通
- 発行から1年以内の「年金分割のための情報通知書」
(2)離婚調停に必要な費用
離婚調停の申し立てに必要な費用は下記のとおりです(令和3年1月時点)。
- 収入印紙1200円分
- 連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって異なるがおおむね2000円前後)
3. 離婚調停の流れ
次に、離婚調停の具体的な流れについて解説します。
(1)家庭裁判所による期日の調整
離婚調停の申し立ての後に、家庭裁判所は第1回調停期日の調整を行います。原則として申立人、裁判官、調停委員の都合のよい日が選択されます。第1回調停期日が決定すると、家庭裁判所から、申立人と相手方それぞれに期日指定の通知書が送付されます。初回の離婚調停日は申し立てから1か月~2か月後となることが多い傾向があります。
(2)離婚調停が行われる頻度と調停成立までの長さ
調停はおおむね1か月~1か月半に1度というペースで行われます。双方の合意が得られれば調停終了となり、調停離婚が成立します。離婚調停の中には半年ほどで終了するものもありますが、1年を超えても調停が成立しない案件もあります。
(3)調停の1日の流れ
調停当日は、調停室に呼ばれるまで家庭裁判所の待合室で待機します。待機室は夫婦それぞれに別の部屋があてがわれますので、相手方と同室で待機することはありません。
そして当事者の1人ずつが調停室に呼び出されて離婚に至った経緯や離婚に求める条件などを聞かれます。1人の話が終了した後に、相手方が調停室に呼び出され、同様の話が行われます。
1人ずつの話を2往復ほど繰り返し、1回の調停は2~3時間程度で終了することが多いでしょう。1回の調停が終了すると、次の調停期日を決定します。
(4)離婚調停の成立後
調停が成立すると裁判官によって調停調書が作成されます。調停調書には法的な強制力がありますので、調停調書の金銭支払いに関する取り決めの内容が守られなかった場合は、給与や預金を差し押さえる強制執行を申し立てることが可能です。
調停が成立したら、調停調書などを役所に提出して離婚が成立します。
4. 離婚調停を弁護士に依頼すれば交渉が有利に
離婚調停を弁護士に依頼することで、以下のように交渉が有利に進む可能性があります。
(1)適正な金額の慰謝料や財産分与、養育費となる
離婚調停では慰謝料や財産分与、養育費、親権などさまざまな権利を争い、決定していきます。お金の面で、特に注意すべきなのが財産分与や養育費です。
金額が大きくなり揉めやすいところでもあります。弁護士に依頼をせずに調停委員と本人同士の話し合いによって解決する場合は、支払う金額が相場よりも高額になったり、また受け取る金額が低額になったりする懸念があるでしょう。
しかしながら弁護士に話し合いの場に同席してもらうことで、適正な金額での解決を求めていくことが可能です。
(2)証拠集めから離婚調停の戦略までトータルで対応できる
離婚調停を弁護士に依頼することで、戦略を立てて調停に臨むことができます。具体的には、証拠集めから必要書類の作成、代理人として調停への出頭などの対応です。特に離婚をするかどうかで揉めている場合や、慰謝料の請求で交渉が行き詰まっている場合には、弁護士による証拠集めのサポートや、アドバイスが欠かせません。
離婚調停を検討している方はひとまず弁護士へのご相談をおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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