職場でいじめ・嫌がらせをされた…役立つ対処法は?
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職場でいじめ・嫌がらせをされた…役立つ対処法は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「いじめ問題」は学校だけでなく、職場において大人たちのあいだでも生じる問題です。生活のために理不尽な状況を我慢している方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、職場いじめのよくあるパターンや、いじめに遭ってしまった際の対処法について解説します。

1. こんな経験ない? 「職場いじめ」のよくあるパターン

職場でのいじめは、職場における人間トラブルの中でももっとも深刻な問題だと言えるでしょう。職場いじめに遭ったことで、精神的にひどく追い詰められ、仕事を辞めざるを得なかったり、心の病気にかかったりしてしまうこともあります。以下は、職場いじめでよくあるパターンの一部です。

(1)無視・仲間外れ

集団で無視や仲間外れをしてくるのは職場いじめの典型的なパターンのひとつです。業務上必要な質問をしたのに無視されたり、わざと自分にだけ必要な資料や情報を与えてもらえなかったりするケースが挙げられます。

このような扱いを受けたことにより、仕事に支障が生じたとしても、周囲の人たちがいじめの事実を知らない場合は、被害者に不手際があったように見えてしまうことも少なくありません。陰湿な分、防いだり悪意の証明をしたりするのが難しく、厄介な嫌がらせだと言えるでしょう。

(2)嫌みや陰口を言われる

何かにつけて嫌みを言われたり、自分の知らないところで悪評を広げられてしまったりすることもあります。面と向かって嫌みを言われるのも非常に傷つきますが、嫌みに気づいたり情報の発信者を特定したりするのが難しい陰口の方がより対応に困ってしまうかもしれません。

根も葉もないうわさを信じた人から敵視されたり、距離を置かれたりすることで、職場の居心地が非常に悪くなってしまいます。

(3)無理な仕事の要求・押しつけ

ほかの社員に比べて明らかに多い量の仕事を押しつけてくる、要求水準が理不尽に高いなどのいじめをしてくる場合もあります。無理難題な仕事を押しつけ、達成できなかったら「無能だ」「なまけているからだ」などとののしり、被害者は休む暇もないほど働く羽目になり、疲労感にまみれ、いつのまにか本当に自分が悪いかのように思い込んでしまうこともあります。

(4)直接的な暴力・暴言

非常に短絡的な手段ですが、職場でも直接的な暴力や暴言によるいじめが発生する場合もあります。指導や注意などの題目をつけながら理不尽な言いがかりをつけ、ほかの社員の前で罵倒したり、頭部などの体を殴ったりしてくるようなケースです。

直接的に本人を傷つけなくても、「次に同じことをしたら殴るぞ」と脅したり、机や椅子を蹴飛ばして威嚇したりする場合もあります。こういったケースでは、傷害罪や脅迫罪などに該当する可能性が高いため、弁護士に相談することをおすすめします。

2. 職場でいじめ・嫌がらせに遭った際の対処法

いじめに対して深く傷つき、不安や恐れを感じてしまうのは当然のことです。しかし、現状のままひたすら耐え忍ぶだけでは、ストレスがたまり心身のバランスが崩れてしまうだけではなく、加害者が「抵抗してこない」と考え、いじめがエスカレートしてしまうかもしれません。

そこで以下では、職場いじめの対処法を解説します。

(1)いじめの証拠を集める

どのような方法で対処するにせよ、いじめの客観的な事実を証明できる記録を用意するのはとても重要です。記録の手段はスマホやICレコーダーでの録音、いじめ行為があったことがわかるメールなどのスクリーンショット、手書きのメモ、医師の診断書などさまざまな方法が考えられます。

いつ、誰からどのような嫌がらせを受けたかを詳細に記録することで、上司や人事課に対応をお願いしたり、弁護士に相談したりしやすいです。上司や人事課に相談する際も、メールで伝えることで相談した事実を証拠化しておくことが考えられます。もし会社を辞めるとしても、いじめの証拠があれば自己都合退職ではなく会社都合退職扱いになるので、失業保険の優遇を受けられます。

(2)毅然(きぜん)とした態度で対抗する

いじめの加害者に真っ向から立ち向かうことは非常に大きな勇気が必要です。しかし何の反抗も示さなければ、いじめの加害者は調子に乗ってさらに嫌がらせがエスカレートするかもしれません。嫌がらせを受けたとき、その場で堂々と相手の要求を拒否したり、理不尽を指摘したりすることで、相手をひるませ、いじめを止められる可能性があります。

ただし、このとき感情的になりすぎて暴言を放ったり、暴力に訴えたりしないように注意しましょう。どのような理由やきっかけがあるにせよ、いじめは明らかに社会人として不適切な行為なので、淡々と相手の非を指摘し、十分に自分の正当性をアピールすることが重要です。

(3)信頼できる人に相談する

いじめによって精神状態が悪くなると、自己肯定感が弱まり、自分で自分を追い詰めてしまいがちです。また、被害者が誰にもいじめの事実を知らせていないという状態は、いじめの加害者からするとメリットしかありません。

そのため、いじめの被害を受けたときは上司や仲の良い同期など、周囲の信頼できる人へすぐに相談しましょう。特に上司ならば、加害者に注意したり、配置換えなどの具体的な対処をしたりしてくれることが期待できます。

直属の上司が頼りない場合は、社内の相談窓口に相談するのもおすすめです。もしも社内で相談するのが難しく感じても、家族や友人、専門家に相談するなどして、悩みを一人で抱え込まないようにしましょう。

(4)転職する

上記で挙げたような対策をしても状況が改善されない場合、職場いじめを許容しているような会社は明らかに働く場所としてふさわしくないため、転職するのも妥当な考えです。また、会社員が転職することは至って普通のことですので、これ以上自分自身を追い詰めないためにも転職するというのも一考の価値があります。

(5)弁護士に相談・依頼する

職場いじめの被害については弁護士に相談するのもおすすめです。いじめで受けた心身の苦痛や経済的損失など、損害賠償請求したり労災申請したりする際には、法律の専門家である弁護士が心強い味方になります。

職場いじめは場合によっては、暴行罪や脅迫罪などの刑事責任を問われるほど不法な行為です。加害者や会社の責任をうやむやにせず、社会的制裁や経済的制裁を与えたいと考えている場合には、ハラスメントなどの労働問題の経験豊富な弁護士へ相談しましょう。

理由やきっかけは何であれ、職場いじめは不当で理不尽な行為であるのは変わりません。職場いじめの被害に遭ったら、自分一人で抱え込まず、信頼できる人や弁護士などに相談することが大切です。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年06月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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