教師がパワハラ被害に遭ったら? 対処法と相談窓口を紹介
パワハラというと企業内の問題だと考える方も多いですが、パワハラは学校内の教師間でも生じる問題です。令和2年6月から施行された改正労働施策総合推進法では、職場におけるパワハラ防止対策が事業主に義務付けられていますが、学校でも令和4年4月1日から同様の義務が課されるようになりました。
今回は、教師間のパワハラの対処法と相談窓口について解説します。
1. 教師間でのパワハラの事例
教師間で問題となるパワハラとしては、以下の6類型が挙げられます。
(1)教師に対する身体的な攻撃
殴打や足蹴り、相手に物を投げつける行為は、身体的な攻撃によるパワハラにあたります。たとえば、指導担当の教師が覚えの悪い新人教師を叩いたり、蹴ったりすれば、パワハラにあたるといえるでしょう。
(2)教師に対する精神的な攻撃
脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言などは精神的な攻撃によるパワハラにあたります。たとえば、児童や生徒が多数いる前で教師を厳しく叱責することは、パワハラにあたるといえるでしょう。
(3)教師に対する人間関係からの切り離し
隔離、仲間外し、無視などは人間関係からの切り離しによるパワハラにあたります。たとえば、特定の教師に対してのみ業務連絡をまわさず、ミスを誘発させることは、パワハラにあたるといえるでしょう。
(4)教師に対する過大な要求
業務上明らかに不要な要求、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害をすることは過大な要求によるパワハラにあたります。たとえば、新人教師に対して、まだ教わってもいないような過大な仕事を押し付けることは、パワハラにあたるといえるでしょう。
(5)教師に対する過小な要求
業務上の合理性なく経験や能力とかけ離れた程度の低い仕事をさせることや仕事を与えないことは過小な要求によるパワハラにあたります。たとえば、ベテラン教師に対して、誰でもできるような書庫の整理だけを命じることは、パワハラにあたるといえるでしょう。
(6)教師に対する個の侵害
私的なことに過度に立ち入ることは個の侵害によるパワハラにあたります。たとえば、休日に何をしていたのかなどをしつこく聞くことは、パワハラにあたるといえるでしょう。
2. パワハラ対策は事業主(学校)の義務
令和2年6月に施行された改正労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)では、事業主に対して、パワハラに対する防止措置を義務付けています。中小規模の学校に関しては、猶予期間が設けられていましたが、令和4年4月1日で猶予期間が終了し、すべての学校に対してパワハラ防止措置が義務付けられています。
教師間のパワハラを放置していると、以下のようなリスクが生じますので、学校には、パワハラ防止に向けた適切な対策を講じることが求められます。
- 精神疾患などの健康被害
- 内部統制の脆弱(ぜいじゃく)化による不祥事の発生
- モチベーションの低下による業務効率の低下
- 他の教師や生徒への悪影響
3. 教師間のパワハラについての相談窓口
教師間のパワハラについてのお悩みは、以下のような窓口で相談をすることができます。
(1)教育委員会
公立学校での教師間のパワハラの問題については、県または市区町村教育委員会に相談することができます。相談方法は、電話、メール、面接による相談など各自治体によって異なってきますので、まずは担当の窓口に連絡してみるとよいでしょう。
(2)私学教員ユニオン
私立学校での教師間のパワハラの問題については、私学教員ユニオンで相談を受け付けています。
私学教員ユニオンとは、私立学校で働く教師が集まって、労働環境の改善などに取り組む労働組合です。電話、メール、LINE、面接などの方法で相談を受け付けており、相談内容に応じて、以下のような対応をしてくれます。
- 私学教員ユニオンによる団体交渉
- 労働基準監督署への申告(通報)
- 労働問題を専門とする弁護士の紹介
(3)都道府県設置の教育センター
各都道府県には、教育センターが設置されていますので、パワハラの被害に遭っている教師の方は、教育センターに相談することもできます。教育センターでは、電話、メール、面接などの方法で教育相談に応じてくれます。
(4)弁護士
パワハラに関する問題は、法的トラブルにあたりますので、弁護士に相談することも可能です。
弁護士に相談をすることで具体的な解決方法をアドバイスしてもらうことができるだけでなく、弁護士に依頼すれば加害者や学校側との対応を任せることができます。パワハラによる職場環境の改善や損害賠償請求などをお考えの方は、弁護士に相談するとよいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年06月02日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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