労働問題を弁護士相談すべき理由と相談のとき用意したほうがよいもの
  • 2021年05月13日
  • 労働問題

労働問題を弁護士相談すべき理由と相談のとき用意したほうがよいもの

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

ハラスメント、残業代の未払い、不当解雇などの労働問題を解決するためには、弁護士に相談したほうがよいケースが多いものです。

本コラムでは、弁護士相談をスムーズに進めるために事前にある程度準備や確認していただきたいことについて、その一例をご説明します。

1. 労働問題を弁護士に相談するメリット

労働関係法令や各種制度について難しいとお感じになる方もいらっしゃるでしょう。

また、労働問題の相手方は労働者の(元)使用者です。使用者側は組織であることも多く、そのような場合には、ノウハウがある何人もの人たちを相手にしなければなりません。不十分な知識のままでは、交渉を誤り、本来であれば受けることができた支払いが受けられなくなることもありえます。したがって、労働問題への対応は法的な知見はもちろんのこと、慎重な交渉や対応が必要なのです。

しかし、多くの人は労働問題の対応について十分な知識と経験を持ち合わせていないということが、実情ではないでしょうか。それを補うための最善の方法は、弁護士に相談することです。

労働問題全般について、会社との交渉や裁判による解決に実績豊富な弁護士であれば、あなたの各種の法律アドバイスはもちろんのこと、あなたの代理人として会社と交渉等を行い、あなたによい方向の解決に導いてくれることが期待できます。多勢に無勢の状況の中で、弁護士はあなたの心強いパートナーとなり得るのです。

なお、労働問題は社会保険労務士も詳しいのですが、あなたの法定代理人として使用者側と交渉できるのは弁護士だけです。労働基準監督署でも相談ができ、アドバイスをしてくれますが、あなたの代理人として未払い賃金や損害賠償金を請求してくれるわけではないことを知っておきましょう。

2. 弁護士相談の際に必要なもの・確認しておいていただきたいこと

(1)証拠を集めてください

ご自身に何らかの労働問題が起きていると気づいた段階で、証拠の収集を始めてください。

証拠は、会社との交渉の場はもちろんのこと、裁判に発展したときに重要かつ必要不可欠なものになります。

ハラスメントであれば、LINE、メール、日々の記録、録音が考えられます。

未払い賃金であれば、タイムカード、パソコンのログ記録、会社のパソコンから送信したEメール、業務日報、出勤簿などが考えられます。

もし、労働問題が原因で心身を病んでしまった場合は、医師の診断書も有力な証拠となり得ます。

労働基準法第15条第1項および労働基準法施行規則第5条は、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと規定しています。
①契約期間に関すること、②期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること、③就業場所、従事する業務に関すること、④始業・就業時刻、休憩、休日等に関すること、⑤賃金の決定方法、支払時期等に関すること、⑥退職に関すること(解雇の事由を含む)は、原則として書面で交付されます。

これらの資料は、労働問題全般において会社と交渉する際に重要となります。可能な範囲で、ぜひ用意しておいてください。

(2)時効を迎えていないか確認!

時効は、未払い賃金があるときに問題となります。

使用者に対して労働者が未払い賃金を請求する権利は、賃金支払日の翌日から3年で時効となり消滅してしまいます(ただし、2020年3月31日までに発生した残業代については2年)。

もし、使用者との交渉が訴訟等で長期化しそうな場合には、本来、支払いを受けることができる賃金に時効が成立してしまうことが考えられます。したがって、直ちに時効を中断させなくてはなりません(これを「完成猶予」といいます。)。

時効の完成猶予が認められるためには、使用者に対して未払い賃金の支払いを求めるため、内容証明郵便で「催告」を送ります。そして、使用者に内容証明郵便が送達されてから6か月以内に訴訟を提起する必要があります。

(3)解雇の理由などを確認する

労働契約法第16条の規定により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、無効となります。

使用者から解雇を言い渡されたときは、使用者に対して労働基準法第22条で規定する「解雇理由証明書」の交付を請求してください。

解雇理由証明書は、解雇の有効性を争う際の重要な証拠となります。

(4)弁護士に依頼した場合にかかる費用

弁護士に相談したときにかかる相談料については、ご相談内容によって初回は無料としている法律事務所は少なくありません。しかし、実際に依頼をすると、弁護士報酬が必要となります。弁護士報酬の内訳は、相談料、着手金、実費、および使用者から支払いを受けた未払い賃金や損害賠償額に対する成功報酬です。

したがって、弁護士へ依頼するかどうかのひとつの判断基準は、支払いを受けたい未払い賃金や損害賠償金の金額によるといるでしょう。金額が少ない場合は、弁護士費用の方が高額になるため、ご自身で対応したほうがよいといます。

労働問題の相談において事前にご用意いただきたいものは、事案によって異なります。まずは弁護士にご確認ください。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年05月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。