
休職期間満了に伴い解雇予告された。対抗策はある?
会社が、休職していた従業員を、休職期間満了時に解雇することは違法の可能性があります。もし休職期間満了時に解雇予告を受けた場合は、速やかに弁護士へご相談ください。
今回は、休職期間満了時に解雇予告を受けた場合において、従業員がとるべき対応を解説します。
1. 休職・復職とは
まずは、「休職」と「復職」に関する法律上の取り扱いを確認しておきましょう。
(1)休職とは
労災による休職と私傷病による休職
「休職」とは、長期間にわたって仕事を休むことを意味します。休職は、労災による休職と私傷病による休職の2つに大別されます。
労災による休職とは、業務上または通勤中にケガを負い、または病気にかかったことを理由とする休職です。労災による休職については、使用者は労働者に対して各種の災害補償を行う義務を負います(労働基準法第75条以下)。また、労災によるケガや病気を理由とする解雇は、認められないケースが大半です。
これに対して私傷病による休職とは、業務または通勤とは関係がないところでケガを負い、または病気にかかったことを理由とする休職です。私傷病による休職の場合、会社は各種の災害補償を行う義務を負いません。また、休職が長期に及ぶ場合には、労働契約上の解雇事由に該当するとして、普通解雇が認められる可能性があります。
なお、会社によっては私傷病休職制度を設け、私傷病により休職する労働者の処遇(休職期間の上限や復職の手続きなど)を定めているケースがあります。もし私傷病によって休職せざるを得ない場合には、自社における私傷病休職制度の有無・内容を確認しておきましょう。
(2)復職とは
復職時には診断書などを提出
「復職」とは、休職者が仕事に復帰することを意味します。
復職をする際には、会社から医師の診断書などの提出を求められることが多いです。診断書などの記載や本人の状態から、仕事に復帰できる状態であると判断されれば、復職が認められます。
なお、休職前に従事していた業務に復帰できる状態ではないとしても、労働契約に基づき配置転換が可能な業務に従事できる程度に回復している場合には、復職して労務を提供し得る状態にあると解されます(最高裁平成10年4月9日判決)。この場合、「休職前の業務に復帰できないから」という理由で、会社が従業員を解雇することはできません。
2. 休職期間満了に伴う解雇予告を受けたら? 従業員の対処法
そろそろ休職期間が満了するので仕事に復帰しようと考えていた矢先に、会社から解雇予告を受けてしまうケースも見受けられます。休職期間満了に伴う解雇予告を受けた場合は、落ち着いて以下の対応をとりましょう。
(1)解雇の適法性を検討する
まずは以下の2つの観点から、会社による解雇の適法性を検討することが大切です。
- 労働契約上の解雇事由が存在するか(懲戒解雇の場合は、就業規則上の懲戒事由が存在するか)
- 解雇に客観的・合理的な理由があり、社会通念上相当と評価できるか(労働契約法第16条)
会社が従業員を適法に解雇するハードルはかなり高く、客観的に見て解雇が違法であるケースはよくあります。弁護士に相談しながら法的な検討を行い、その後の対応方針を決定しましょう。
(2)不当解雇の無効を主張する
解雇が違法である場合は、不当解雇の無効を主張しましょう。会社との協議を通じて解雇が撤回され、または労働審判・訴訟を通じて不当解雇が認定されれば、会社に復職することができます。
また、不当解雇によって職場を離れていた期間の賃金についても、その全額を会社に対して請求可能です(民法第536条第2項)。
(3)退職条件について交渉する
ご自身を不当解雇するような会社でこれ以上働きたくないと考える場合は、退職条件について交渉することも考えられます。
基本的には解雇の無効を主張しつつ、合意退職扱いを受け入れるのであれば退職金などの条件を上げてほしいという形で交渉するのがよいでしょう。会社としても、できる限りトラブルの深刻化は避けたいと考え、退職金の増額などに応じるケースが多いです。
3. 不当解雇が疑われる場合は弁護士に相談を
会社から不当解雇された場合には、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
弁護士に相談すれば、復職したい・好条件で退職したいなどの希望を実現するため、さまざまな角度からサポートしてもらえるでしょう。会社との協議や労働審判・訴訟などの手続きも全面的に任せられるため、労力やストレスも大幅に軽減されます。
不当解雇問題についてお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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