誹謗中傷などの被害に遭ったら、まずは開示請求! 手続きの流れを解説

誹謗中傷などの被害に遭ったら、まずは開示請求! 手続きの流れを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

発信者情報開示請求は、インターネット上の悪質な書き込みを発見した際に行える手続きです。

本コラムでは、インターネット上の問題ある書き込みへの対策にも用いられる開示請求でできることや、必要な要件、手続きの流れまで解説します。

1. 発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求は、誰もが閲覧できるインターネット上に誹謗(ひぼう)中傷などの悪質な書き込みがあった際に、その書き込みを行った人物(発信者)を特定するための手段です。

(1)開示請求に関する法律

開示請求に関して定めている法律は、開示請求を行う相手が行政機関か民間事業かで異なります。行政機関に対して行う開示請求は「行政機関個人情報保護法」の第12条~第26条で定められています。一方、民間のサイトやプロバイダなどへの開示請求に関して定めているのは「個人情報保護法」の第33条です。

インターネットの普及に伴う悪質な書き込みの増加を受けて、発信者情報開示請求を行う権利は、平成13年から「旧プロバイダ責任制限法」で認められていました。令和4年10月にはさらに「プロバイダ責任制限法」の改正が行われ、発信者情報の開示を迅速に求められる裁判手続き「非訟手続」が創設されるとともに、開示請求の範囲が見直されました。

出典:総務省「プロバイダ責任制限法Q&A

(2)悪質な投稿をした人物を特定できる

インターネット上において匿名で書き込みをした人物を特定するために、サイトなどの利用者情報を管理している行政機関や民間事業者に情報の開示を求めて行う手続きが、発信者情報開示請求です。

書き込みによって被害を受けた人は、トラブルが発生した掲示板やSNSなどの運営者、問題の書き込みを行ったアカウントの情報を保有しているプロバイダなどに情報の開示を求められます。情報開示後には問題の書き込みを行った人物の名前や住所などが確認でき、人物が特定されます。

(3)被害の拡大を阻止・損害賠償請求や告訴などにつなげる

インターネット上に名前や住所、写真などの個人情報が掲載されたり悪評を流されたりする被害に遭った場合、被害者は被害の拡大を阻止して書き込みをした発信者を訴えるケースがあります。

掲示板などに掲載されている悪意ある書き込みは、運営者に依頼して削除することも可能です。ただし、依頼した書き込みの削除ができたとしても、発信者がわからないとまたほかの場所に書き込まれるおそれがあります。発信者に対して損害賠償請求や告訴などを行い、慰謝料や罰金を支払わせられると、問題ある書き込みの防止にもつながります。

そして、発信者を訴えるには、訴える相手を特定しなければなりません。それゆえ、発信者情報開示請求を行い相手を明確にしてから、損害賠償請求・告訴の手続きを行います。

2. 開示請求が成り立つ要件とは

開示請求の要件は、プロバイダ責任制限法第4条の一・二で定められています。定められているのは、「特定電気通信による情報の流通」「権利侵害が明白」「開示を受けるべき正当な理由がある」の3つの要件です。これらを満たしていないと、開示請求は行えません。

特定電気通信とは、多数の人が見るインターネット上のWebサイト、掲示板、ブログなどです。開示請求を行えるかどうかは、インターネット上で、個人や組織などが名誉・プライバシーを侵害されたことが明確だと判断できるかどうかで決まります。

発信者の情報を開示するには確実な理由が必要になるため、権利侵害が明確ではないと判断された場合には、開示が認められません。権利の侵害が開示を受けるべき正当な理由には、主に損害賠償請求などが当てはまります。

3. 開示請求の手続きの流れ

開示請求には、従来の発信者開示請求手続きと、改正プロバイダ責任制限法で創設された非訟手続の2種類があります。これまでには複数回必要だった裁判手続きが、非訟手続の場合には1回の手続きだけで行えるようになりました。以下に、非訟手続の主な流れを紹介します。

(1)必要な準備

開示請求を行う前には、被害に遭っていた証拠を残す必要があります。インターネット上の書き込みを相手が削除すると、書き込みの証拠が消えるおそれがあるため、事前にスクリーンショットなどを撮って残しておきます。

スクリーンショットは、「日時」「投稿のURL」「書き込み内容」「前後の発言」などを残すことが重要です。ただし、書き込みは証拠になるため、運営者への削除依頼は慎重に行う必要があります。

(2)手続きの流れ

手続きは、証拠を確認して発信者情報開示請求が認められるかどうかを検討してから開始します。プロバイダなどでログを保存する期間は3か月~6か月ほどです。手続きはログが消える前にすばやく行わなければなりません。一般的には以下の流れに沿って進みます。

  1. サイトの運営者に情報の開示を求める(仮処分手続き)
    書き込みをした人物のIPアドレスなどの開示を求める仮処分の手続きで、確定前に情報を得られます。
  2. プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こす
    IPアドレスからプロバイダを特定し、開示請求訴訟を起こします。
  3. プロバイダから発信者情報の連絡が届く
    発信者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどがわかり、書き込みをした人物が特定できます。

開示請求の手続きは、サイトの管理者やプロバイダなども関係するため複雑になります。書き込みのログが消えるまでの短い時間に証拠集めから訴訟までを行う必要もあり、個人で行うのは難しいでしょう。開示請求を検討している場合には、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年03月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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