風評被害とは? 企業が風評被害を受けた際、弁護士に相談すべき理由
近年、ネット上の匿名の書き込みなどにより、企業や店舗が風評被害を受けるケースが多くなっています。風評被害を受けた場合、どこに相談できて、どのような対策が可能なのでしょうか。
本コラムでは、風評被害の影響や主な相談先について解説します。また、弁護士に相談した場合、どのような対策が可能なのかも詳しく紹介します。
1. 風評被害の種類と影響
まずは風評被害の概要や種類、誹謗(ひぼう)中傷との違いやそれによって企業が受ける影響について詳しく解説します。
(1)風評被害の種類
風評被害とは、裏付けのないうわさやデマなどによって企業や店舗などが経済的な損失を被ることを言います。
誹謗中傷は対象が主に個人で、悪口や脅しによって精神的にダメージを受けることが多いのに対し、風評被害は「この店の商品には有害物質が入っている」などのデマによって、精神面だけでなく経済的にも大きなダメージを受ける点が違います。
風評被害の種類には、ネット上の書き込み、口コミによるうわさ、マスコミによる偏った報道などがあります。特に近年、問題になっているのがネット上の書き込みです。
飲食店の検索サイトでは口コミや評価を投稿できるものが多く、誰でも匿名で簡単に投稿できるため、中には悪意をもって低評価をつけたり、根拠のない書き込みにより店の評価を下げようとしたりする人も少なくありません。
また、公表されているデータを意図的に切り取って、自社に有利なよう広告に掲載するのも風評被害にあたります。
平成18年には、A社がキシリトールガムの再石灰化効果を宣伝するため、B社の商品と比較した独自のデータを用いました。これは、B社からすると比較対象として劣っている印象を暗に与えかねないものだったため、裁判となりました。その結果、実験の合理性が認められずA社が敗訴した事例があります。
(2)風評被害による影響
最近は口コミサイトを参考にお店を決める人も多く、一度ネガティブなうわさが広がれば、長い期間にわたってお店の売り上げ減少につながってしまいます。
また、求人サイトに「ブラックだ」「店主がパワハラをする」などと書き込まれると、スタッフが集まらず人手不足にも陥ってしまいます。さらに取引先や常連客にまで悪評が広がると、お店の存続にも影響を与えかねません。
個人的な恨みや冷やかしによる根拠のない風評の場合は、泣き寝入りせず対策を行う必要があります。
2. 風評被害を受けた場合の相談先
風評被害を受けた場合の相談先としては、以下の4つが考えられます。
(1)違法・有害情報相談センター
総務省の委託事業で、ネット上の違法・有害な情報に対し、アドバイスや関連情報の提供を行っています。専門知識をもった相談員が無料で相談に乗ってくれるほか、必要に応じて他機関の紹介やセミナー・啓発活動も行っています。
(2)誹謗中傷ホットライン
一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)が運営するホットラインで、誹謗中傷や風評被害を掲載しているサイトへの削除要請を無料で行ってくれます。民間のボランティアによって成り立っているサービスなので、立場の弱い個人を優先しており、著名人の場合は対応できないこともあります。
(3)風評被害対策業者
ネット上の風評被害対策を専門に行う業者です。悪い風評が書かれたサイトの検索順位を下げて目立たなくする逆SEOや、検索エンジンを運営する企業に対し、ネガティブなキーワードの削除要請を行うなどの対策をしてくれます。ただし、投稿自体を削除できるわけではありません。
(4)弁護士
風評被害のトラブルを解決するため、法律的な知識を用いてあらゆるアドバイスやサポートを行います。ネット上のトラブル解決を得意とする事務所もあります。弁護士ができることについては、次の章で詳しく解説します。
3. 風評被害について弁護士にできること
弁護士に依頼できる風評被害対策は、主に以下の4つです。
(1)該当の投稿を削除する(=削除要請)
まずは悪質な風評を流した本人やサイトの管理者に投稿の削除要請を行います。削除要請は自分でもできますが、当事者同士だとトラブルに発展するおそれもあり、弁護士を介することで、相手が真摯(しんし)に対応してくれる可能性も高まります。
もし相手が削除要請に応じない場合は、裁判所で投稿を削除するよう仮処分の申し立てを行います。申し立てが認められれば、削除の仮処分命令が下されます。
(2)加害者を特定する(=発信者情報開示請求)
悪質な風評により被害を受けた場合、損害賠償を請求したり、名誉毀損(きそん)に該当すれば刑事告訴したりすることも可能です。そのためには、まず加害者を特定し、相手の名前や住所といった個人情報を把握する必要があります。
口コミサイトなどは匿名で投稿されているものがほとんどなので、まずはサイトの管理者に投稿者の情報開示を求めます。相手が応じない場合は、裁判によって発信者情報開示請求を行います。請求にあたっては風評被害を引き起こしている投稿内容を提示する必要があるので、ウェブページを保存するかプリントアウトして証拠を残しておきましょう。
(3)損害賠償請求など
投稿者の個人情報が入手できれば、損害賠償請求の手続きに進みます。一般的にはまず内容証明郵便で請求を行い交渉します。そこで合意にいたらなければ、民事訴訟を起こします。
書き込みが特に悪質な場合は、刑事告訴を行うこともできます。その場合は警察に相談し、告訴状を受理してもらう必要があります。
ネット上の匿名の投稿による風評被害は、近年特に深刻になっています。経済的・精神的に大きなダメージがあった場合は、損害賠償の請求や民事訴訟を起こすことも可能です。風評被害を法的に対処したいなら、ぜひ一度弁護士に相談してはいかがでしょうか。
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年04月12日
- インターネット
-
- 2024年03月27日
- インターネット
-
- 2023年10月26日
- インターネット
インターネットに強い弁護士
-
電話番号を表示する 03-6384-1411
-
-
電話番号を表示する 0120-047-006
-
電話番号を表示する 050-3529-6256
-
電話番号を表示する 050-3091-4865