日本で外国人が逮捕されたらどうなる? 刑事手続き・在留資格の注意点
  • 2021年04月28日 (更新:2021年07月15日)
  • 国際・外国人問題

日本で外国人が逮捕されたらどうなる? 刑事手続き・在留資格の注意点

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

外国人が日本で逮捕された場合、日本の刑事手続きに従って、処分を受ける必要があります。

この場合、日本の刑事手続きの流れについてよく理解しておいた方が良いのと同時に、在留期間の経過や有罪判決を受けた場合の強制送還にも注意しなければなりません。

この記事では、外国人が逮捕された場合の刑事手続きや、在留資格に関する注意点について解説します。

1. 外国人が逮捕された場合の刑事手続きの流れは?

日本において外国人が逮捕された場合、日本の刑事手続きに従って処分が決定されます。
(外国人だからといって、特別な手続きが設けられているわけではありません。)

刑事手続きは、以下の流れに従って進みます。

(1)逮捕・勾留による身柄拘束

捜査機関に逮捕された場合、警察の留置場等で身柄を拘束されたうえで取り調べなどが行われます。逮捕による身柄拘束の期間は、最大で72時間(3日間)です(刑事訴訟法205条2項)。

その後、検察官が身柄拘束を延長し捜査を行う必要がある、と判断する場合は、裁判官に対して「勾留請求」を行います。

勾留請求が認められた場合は、最長10日間の「起訴前勾留」が行われます。
さらにやむを得ない事由があるときは、検察官の請求により勾留は10日間まで延長が可能です(刑事訴訟法208条)。そのため、逮捕・勾留の期間は合計最長23日間です。

この期間内に、検察官は捜査の結果を踏まえて、被疑者(容疑者)を起訴するかどうかの判断を行います。

(2)検察官による起訴

検察官は、捜査の結果に基づいて、被疑者が罪を犯したことが証拠上明白であり、刑事裁判にかけることが必要と判断する場合は、裁判所に起訴状を提出して被疑者を起訴します。
被疑者は起訴されると「被告人」と呼ばれ、刑事裁判が開かれます。

これに対して、検察官が、被疑者の嫌疑がない又は不十分な場合、犯人の年齢境遇、犯罪の軽さから起訴猶予とする場合、心神喪失等罪とならない場合、訴訟条件を欠く場合、等と判断する場合は被疑者を不起訴処分とし、刑事手続きは終了し、身柄拘束されていた被疑者は釈放されます。

被疑者が不起訴処分を獲得するためには、弁護士による弁護活動が重要になります。

(3)起訴後勾留・保釈

起訴された被告人は刑事裁判の開始を待つ身となります。

被告人は、起訴された後も「起訴後勾留」として身柄を引き続き勾留されるのが通常です。
ただし、裁判所に対する請求により、保証金を預け入れることを条件として身柄が解放される「保釈」が認められることもあります(刑事訴訟法第89条、第90条)。

保釈を獲得するためにも、弁護士による弁護活動が重要になります。

(4)刑事裁判

刑事裁判は、被告人が有罪か無罪かを証拠に基づいて判断し、有罪であればどのような刑罰を科すか、を裁判所が決める手続きです。

被告人は、弁護士とも相談したうえで、刑事裁判に臨む際の方針を決定します。

罪を認めるにしても否認するにしても、適切に被告人側の主張を裏付ける証拠を提示できるかどうかが、刑事裁判において有利な結果を得るためのポイントです。

(5)刑の執行

刑事裁判において有罪判決を受けた場合、その後刑の執行を受けることになります。
刑には以下の7種類があります。

  1. 死刑
  2. 懲役(刑務作業の義務がある拘禁)
  3. 禁錮(刑務作業の義務がない拘禁)
  4. 罰金(1万円以上、減軽可能)
  5. 拘留(30日未満の拘禁)
  6. 科料(1万円未満)
  7. 没収(犯行に使われた物、犯行により得た物等の没収)

なお、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」にあたる刑については、執行猶予が付される場合があります(刑法25条第1項)。

2. 在留期間の経過に要注意

外国人が逮捕された場合には、身柄拘束中に在留期間が経過してしまわないかに注意する必要があります。

(1)逮捕自体を理由に在留資格が取り消されることはない

外国人が捜査機関に逮捕されたとしても、そのことだけを理由として在留資格が取り消されることはありません。

刑事裁判で有罪判決を受けるまでは、罪の疑いはあるものの、無罪と推定されるためです。

よってその間は、国から犯罪者として取り扱われることはなく、従在留資格にも影響はないのです。

(2)在留期間を経過すると強制送還のおそれも

ただし、身柄拘束中に在留期間が経過した場合、それ以降はオーバーステイ(不法残留、不法滞在)の扱いになります。

そうなると、保釈されたり、不起訴処分や無罪判決を得られたとしても、不法滞在者として今度は出入国在留管理庁(入管)に拘束され、母国に強制送還されてしまう可能性があります。

在留カードを確認して、逮捕・勾留による身柄拘束中に在留期間が経過しそうな場合には、弁護士に在留資格の更新に関する手続きを依頼しましょう。

3. 有罪判決と強制送還

出入国管理及び難民認定法24条各号は、退去強制事由を定めています。

在留期間が経過していなくても、起訴されて、刑事裁判で有罪判決が下されると、退去強制事由のうち刑罰法令違反に該当するとして、入管に拘束され、強制送還される可能性があります。

どのような場合に刑罰法令違反に該当するかは犯罪によって異なります。代表的な場合としては、無期または1年を超える懲役または禁錮の実刑となった場合です。刑務所に収容されて服役し、刑期を終えると今度は入管に送られて強制送還となります。

薬物事犯や集団密航への関与など、刑期が1年以下であったり執行猶予が言い渡されたりした場合であっても退去強制事由となる犯罪もあります。

4. 外国人が逮捕されたら弁護士に相談を

外国人の方が逮捕されて罪に問われた場合、弁護士に相談することをおすすめいたします。

異国の地で刑事手続きにかけられることは、精神的にも心細く、大きな負担となるでしょう。
弁護士は、依頼者の味方として精神的なサポートができるほか、家族・友人・被害者・勤務先の会社などに対して、代理人としてコンタクトを取ることも可能です。

また、身柄拘束中に在留期間が経過しそうな場合にも、入管とコミュニケーションを取って、在留資格の更新の取り次ぎをし、依頼者が適法に日本に滞在し続けられるようにサポートします。

日本で犯罪に心当たりがある、または犯罪を疑われた外国人の方は、お早めに弁護士にご相談することをおすすめします。

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