外国人も日本で自己破産できる? 条件と注意点について解説
外国人の方でも、借金などの支払いが困難になった場合は、日本人と同様に破産手続きを利用できます。
今回は、外国人の方が日本の破産手続きを利用するための要件や、破産申し立てを行う際の注意点などを解説します。
1. 外国人でも日本での破産申し立ては可能
自己破産は、財産を処分して破産債権者へ配当する代わりに、残った債務全額を免除してもらう裁判手続きです。借金を返済できなくなった方などにとっては、自己破産が有力な選択肢となります。
外国人の方であっても、破産手続きなどについては、日本人と同一の地位を有するものとされています(破産法第3条)。したがって、外国人の方が借金を返済できなくなった場合にも、日本の裁判所に自己破産を申し立てることができます。
2. 外国人が日本で破産申し立てを行うための要件
外国人の方が日本の裁判所に自己破産を申し立てることができるのは、以下の要件をいずれも満たす場合です。
(1)日本国内に住所などまたは財産を有すること
破産手続き開始の申し立ては、日本国内に営業所・住所・居所または財産を有する場合に限り行うことができます(破産法第4条第1項)。これは、日本人でも外国人でも同様です。
したがって、外国人の方が日本で自己破産を申し立てることができるのは、日本で営業活動をしている場合、日本に住所がある場合、日本に長期滞在している場合、日本で不動産や預貯金を所有している場合などです。
(2)支払不能であること
個人が自己破産を申し立てるには、「支払不能」の状態にあることが必要です(破産法第15条第1項)。
支払不能とは、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態を意味します(破産法第2条第11項)。一時的に資金が不足しているだけでは足りず、ほとんどすべての債務を支払えない状況が数か月程度続いていることが必要です。
3. 外国人が日本で破産申し立てを行う際の注意点
外国人の方が日本の裁判所に自己破産を申し立てる場合、以下の各点にご注意ください。
(1)外国に保有する資産も処分の対象になる
破産手続き開始の決定が行われると、破産者が開始決定時において有する一切の財産は、原則として破産財団に属し、破産管財人による換価・処分の対象となります(破産法第34条第1項)。
破産財団には、日本国内にある財産のみならず、外国に存在する財産も含まれます。したがって、ご自身の財産を外国へ移転しても、破産手続きによる換価・処分を免れることはできません。
また、裁判所に提出する財産目録には、外国に存在する財産も記載する必要があります。もし外国にある財産を隠匿すると、免責不許可事由(破産法第252条第1項)や詐欺破産罪(破産法第265条第1項)の要件に該当するので要注意です。
(2)本国の破産手続きも要確認
日本の裁判所で破産免責が認められたとしても、本国で同様に債務が免責されるわけではありません。本国においても債務を免責してもらいたい場合には、本国法に従って自己破産の手続きを行う必要があります。
本国における破産手続きの進め方については、現地の弁護士のアドバイスを求めることをおすすめいたします。
(3)破産手続きは日本語で行われる
日本の裁判所における破産手続きは、日本語で行われます。そのため、日本語が堪能でない方が自己破産を申し立てる場合は、サポート役が必要です。
ほとんどの手続きは、弁護士に依頼すれば代理人として対応してもらえます。ただし、手続きの終盤で行われる免責審尋では、裁判所が債務者本人に対して質問を行う場面があります。その際、裁判所の質問に対して適切に回答するには、通訳(または通訳が可能な弁護士)に同伴してもらうことが望ましいでしょう。
(4)自己破産しても在留資格に影響はない
自己破産をすると、日本における在留資格に影響が出るのではないかと懸念される方もいらっしゃいます。
しかし、自己破産をしたとしても、出入国管理法に基づく退去強制などの事由には該当しません。したがって、在留資格を失うことを心配して、自己破産をためらう必要はありません。
自己破産は、借金などの負担から解放され、生活をリセットすることができる効果的な手続きです。借金の返済などに苦しんでいる方は、早めに弁護士へ相談して、自己破産を含めた債務整理による解決をご検討ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月08日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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