共有名義の片方が死亡したら? 相続の手続き方法について解説
不動産の共有名義人のうち片方が死亡した場合、相続によって権利関係がさらに複雑化するおそれがあります。共有不動産に関する相続トラブルを避けるためには、できる限り生前の段階で対策を行っておくのがおすすめです。
今回は不動産を共有名義とするメリットやデメリット、共有不動産に関する相続手続きの流れ、相続トラブルを避けるための対策などを解説します。
1. 不動産を共有名義とするメリット・デメリット
不動産を共有名義とすることには、取得時の資金繰りなどの観点からメリットが生じる場合があります。その一方で、将来的な運用・売却や相続を見据えた場合、不動産を共有のままにしておくことはデメリットが大きいと言わざるを得ません。
(1)不動産を共有名義とするメリット
不動産を共有名義とすることの大きなメリットは、共有者がお金を出し合って不動産を購入できることです。
不動産を購入しようと思っても、一人だけでは十分な額のローンを借りることができないことがあります。その場合、たとえば夫婦が連帯債務者になれば、一人が債務者になる場合よりも多額のローンを組むことができ、より高額の不動産に手が届く可能性があります。
また、特に住宅ローンを活用する場合、夫婦双方が住宅ローン減税を受けられるため、トータルの減税幅が大きくなる点もメリットといえるでしょう。
(参考:「住宅ローン減税」(国土交通省))
(2)不動産を共有名義とするデメリット
ただし、不動産を共有名義のままにしておくと、後の運用・売却や相続の際にトラブルが発生するリスクがあります。
共有不動産を賃貸に出す場合、共有持分の過半数による意思決定が必要となります(民法第252条本文)。また、共有不動産を売却する場合は、共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。そのため、もし共有者間で意見が対立すると、共有不動産の賃貸や売却をスムーズに行うことができないおそれがあります。
また、共有者のうち1人が死亡した場合、その相続人に共有持分が承継されるため、共有者の数が増える可能性もあります。この場合、共有不動産に関するトラブルのリスクはさらに高まってしまうでしょう。
2. 不動産の共有者の片方が死亡した場合の相続手続き
不動産の共有者のうち片方が死亡した場合、共有持分は相続によって承継されます。
不動産の共有持分に関する相続手続きの流れは、以下のとおりです。
(1)遺言書があればその内容に従う
被相続人が遺言書を作成していた場合は、原則として遺言書によって指定された者が、不動産の共有持分を承継します。
たとえば、夫婦で半分ずつ不動産を共有していたケースで夫が亡くなり、遺言書で長男が共有持分の相続人に指定されたと仮定しましょう。この場合は相続によって、妻と長男が不動産を半分ずつ共有することになります。
(2)遺言書がなければ遺産分割協議を行う
遺言書がない場合は、相続人全員が参加する遺産分割協議によって、不動産の共有持分を含む全相続財産の分割方法を決定します。遺産分割方法について合意が成立したら、その内容を遺産分割協議書にまとめて、相続人全員が署名捺印を行いましょう。
なお、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判によって遺産分割の方法を決定します。
(3)分割内容に従って登記手続きを行う
遺言書や遺産分割協議によって、不動産の共有持分を承継する者が決まったら、その内容に従って名義変更をするため、共有持分の移転登記手続き(相続登記)を行いましょう。移転登記手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行うことができます。
3. 共有不動産に関する相続トラブルを避けるための対策
共有不動産は売却が難しいため、分割方法の選択肢が狭く、遺産分割協議が難航してしまうおそれがあります。また、相続によって共有者が増えてしまうと、ますます共有不動産に関するトラブルのリスクが高まってしまいます。
このような共有不動産に関する相続トラブルを避けるためには、あらかじめ共有状態を解消しておくことが効果的です。
不動産の共有状態を解消する方法としては、以下のパターンが挙げられます。
(1)現物分割
土地を分筆するなど、物理的に不動産を分割する方法です。
(2)代償分割
共有者のうち1人が不動産を取得し、他の共有者に対して代償金を支払う分割方法です。
(3)換価分割
共有不動産を売却し、代金を共有者間で分割する方法です。
ただし、共有不動産を売却する場合は、所得税・贈与税・相続税などの課税に関する検討が不可欠です。その際には、税理士のアドバイスが役立つでしょう。また、共有不動産の登記については、司法書士の協力も必要になります。
弁護士に相談すれば、共有状態の解消や、将来的な相続に関する法的なアドバイスを受けられるのと同時に、税理士や司法書士の紹介も受けられます。共有不動産に関する対応にお悩みの方は、一度弁護士へご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年01月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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