相続財産をめぐる争いを解決するために有効な手段とは?
  • 2021年07月30日
  • 遺産相続

相続財産をめぐる争いを解決するために有効な手段とは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

相続が開始した場合には、通常相続人全員で遺産分割協議を行って遺産を分けることになります。

しかし、被相続人の遺言書の内容や遺産の分割方法をめぐって相続人同士で深刻な争いになることも珍しくありません。このような事態を避けるためには、被相続人の生前から一定の対策をしておく必要があるでしょう。

そこで今回は、相続財産をめぐる争いを解決または予防するための対策について解説します。

1. よくある相続トラブルとは?

兄弟姉妹間で起こり得る典型的な遺産相続トラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。

(1)遺留分をめぐる争い

被相続人が遺言書を残していた場合には、遺言書に従って遺産を分けていくことになります。しかし、その遺言書の内容が不公平で、かつ被相続人が生前どのような内容で遺産を分けるか相続人に了解を取っていなかった場合には、相続人同士でトラブルになることがあります。

たとえば、「すべての遺産を長男に相続させる」という内容の遺言書が残されていた場合には、法定相続分どおりの遺産をもらうことを期待していた他の相続人は、不満を抱くことになります。

遺言書の内容に不満がある相続人としては、「遺留分」という最低限度の遺産の取得割合を主張することによって、侵害された遺留分相当額の金銭を請求することが可能となります。

遺留分をめぐる争いが生じた場合には、兄弟姉妹の間に深い溝が生じることになりますので、遺言書を作成する場合には十分な配慮が必要です。

(2)生前贈与をめぐる争い

被相続人から生前に多額の金銭が贈与されている者がいる場合には、生前贈与を受けていない他の法定相続人との間で不公平感が生じることによってトラブルが起こることがあります。

生前贈与については、持ち戻しの対象にあたるかどうか、生前贈与をどのように評価をするかについて問題が生じます。
過去の生前贈与については、生前贈与があったことやその金額を証明することが難しいこともあり、争いが長期化することもあります。

(3)寄与分をめぐる争い

被相続人と同居をして、被相続人の介護に尽力した相続人がいる場合には、寄与分をめぐって争いになることがあります。

介護に従事した相続人については、それにより被相続人の相続財産の維持・増加が図られたと評価できる場合にはその貢献を考慮して他の相続人よりも多めに遺産をもらうことが可能になります。

しかし、寄与分の主張が認められるかを考えるに当たっては単に介護をしていればよいというわけではなく、特別の貢献をしたと評価できる必要があります。

もっとも、相続人はもともと被相続人に対して扶養義務を負うことが通常ですから扶養義務を超えて特別の貢献をしたといえる必要があり、相続人以外の者が寄与分主張をする場合に比してその主張は認められにくい傾向にはあります。

そのため、介護の苦労を認めてもらいたい相続人とそれを認めようとしない相続人との間で対立が生じ、相続争いに発展することがあります。

(4)遺産に不動産が含まれる場合の争い

遺産が現金や預貯金だけであれば、法定相続分に従って分割すればよいので遺産分割方法をめぐる争いに発展することは少ないです。

しかし、遺産に不動産が含まれる場合には、不動産をどのように評価するのか、どのように分割するのかということで争いが生じることがあります。不動産は、複数の評価方法があり、どの評価方法を採用するかによって金額が大きく異なってきます。

また、不動産は、物理的に分割することが困難ですので、特定の相続人が取得した後の代償金の支払いという問題も生じることがあります。

そのため不動産が含まれる場合には、比較的トラブルが生じやすいといえ、注意が必要です。

2. 相続人が争いを起こさないための対策

相続争いを回避するための事前および事後の対策としては、以下のようなものがあります。

(1)遺言書の作成

被相続人の死後の相続争いを回避するための対策としては、遺言書の作成が有効な手段となります。

遺言書を作成しておくことで、遺産分割協議を経ることなく遺言書の内容に従って遺産を分けることができます。兄弟姉妹の仲が悪く、顔を合わせると争いになってしまうという場合には、遺言書を残すことで無駄な争いを回避することができます。

しかし、遺言書の内容が遺留分を無視する不平等な内容である場合や遺産に漏れがある場合には、遺言書を残していたとしてもトラブルが生じることになりますので注意が必要です。

(2)不動産を処分し現金化する

不動産が遺産に含まれる場合には、相続争いが生じやすいといえますので、不要な不動産については生前にあらかじめ処分しておくということもひとつの方法です。
現金化しておくことで、遺産分割が容易になるため、争いの芽を事前につんでおくことができます。

ただし、不動産の処分にあたっては、税金の問題も発生しますので、税理士などの専門家に相談しながら進めていく必要があります。

(3)弁護士に相談

当事者同士の話し合いでは、どうしても感情的になってしまいなかなか話し合いが進まないことがあります。
そのため、相続争いがすでに生じてしまったという場合には、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

弁護士が相続人の代理人として遺産分割を進めることによって、円滑な遺産分割を実現することが可能です。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年07月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。