別居20年。離婚するには? 財産分与と年金分割はどうなる?

別居20年。離婚するには? 財産分与と年金分割はどうなる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

配偶者と20年以上にわたり別居している場合、今後の人生や将来的な相続などに備えて、夫婦関係を清算すべきタイミングかもしれません。

20年以上別居している夫婦が離婚する場合、財産分与と年金分割が大きな論点になることが多いです。弁護士に相談して、適正な条件による離婚を早期に成立させましょう。

今回は、別居期間が20年以上に及ぶ夫婦の離婚について、手続きや財産分与・年金分割に関する基礎知識などをまとめました。

1. 別居20年夫婦が離婚するには?

夫または妻と20年以上別居している場合は、離婚できる可能性が非常に高いです。離婚手続きと、離婚が認められるための要件について確認しておきましょう。

(1)3種類の離婚手続き

協議離婚・調停離婚・裁判離婚

離婚手続きには、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類があります。

①協議離婚

夫婦の話し合いによって離婚する手続きです。

②調停離婚

家庭裁判所において、有識者から選任される調停委員の仲介により、離婚条件などを取り決めた上で離婚を成立させる手続きです。

③裁判離婚

裁判所の判決により、強制的に離婚を成立させる手続きです。

協議離婚・調停離婚の場合、離婚理由や別居期間などにかかわらず、夫婦の合意が成立すれば離婚できます。これに対して、離婚についての合意が成立しない場合は裁判離婚を目指すことになりますが、裁判で離婚判決を得るには法定離婚事由が必要です。

(2)裁判離婚が認められるための要件・別居年数

裁判による離婚請求が認められるのは、法定離婚事由(民法第770条第1項)が存在する場合に限られます。

<法定離婚事由>

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと
  5. その他、婚姻を継続し難い重大な事由

別居期間が長いことは、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

婚姻関係が破綻に至った事情や、未成熟の子の有無などによりますが、10年以上別居している場合は離婚請求が認められることが多いです。20年以上別居している場合は、相手が同意しなくても、裁判離婚が認められる可能性が非常に高いといえるでしょう。

2. 財産分与と年金分割

20年以上別居している夫婦が離婚する場合は、婚姻期間が長い分、財産分与と年金分割が重要な論点になります。

(1)財産分与とは

財産分与とは、夫婦の共有財産を公平に分ける手続きです(民法第768条、第771条)。

婚姻期間中に夫婦のいずれかが取得した財産は、名義の如何を問わず、原則として財産分与の対象になります。財産分与の割合は、協議・調停による場合は自由に決められますが、裁判離婚や離婚後の審判による場合は2分の1ずつとするのが原則です。

ただし、別居期間中に取得した財産については、その期間における夫婦の協力関係の有無に応じて、財産分与の要否が個別に判断されます。そのため、20年以上別居している夫婦の場合、財産分与を行う側と受ける側の間で、分与方法について意見が対立するケースが非常に多いです。

(2)年金分割とは

年金分割とは、婚姻期間中における厚生年金保険の加入記録を、夫婦間で公平に分ける手続きです。財産分与の一環として位置づけられます。

(参考:「離婚時の年金分割」(日本年金機構))

年金分割には、「合意分割」と「3号分割」という2つの手続きがあります。

①合意分割

夫婦(または元夫婦)の合意内容に従って年金分割を行います。

②3号分割

専業主婦(主夫)で扶養に入っていた方などの請求により、婚姻期間中の厚生年金加入記録を2分の1ずつに分割します。2008年4月1日以降に国民年金の第3号被保険者期間がある方は、離婚後2年以内に限り3号分割を請求できます。

合意分割の場合は、その他の財産分与と同様に、別居期間中の厚生年金加入記録が分割対象となるかどうかはケースバイケースです。これに対して3号分割の場合は、別居期間中の厚生年金加入記録についても、自動的に2分の1ずつに分割される点にご注意ください。

3. 長期間別居後の離婚は弁護士に相談を

20年以上別居している夫婦が離婚する場合、財産分与や年金分割をはじめとして、離婚条件について意見が対立するケースが多いです。スムーズに離婚を成立させるためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめいたします。

特に、離婚後の生活費に不安がある場合は、財産分与などの経済的な離婚条件を、できる限り有利に取り決めることが大切です。経験豊富な弁護士に相談すれば、適正な条件によって離婚を成立させるため、配偶者との協議や調停・訴訟の手続きを適切に進めてくれるでしょう。

別居期間が20年以上に及ぶ配偶者との離婚をご検討中の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年02月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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