交際相手からの束縛がひどい。デートDVにあったらどうすればいい?
配偶者や交際相手から暴力・性暴力・暴言などを受けている場合は、「デートDV」の可能性があります。
デートDVの被害に遭っている方は、お一人で抱え込むことなく、利用しやすい相談窓口へお早めにご連絡ください。
1. 「デートDV」とは?
「デートDV」とは、配偶者・恋人などに対する暴力・性暴力・暴言などの総称です。
(1)デートDVの主なパターン
デートDVにはさまざまな形があり、自分でも気づかないうちに被害に遭ってしまうケースがあります。デートDVの主なパターンは、以下のとおりです。
①身体的暴力
- 殴る、蹴る、たたく
- 腕をつかむ
- 髪を引っ張る
- 縛り付ける
- 物を投げつける
②精神的暴力
- 脅す、大声で怒鳴る
- 無視する
- 行動を監視、制限する
- 交友関係を監視、制限する
- スマホをチェックする
③性的暴力
- 嫌がっているのに身体を触る、キスをする
- 性的な行為を強要する
- 下着姿や裸を撮影、送信する
- 避妊に協力しない
- 中絶を強要する
④経済的暴力
- デート代をすべて払わせる
- 借りたお金を返さない
- 仕事を無理やり辞めさせる、外で働くことを許さない
- 生活費を渡さない
- 貯金を勝手に使う
(2)デートDVについて成立する主な犯罪
デートDVは、決して本人同士で解決すべき問題ではありません。行為の内容によっては、以下の犯罪が成立する可能性もあるため、警察などの協力を得ながら解決することをお勧めいたします。
①暴行罪、傷害罪
暴力を振るった場合には「暴行罪」、暴力によって被害者がケガをした場合には「傷害罪」が成立します。
暴行罪:2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料(刑法第208条)
傷害罪:15年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法第204条)
②脅迫罪、強要罪、恐喝罪
脅しについては「脅迫罪」、脅しや暴行を用いて義務のないことを行わせた場合には「強要罪」、脅しや暴行を用いて金品を奪った場合には「恐喝罪」が成立します。
脅迫罪:2年以下の懲役または30万円以下の罰金(刑法第222条第1項)
強要罪:3年以下の懲役(刑法第223条第1項)
恐喝罪:10年以下の懲役(刑法第249条第1項)
③強制わいせつ罪、強制性交等罪、リベンジポルノ防止法違反
反抗を著しく困難にしたうえでわいせつな行為をした場合には「強制わいせつ罪」、性交・肛門性交・口腔性交をした場合には「強制性交等罪」が成立します。
また、性的な写真や動画を勝手にインターネット上にアップロードした場合や、アップロードさせる目的で他人に提供した場合には「リベンジポルノ防止法※違反」が成立します。
※正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
強制わいせつ罪:6か月以上10年以下の懲役(刑法第176条)
強制性交等罪:5年以上の有期懲役(刑法第177条)
リベンジポルノ防止法違反:
アップロード行為→3年以下の懲役または50万円以下の罰金(同法第3条第1項)
アップロード目的の提供行為→1年以下の懲役または30万円以下の罰金(同条第2項)
④窃盗罪、詐欺罪
勝手に預金を引き出すなど、無断で金品を奪う行為については「窃盗罪」、被害者をだまして金品を詐取する行為については「詐欺罪」が成立します。
窃盗罪:10年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法第235条)
詐欺罪:10年以下の懲役(刑法第246条)
(3)デートDVはDV防止法に基づく「保護命令」の対象
デートDVの一種である、配偶者・内縁のパートナー・同居の恋人からの暴力や脅迫を受けた場合、裁判所に対して保護命令を申し立てることができます(DV防止法※第10条第1項)。
※正式名称:配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律
被害者が生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合、裁判所は保護命令を発し、加害者に対して6か月間のつきまとい行為の禁止や、2か月間の住居からの退去などを命じます。裁判所に対する保護命令の申し立てを行いたい場合、弁護士に依頼するのがスムーズです。
2. デートDVに悩む方が利用できる主な相談窓口
デートDVの被害に遭った場合、ご自身だけの力で被害から脱却するのは困難です。そのため、以下のいずれかの相談窓口に早めに連絡して、対処法についてアドバイスを求めましょう。
①内閣府の相談窓口
特設サイトの「DV相談+」にて、相談用のフリーダイヤルが公開されています。また、各都道府県にも「配偶者暴力相談支援センター」が設置されています。
②市区町村の相談窓口
各市区町村役場の窓口にて、相談の予約ができます。
③最寄りの警察署
各都道府県警察のホームページから、所在地を検索できます。
④弁護士
弁護士会や法テラスで弁護士に相談ができます(有料の場合があります)。また、各法律事務所で弁護士に直接相談することも可能です。
- こちらに掲載されている情報は、2022年07月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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