子どもを虐待する配偶者と離婚できるのか? 離婚の準備は?

子どもを虐待する配偶者と離婚できるのか? 離婚の準備は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

配偶者が子どもを虐待している場合、速やかに離婚することを検討しましょう。配偶者に拒否されても、虐待を理由に裁判離婚が認められる可能性が高いです。

今回は、子どもを虐待する配偶者と離婚することの可否や、離婚手続きの流れなどを解説します。

1. 児童虐待の種類と具体例

児童虐待には、主に以下の種類があります。

(1)身体的虐待

子どもに対して暴行を加えることをいいます。

(例)

  • 殴る
  • 蹴る
  • 叩く
  • 激しく揺さぶる
  • 熱湯をかける
  • タバコを押し付ける
  • 首を絞める
  • 逆さづりにする
  • 口の中に異物を入れる
  • 縄で縛る

など

(2)性的虐待

子どもに対して性的な行為をすることをいいます。

(例)

  • 子どもの身体をみだりに触る
  • 子どもの裸体を撮影する
  • 子どもに性器を触らせる
  • 子どもと性行為をする

など

(3)心理的虐待

子どもに対して精神的な虐待を行うことをいいます。

(例)

  • 脅す
  • 存在を否定する言葉を浴びせる
  • 無視する
  • 兄弟間で不当な差別をする
  • 配偶者(子どもにとっては親)を目の前で殴る

など

(4)育児放棄(ネグレクト)

保護者としての監護を著しく怠ることをいいます。

  • 食事を与えない
  • 部屋に閉じ込める
  • 病気になっても病院へ連れて行かない
  • 配偶者(子どもにとっては親)による虐待を放置する

など

2. 子どもを虐待する配偶者と離婚できるか?

配偶者が子どもを虐待している場合、離婚請求が認められる可能性が高く、さらに慰謝料請求も認められる可能性が大いにあります。

(1)協議離婚・調停離婚は可能

夫婦の合意によって離婚を成立させる「協議離婚」と「調停離婚」の場合、離婚の理由は問われません。

したがって、配偶者の同意を得られる場合には、協議離婚または調停離婚を成立させることができます。

(2)法定離婚事由に該当する可能性大

裁判離婚も可能

子どもに対する虐待は、家庭や夫婦関係を破壊するものであるため、法定離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条第1項第5号)に該当する可能性が高いです。

したがって、配偶者に離婚を拒否されたとしても、家庭裁判所に離婚訴訟を提起すれば、裁判離婚が認められる可能性が高いと考えられます。

(3)慰謝料請求も認められ得る

100万円~300万円程度

子どもに対する虐待によって離婚の原因を作った配偶者に対しては、慰謝料も請求できる可能性があります。

慰謝料の金額は100万円から300万円程度が標準的で、虐待の頻度・回数・悪質性や、婚姻期間の長短などが金額に影響します。他の離婚条件と併せて、慰謝料についても適切に請求を行いましょう。

3. 子どもを虐待する配偶者と離婚する際の流れ

子どもを虐待する配偶者と離婚する際には、以下の流れで対応しましょう。弁護士のサポートを受ければ、適切に離婚手続きを進めることができます。

(1)虐待の証拠を集める

慰謝料請求や裁判離婚を見据えて、子どもに対する虐待の証拠をきちんと確保しておきましょう。証拠収集の方法がわからなければ、弁護士に相談すればアドバイスを受けられます。

(例)

  • 虐待現場の録音データ、撮影データ
  • 虐待によって生じたケガの患部写真
  • 医師の診断書
  • 子どもに対して送信されたメッセージ

など

(2)離婚協議

証拠などの準備が整ったら、配偶者に対して離婚を切り出し、離婚条件などを話し合いましょう。

ただし、配偶者が離婚を拒否して激高するようであれば、すぐに離婚協議を打ち切って離婚調停を申し立てることをおすすめいたします。

(3)離婚調停

離婚協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

(参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所))

離婚調停では、中立的な立場にある調停委員の仲介により、離婚の成立および離婚条件についての合意を目指します。ただし、あくまでも話し合いの手続きなので、合意成立が見込めないようであれば離婚訴訟への移行を検討しましょう。

(4)離婚訴訟

離婚についての合意が成立しない場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。

離婚訴訟では、離婚を請求する側が法定離婚事由の存在を立証しなければなりません。子どもに対する虐待の証拠を家庭裁判所に提出して、法定離婚事由があることを説得的に主張・立証しましょう。

離婚を認める判決が言い渡される場合、財産分与・慰謝料・親権者・養育費などの離婚条件についても、判決主文で示されます。適正な条件によって離婚を成立させるためには、弁護士を代理人として離婚訴訟に臨むのが安心です。

子どもを虐待する配偶者と離婚したい方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

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