
- 離婚・男女問題
離婚するときは養育費を定める必要がある! 相場や基準
夫婦に子どもがいる場合には、離婚後の子どもの養育費について取り決めをしなければなりません。養育費の金額をどうするかについては、法律上の決まりはありませんので、夫婦の話し合いで自由に決めることができます。
しかし、養育費の相場がわからなければ、話し合いを進めることができない場合もあります。円満に合意をするためにも養育費の相場や算定基準を知っておくことが重要となります。
今回は、離婚をする際の養育費の相場や基準、将来の支払いを確保するための方法などを解説します。
1. 養育費とは
養育費とは、どのような費用なのでしょうか。以下では、養育費に関する基本的な事項について説明します。
(1)養育費とは何か?
養育費とは、子どもが社会人として独立して生活することができるまでに必要となる費用のことをいいます。子どもと一緒に生活する監護親(親権者)は、非監護親(子どもと離れて暮らす親)に対して、子どもの養育費を請求することができます。
養育費には、子どもの衣食住の費用、医療費、教育費などが含まれます。養育費の終期については、一般的に子どもが20歳になるまでとすることが多いですが、家庭環境や生活レベルによっては、高校卒業までとすることや大学卒業までとすることもあります。
(2)養育費の決め方
養育費の金額や支払い方法については、法律上の定めはありませんので、離婚時の夫婦の話し合いで自由に決めることができます。お互いに合意をすれば、相場以上の金額にすることや養育費を一括払いにするという方法も可能です。
養育費の金額を決める際に問題になるのが、どのくらいの金額が妥当であるのかという点です。養育費の相場がわからず話し合いがスタートしないという場合には、養育費算定表を利用することが有効な手段となります。
養育費算定表とは、家庭裁判所のホームページ上で公表されているものであり、夫婦の収入と子どもの年齢・人数から簡単に養育費の相場を知ることができるものです。家庭裁判所の調停や裁判でも養育費算定表が用いられていますので、養育費算定表によって導かれた金額を基準に話し合いを進めることでお互いに納得した解決が得られる可能性が高まります。
夫婦の話し合いで解決することができなければ、離婚前であれば家庭裁判所の離婚調停の中で、離婚後であれば養育費請求調停を申し立てることによって養育費に関する合意を目指すことになります。
調停が成立すれば、その内容が調停調書に記載され、調停は終了となります。調停で解決しない場合には、養育費請求調停の場合には自動的に審判手続きに移行して裁判所が判断しますが、離婚調停の場合には離婚裁判を別途起こさなければなりません。
2. 滞りなく養育費を支払ってもらうために
養育費については、義務者による滞納など離婚後にトラブルが生じやすいことが問題視されています。将来滞りなく養育費を支払ってもらうためにも、以下のような方法を検討しましょう。
(1)公正証書の作成
将来の養育費滞納のリスクを回避するためには、養育費の支払いについて当事者の合意による場合には、その合意内容を公正証書にしておくことが有効な手段となります。さらに強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことによって、将来義務者が養育費を滞納した場合には、裁判手続きを経ることなく直ちに強制執行の手続きを行うことができます。
強制執行のリスクがあるということは、義務者も理解していますので、公正証書を作成することで、心理的なプレッシャーによる継続的な養育費の支払いも期待できます。
公正証書の作成には、公証人に支払う費用がかかることになりますが、将来の養育費不払いのリスクを減らすことができますので、積極的に利用していくようにしましょう。
(2)定期的な面会交流の実施
継続的に養育費の支払いをしてもらうためには、非監護親と子どもとの定期的な面会交流を認め、実施することが有効な場合もあります。
面会交流の実施と養育費の支払いは、対価的な関係に立つものではありませんが、子どもと会うことができないにもかかわらず養育費の支払いだけを継続しなければならないとなると、非監護親は不平等だと感じることもあります。
定期的に子どもと面会をすることによって、子どもの成長を自分の目で確認することができますので、養育費の支払いの重要性についても実感できるといえるでしょう。
(3)離婚後も連絡を取り合う
養育費の滞納があった場合には、義務者の給料や預貯金を差し押さえて、強制的に未払い養育費を回収することができます。しかし、このような強制執行を行うためには、強制執行の申し立てをする側で、差し押さえるべき財産を特定して申し立てをしなければなりません。
離婚後も定期的に元配偶者と連絡を取り合っていれば、転職したなどの情報が入ってくることもありますので、強制執行を行う場面では役に立つこともあります。
- こちらに掲載されている情報は、2022年07月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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