生命保険も離婚時の財産分与の対象になる? 価値はどう判断する?
離婚時の財産分与というと、貯金や車などのわかりやすい財産がイメージされがちですが、「生命保険」も分与の対象です。毎月・毎年保険料を支払っているために預貯金と違ってその価値がわかりにくく、どのように分与すればいいのかわからない方も多いと思いますので、この記事では生命保険の具体的な分与方法をご説明します。
1. 生命保険も離婚財産分与の対象になる
離婚時の財産分与とは、結婚後に夫婦が共同で築いた財産を分ける手続きです。
生命保険は夫婦のどちらかが保険契約者になるため、契約者の財産のように思えるかもしれません。ですが生命保険のうち、解約すると返戻金があったり満期になると保険金が支払われたりする「貯蓄型」ものは、金融資産として一定の価値があります。
また結婚生活の中で、保険料を支払うために夫婦は協力していたはずです。妻が専業主婦であっても、家事などのサポートで財産形成に協力しています。そのため保険契約者や保険金受取人が誰になっていても、分与すべき共有財産とみなすのです。
では生命保険の財産的価値は、どのように見積もったらいいのでしょうか?
一般的に生命保険は、財産分与基準日の「解約返戻金」の額で評価します。この基準日とは、別居時や離婚時など財産形成における夫婦の協力関係がなくなったタイミングを指します。
すでに保険が満期を迎え、離婚前に満期保険金が支払われている場合には、それを分与します。
ただし生命保険でも、下記のケースは分与対象外です。
- 掛け捨て型
- 解約返戻金がない
- 独身時代に支払い済み
- 親が保険料を支払った
掛け捨て型や解約返戻金がない保険の場合、財産的な価値はないため分与はできません。
また独身時代に保険料を全額支払っている場合や親が保険料を全額支払った場合には、夫婦の共有財産ではなく、相続財産や独身時代の貯金と同じようにそれぞれの「特有財産」とみなします。夫婦の協力で築いた財産ではないため、分与の対象外です。
ただし独身時代に保険に加入して結婚後も保険料の支払いを続けている場合には、結婚後の加入期間部分にあたる返戻金が分与の対象です。
たとえば保険加入期間10年、うち結婚後の加入期間5年、基準日の解約返戻金300万円、分与割合2分の1の場合は次のように計算します。
300万円 ×(5/10)= 150万円
150万円 ÷ 2 = 75万円
ほかにも結婚時の解約返戻金額と離婚時の解約返戻金額の差額を分与する方法もあります。離婚前に満期返戻金が支払われている場合は、結婚後の加入期間部分のみが分与対象です。
計算方法に迷ったら、弁護士に相談してみましょう。
2. 生命保険を財産分与する方法
生命保険の具体的な離婚財産分与方法は、次の2つです。
- 解約して返戻金を分与する
- 解約せず、返戻金相当額を分与する
よく知られているのは保険を解約し、受け取った解約返戻金を分与割合に応じて分ける方法です。現金を分けることになるため、公平に分与ができます。
返戻金の額は通常は保険証券や保険の設計書に記載されています。記載がない場合には保険会社に問い合わせましょう。
ただし解約については、注意点があります。
保険加入期間が短い場合、解約返戻金が掛け金を下回ることがあります。その場合、財産分与額が減ることになるため夫婦が損をしてしまいます。
またいったん解約してしまうと、あらためて加入し直そうとしても、最初の加入時点以降に被保険者が病気になるなどして健康状態の告知で引っかかってしまったために、加入できないというケースがあります。
年齢が上がったことで当然、保険料も上がるでしょう。利回りが悪くなり、保険の価値が下がっている可能性もあります。
そのため安易に解約するのではなく、価値や保険の必要性を考慮して、加入し続けることも検討してください。契約者が加入継続を希望する場合は、見込みの解約返戻金額を調べ、相手の分与分を現金などで渡して分与しましょう。
生命保険を財産として相手に分与する場合には、契約者の名義を変更します。
ただし保険によっては契約者の変更を認めていないことがあります。生命保険契約の内容は、直接保険会社に確認しましょう。
また生命保険金受取人が離婚相手になっている場合は、離婚前に受取人の変更も忘れないようにしてください。
なお子どもの学資保険についても、保険料を支払っているのは親であるため財産分与の対象です。生命保険と同様、解約返戻金を財産分与します。
子どもの将来のために解約せず加入し続ける場合には、親権者が学資保険金の受取人となるようにしましょう。受取人や契約者の変更の可否は、生命保険と同様、保険によって異なりますので保険会社に問い合わせてください。
生命保険の財産分与は、保険を解約するかなど夫婦で話し合って決めていく必要があります。現金の分与などと違って手間がかかりますが、お互いが納得できるように十分検討して進めましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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