協議離婚は弁護士に代理交渉してもらえる? 得られるメリット
協議離婚とは、夫婦が話し合い、双方の合意によって離婚とその条件を決める離婚方法です。どちらも冷静な状態なら直接話し合えばよいですが、離婚の話し合いを行っている時は関係性が悪化していることが多いです。そこでおすすめなのが、弁護士に代理交渉をしてもらうことです。
本コラムでは、協議離婚で弁護士に依頼できる業務やメリットついて、詳しく解説します。
1. 協議離婚の代理交渉は弁護士に依頼できる
協議離婚において、弁護士に代理交渉をしてもらうことには多くのメリットがあります。特に、相手が話を聞いてくれない場合やDV被害を受けている場合、感情的な対立が激しい場合など、複雑な問題が絡むケースでは弁護士の介入が有効です。
こうしたケースで弁護士は、離婚協議における仲介者として相手との連絡や交渉を代行し、夫婦双方の円滑なコミュニケーションを手助けします。
離婚の話し合いを行っている夫婦の大半は関係性が悪化しており、直接話し合うことも難しいケースが少なくありません。また、すでに別居している状態で協議を行う場合もあります。
関係性がこじれた状態ではなくても、協議にあたって弁護士の同席や代理があれば、法律的な見解を示しつつ、円滑な協議をサポートしてもらえます。また、お互いが感情的にならず、時間や場所を合わせなくても離婚協議が可能です。
なお、同席や代理を依頼すると一定の弁護士費用がかかります。具体的な金額はケース・バイ・ケースであり、相談する弁護士によっても変わります。初回相談は無料で受け付けている弁護士事務所も多いため、まずは見積もりを出してもらってから検討しましょう。
2. 協議離婚で弁護士が対応してくれること
弁護士は、夫婦の状況に応じて幅広いサポートを提供してくれます。対応可能なのは、相手方との交渉から法的手続きまで、スムーズな離婚につながるさまざまな業務です。
主な対応業務として、次の4つを紹介します。
(1)財産分与の提案
まず挙げられるのが、適切な財産分与についての提案です。財産の確認から分割方法の提案まで、法律的見解を示しつつ、効率的な解決策を提示してもらえます。
財産分与では、原則として「結婚してから築いた夫婦の共有財産すべて」を折半します。しかし、実際は財産形成に対する貢献度やどの財産が対象財産となるのかなども考えなければいけません。また、不動産などの「物理的に分けられない資産」をどう分けるのかといった問題もあります。
弁護士に相談すれば、過去の実例・判例などから分割方法を提案してもらえるので、双方が納得できる財産分与を実現しやすくなります。
(2)離婚協議書や公正証書の作成
通常、協議離婚をしたときは「離婚協議書」を作成し、財産分与や親権・養育費などの離婚条件を書面に残します。また、離婚協議書を「公正証書(契約書などを公文書化する国の制度)」にして、より証明力を高める場合もあります。
いずれの書類も、作成には法的知識が必要であり、一般の人が作成するのは困難です。しかし、法律の専門家である弁護士なら、安心して書類作成を任せられます。
離婚協議書や公正証書の作成は必須ではありませんが、離婚後のトラブルを避けるためには大切です。弁護士に相談すれば、形式や内容に間違いのない書面を作成できます。
(3)離婚調停や離婚裁判の準備・代理
協議離婚が成立しない場合、離婚調停や裁判に移行します。弁護士に相談していればその手続きもスムーズです。
調停や裁判になると、裁判所への書類提出や出頭などがありますが、弁護士に代理してもらえば時間も手間もかかりません。
協議離婚の段階で弁護士に相談しておけば、離婚に至る経緯や協議で対立した部分を把握してもらえているので、調停・裁判でも的確に自分の希望を主張してもらえます。
(4)不倫相手との交渉
不倫が原因での離婚の場合、不倫を行った配偶者だけでなく、不倫の相手方に対しても慰謝料請求やその交渉を行うことも可能です。しかし、あくまで交渉なので、相手方が不貞を認めない・認めたとしても支払わない意向を明確に示しているなどの場合には交渉での解決は困難です。
弁護士に交渉してもらえば、法律の範囲内で自分の権利を適切に主張してもらえますし、もしも交渉で解決できない場合にはスムーズに法的措置へ移ることができます。そのため、交渉後の法的措置も念頭に置いて交渉ができるため、交渉での解決・適切な補償を勝ち取れる可能性を上げられます。
3. 協議離婚を弁護士に代理交渉してもらうメリット
協議離婚は、すべての交渉や手続きを自分で進めることも可能です。しかし、離婚の話し合い時は夫婦の関係が悪化していることが多く、スムーズに話し合いができないことがあります。その場合には、弁護士が間に入って交渉する方が法的な見解を示してもらいつつ交渉を進めることができるため、円滑かつ適切な内容の取り決めを行うことが期待できます。
具体的にどのような恩恵を受けられるのか、主なメリットを紹介します。
(1)話し合いが円滑に進みやすい
弁護士が介在することで相手方も話し合いに応じやすくなります。離婚時は夫婦双方が感情的になっていたり、関係性が崩れていたりするケースが多々あるため、冷静に話し合えるだけでも大きな意味があります。これに対し、弁護士がいないと話し合いも難航し、離婚成立までが長期化しかねません。
(2)精神的負担が減る
弁護士が話し合いに同席し、または代理交渉を行うことで、依頼者は安心感を持って話し合いに向き合えます。特に、不倫やDVなどで心が傷ついている人や、離婚後の生活に不安を抱えている人にとっては、ただ話を聞いてもらえるだけでも大きな頼りとなります。弁護士に頼らず交渉を行おうとすると、場合によってはトラブルの拡大を招きかねず、精神的負担が増加してしまう可能性があります。
(3)依頼者の望む条件で離婚しやすい
夫婦だけで話し合うと、「話がうまい」「経済的優位な立場にいる」などの要素で、不公平な離婚になるおそれがあります。しかし、弁護士は法律の専門家として、依頼者の利益を最大限に尊重します。依頼者の希望を聞いた上で、どのような主張が可能なのかをアドバイスしてくれるので、悔いのない離婚ができるでしょう。
協議離婚は、いかにして有利な条件を引き出すかが重要です。経験豊富な弁護士に相談して適切かつ納得のいく形で離婚を実現しましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年07月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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