当て逃げしてしまった! 連絡が1週間来なかったら自首しなくてもいい?

当て逃げしてしまった! 連絡が1週間来なかったら自首しなくてもいい?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

思わず当て逃げをしてしまったものの、警察からいつ連絡が来るかと不安を覚えている方もいるのではないでしょうか。自首すべきかどうかと気に病む日々を過ごすのは自分自身にとってもためになりません。

本コラムでは、当て逃げの法的責任や罰則、検挙率や時効などについて解説します。

1. 当て逃げは刑事責任に問われる?

(1)当て逃げとは

当て逃げとは、交通事故で何かを壊したり傷つけたりしてしまったにもかかわらず、その場で警察への通報や危険防止措置をせずに去ることを指します。類似した言葉に「ひき逃げ」がありますが、ひき逃げは人身事故、当て逃げは物損事故からの逃走である点が基本的な違いです。

当て逃げと言うと、駐車場や道路などで他の車にぶつかってしまったケースが真っ先に思い浮かびますが、実際には車以外の物損も含まれます。たとえば道路脇の標識やガードレール、電柱、柵や塀などに接触した場合でも、安全確保のための措置や通報をしなければ当て逃げであることは変わりません。

(2)当て逃げの法的責任

通常の物損事故で生じる責任は、基本的には民事上の賠償責任だけです。被害者に対して、損壊してしまった物の修理や弁償などの費用を支払えば、それ以上の責任に問われることはありません。

自動車の任意保険の内容に物損事故の賠償も含まれていれば、賠償費用も保険金で賄えます。そのうえ、物損事故は免許の違反点数にも基本的に加算されません。つまり、法的な観点から言えば、物損事故で過度に慌ててしまう必要は本来ないのです。

これに対して当て逃げをしてしまった場合は、民事責任、行政責任、そして刑事責任すべてを負うことになります。民事責任は通常の物損事故と同様の賠償責任です。行政責任は、免許の違反点数への加算が該当します。そして刑事責任は、警察に逮捕されるような罪です。

当て逃げによる刑事罰は道路交通法で定められています。事故現場を放置すると危険防止措置義務違反となり1年以下の懲役または10万円以下の罰金、事故の発生を警察に報告しないと報告義務違反となり、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。事故現場からそのまま逃げ去った場合には、これら2つの刑事罰を処される可能性があります。

また、刑事罰の対象になると前科がついてしまうため、社会生活上で何らかの不利益が生じる可能性も否定できません。

(3)当て逃げは“一発免停”

先述の通り、通常の物損事故と異なり、当て逃げが発覚した場合には、免許の違反点数が加算されます。具体的には、「危険防止措置義務違反5点+安全運転義務違反2点」で合計7点の加算です。点数が6点を超えた時点で30日間の免許停止処分が発生するので、これまでに違反がなくてもいわゆる“一発免停”となります。

過去3年間の違反状況によっては、より長期間の免許停止もしくは免許取り消し処分になってしまう可能性もあります。

このように、物損事故を起こして逃げてしまうと、いたずらに大きなリスクを抱えてしまいます。もし当て逃げしてしまったとしても、早めに警察へ自己申告すれば刑事罰および免許停止処分は見送られる可能性もあるので、できるだけ迅速に対応しましょう。

2. 当て逃げで後日逮捕される可能性はある?

当て逃げをした当初は抱いていた焦りや不安も、1週間も経てばだいぶ薄れてくるかもしれません。しかし、たとえある程度の期間が経過していても、後日逮捕される可能性は十分にあります。

警察は当て逃げの検挙率を一般に公開していませんが、当て逃げに類似した行為であるひき逃げの検挙率は全体で70%以上とされます。死亡ひき逃げ事件に至ってはほとんど100%近い検挙率です。

(参考:「令和4年版 犯罪白書」(法務省))

この高い検挙率の背景には、監視カメラやドライブレコーダー(ドラレコ)の普及があります。たとえ当て逃げやひき逃げが当事者以外は無人の空間で起きたとしても、監視カメラやドラレコに映像が記録されていれば、そこから加害者の身元が割り出せます。もちろん、被害者や目撃者による証言が逮捕につながる可能性もあります。

当て逃げの時効は、被害者が損害および加害者を知った日から3年です。一般に当て逃げの検挙率はひき逃げに比べて低いとされていますが、類似行為のひき逃げの検挙率が高い数字であることを考えれば、安心はできません。

3. 1週間後でも警察に連絡した方がいい理由

当て逃げした後で被害者側の通報や警察の捜査によって事故が発覚した場合には、逮捕され刑罰の対象となります。刑罰となれば、多額の罰金を科せられ経歴に前科がつくうえ、免許停止処分を受けるかもしれません。

しかし、早期に加害者自らが出頭・自首し、真摯(しんし)に反省の態度を示せば、情状酌量によって刑罰を受けることなく、不起訴処分になる可能性が高まります。なお、刑罰の有無にかかわらず破損した物への民事責任は生じるため、示談による被害者への賠償などは必要です。

警察へ出頭するのなら、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、警察への対応や被害者との示談などに向けて力強いサポートを得ることができます。被害者との示談が成立すれば、不起訴処分になる可能性も高まります。

もし当て逃げをしてしまった場合には、刑事事件に強い弁護士を探し、出頭前に相談してみてください。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年12月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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