SNSでわいせつ画像をアップするとわいせつ物頒布罪?
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SNSでわいせつ画像をアップするとわいせつ物頒布罪?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

スマホひとつあれば誰でも簡単に画像・動画を世界中に配信できる現代では、アダルトサイトで掲載・販売しているような画像や動画を個人で配信することも難しくありません。

令和3年2月には、SNSで募集した男性と妻との性行為を夫が撮影し、アダルトサイトで動画を販売していた夫婦が逮捕されました。個人でもSNSなどでわいせつ画像・動画を公開すれば、刑法の「わいせつ物頒布罪」にあたるおそれがあります。

1. どのような行為がわいせつ物頒布罪にあたるの?

わいせつ物頒布罪は、刑法第175条に定められた犯罪です。わいせつな文書・図画・電磁的記録にかかる記録媒体などを頒布した場合に成立します。

(1)わいせつな文書・図画などを頒布した場合

わいせつ物頒布罪でいう「わいせつ」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激し、かつ正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するものと定義されています。

露骨な性的描写を用いた小説や性器を露出した写真・出版物などを不特定または多数の人に交付した場合は、わいせつ物頒布罪となります。有償・無償を問わないので、無償で人目につく場所に掲示しても、有償で販売しても、本罪の処罰対象です。

(2)わいせつ画像・動画のデータを配信した場合

刑法第175条では、後段で「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録そのほかの記録を頒布した者」についてもわいせつ物頒布罪として罰することを明記しています。この部分を通常のわいせつ物頒布罪と区別して「わいせつ電磁的記録媒体頒布罪」と呼びます。

わいせつな画像を不特定または多数の人に送信する行為のほか、コンピューターにアクセスさせることで不特定または多数の人にわいせつな動画をダウンロードさせたといったケースに適用される犯罪です。

SNSなどでわいせつな画像・動画を公開しただけの場合は、刑法第175条に規定されている「わいせつ物陳列罪(わいせつ電磁的記録媒体陳列罪)」が成立するにとどまります。

しかし、投稿を閲覧したユーザーがわいせつな画像・動画をダウンロードし自分の端末などにデータを保存すると、陳列行為だけでなく頒布行為も存在するため、わいせつ電磁的記録媒体頒布罪となります。

(3)有償頒布の目的でわいせつ文書・図画・データなどを所持・保管した場合

実際には頒布していなくても、有償頒布の目的でわいせつ文書・図画・データなどを所持・保管した場合はわいせつ物頒布所持罪・わいせつ電磁的記録媒体頒布所持罪として罰せられます。冒頭で紹介した事例のように「アダルトサイトで販売する目的だった」といったケースでは、自宅のパソコンや自分のスマホにデータを保存しているだけでも犯罪になるということです。

2. わいせつ物頒布罪で問われる罪

わいせつ物頒布罪で有罪となった場合は、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料が科せられます。また、事案の内容によっては懲役と罰金が併科、つまり両方が科せられることもあります。

ほかの犯罪と比べると比較的に刑罰は軽いように感じられるかもしれませんが、懲役だけでなく罰金も同時に科せられることもあると考えれば軽視すべきではありません。とくに、わいせつ画像・動画を何度も頒布していた、有償で販売していたといったケースでは、厳しい処罰が下される危険が高まるでしょう。

3. 逮捕後の流れ

わいせつ物頒布の容疑で逮捕されると、まず警察の段階で48時間以内の身柄拘束を受けたうえで、検察官へと送致されてさらに24時間以内の身柄拘束を受けます。

検察官からの請求を裁判官が認めると、ここからさらに最長20日間の勾留による身柄拘束を受けてしまうため、逮捕から合計すると最長23日間にわたって社会と隔離される事態になるでしょう。勾留が満期を迎えるまでに検察官が起訴に踏み切れば刑事裁判となり、有罪となれば法定刑の範囲内で刑罰が下されます。

わいせつ物頒布事件の多くは、被害者が存在しません。たとえば「恋人の合意を得て性的な動画を撮影し、SNSに投稿した」といったケースでは、恋人の合意を得ているので被害者にはなり得ないのです。わいせつ画像・動画を見かけた人による通報や警察によるサイバーパトロールなどの活動によって犯罪が発覚することが多いため、そもそも被害者が存在しないケースもめずらしくありません。

被害者との示談交渉による解決が期待できないので、厳しい処分を回避するには、社会の善良な性風俗を害してしまったことに対する深い反省を示す必要があります。

わいせつ物頒布の容疑をかけられてしまったら、ただちに弁護士に相談して早期釈放や処分の軽減に向けたサポートを求めましょう。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年02月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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