不法侵入罪はどこから? 該当する行為や刑罰について

不法侵入罪はどこから? 該当する行為や刑罰について

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

令和3年6月、大学の校舎内に許可なく立ち入って会議内容をスマートフォンで録音した新聞記者が不法侵入の疑いで逮捕されました。

取材目的での立ち入りでしたが、大学職員に質問されても身分や目的を隠し、逃げ去ろうとしたため、職員によって現行犯逮捕されています。

この事例のように「自分には正当な理由があった」と主張しても、不法侵入と判断されて逮捕されることがあります。

不法侵入罪が成立する基準を見ていきましょう。

1. 不法侵入はどこから?

「不法侵入」といえば、たとえば勝手に他人の家に上がり込んだり、立入禁止の場所に入ったりすることを指すと理解している方は少なくありません。

まずは、法律の定めから「不法侵入」とはどのような行為で、どこからが不法侵入になるのかを確認します。

(1)不法侵入とは?

一般的に「不法侵入」や「不法侵入罪」と呼ばれていますが、実は「不法侵入罪」という犯罪はありません。

正しい罪名は、刑法第130条にある通り、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」といいます。

正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入した者を罰する犯罪で、有罪になると3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

他人の住宅や敷地はもちろん、ビルやマンション、管理されている空き家や空きビル、宿泊できる設備が整った客船や自衛隊の艦艇などに無断で立ち入ると、不法侵入となって処罰されます。

(2)どこからが「不法侵入」といえるのか?

不法侵入となる立ち入りと、適法な立ち入りとを区別する境界線となるのが「権利者の意思に反しているか?」という点です。

住居であれば住人、ビルやマンションであれば所有者やオーナー、空き家・空きビルであれば管理者などが、対象となる場所への立ち入りを許しているのかがポイントになります。

周囲を塀やフェンスで囲って外部から自由に立ち入れない、出入り口に「立入禁止」を表示しているなど、権利者が「自由な立ち入りを許さない」という意思を示していることが外観からもわかる場所に無断で立ち入れば不法侵入となるでしょう。

とはいえ、単に権利者の意思に反して立ち入れば必ず処罰されるわけでもありません。

たとえば同じ家でも、金品を盗むために留守宅に侵入するのと、権利者である親に内緒で交際相手の子と密会するため家に入ったのとでは意味が異なります。

そのため、権利者の意思に反しているのかに加えて、さらに「不法な目的があったのか?」という点も大きな考慮要素になるケースもあります。

2. 実際に不法侵入になるケース

不法侵入となって処罰されるおそれがあるケースについて、例を挙げながら見ていきましょう。

ここで挙げるようなケースでは、不法侵入として厳しい処罰を受けるおそれが高いと考えられます。

  • 空き巣など犯罪の目的で他人の住居や敷地に立ち入った
  • いたずらや肝試しなどの目的で空きビルに無断で立ち入った
  • 盗撮をするために、男性が女装して女子トイレに立ち入った
  • 合鍵を持っていたので、私物を持ち出す目的で元交際相手の住居に勝手に立ち入った
  • 「立入禁止」の看板を無視し、フェンスを乗り越えて学校の運動場に立ち入った

不法侵入は、住人や管理人などによって発見されて発覚するケースが多いため、関係者や通報を受けて駆けつけた警察官による現行犯逮捕を受けやすい犯罪です。

逮捕されてしまうと、警察・検察官の段階で72時間の身柄拘束を受けたうえで、さらに最長20日間にわたる勾留を受けてしまう危険があります。

逮捕直後の72時間は、たとえ家族であっても面会が許されないので、早期釈放に向けてなるべく早く弁護士に相談されることをおすすめします。

不法侵入は、権利者の意思に反しているところが問題となっている犯罪ですので、権利者の許しを得るのが最善策ともなるでしょう。

不法侵入を疑われ、権利者との話し合いがまとまらず、刑事事件に発展してしまいそうな状況があれば、ただちに弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

また、それが不法侵入として違法なのかという点について、議論が生じやすいケースも多いです。自分が本当に犯罪をしてしまったのかと疑問に持たれている方も、弁護士に相談してみるのをおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年01月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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