不法侵入したら現行犯以外でも逮捕される? 通常逮捕される可能性は?

不法侵入したら現行犯以外でも逮捕される? 通常逮捕される可能性は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

盗みをはたらく目的で不法侵入をしたものの、途中で怖くなって何もせずに逃げ出したといったケースでは「誰にも見られていないし、その場で捕まってもいないから大丈夫」と考えたくもなるでしょう。

たしかに、誰にも発見されず、その場で現行犯逮捕されていなければ、動かぬ証拠はないようにも思えます。

では、不法侵入の容疑で後日になって逮捕されることはあるのでしょうか?

1. 不法侵入は現行犯以外でも逮捕される可能性がある

不法侵入は、立ち入った家の住人やビルの管理人などに発見されて発覚するケースが多い犯罪です。

このように考えると、誰にも発見されず、その場で捕まることもなく逃げることさえできれば、その後は罪には問われないように考えてしまう方も多いでしょう。

本当に不法侵入は現行犯でないと逮捕できないのでしょうか?

(1)「現行犯でないと逮捕できない」という犯罪は存在しない

逮捕には3つの種類があります。

  • 通常逮捕
    裁判官が発付した逮捕状に基づく逮捕です。犯行の後日に執行されることが多いため「後日逮捕」とも呼ばれています。
  • 現行犯逮捕
    犯行の途中や直後にその場で身柄を押さえられる逮捕種別です。逮捕状を必要としないだけでなく、一般の私人による逮捕も認められています。
  • 緊急逮捕
    重大な犯罪について、逮捕状を請求する時間的な余裕がない場合に限り、逮捕状なしで執行できる逮捕です。

    逮捕後はただちに逮捕状を請求する必要があり、裁判官が逮捕状請求を却下した場合はただちに釈放されます。

    不法侵入は、その場で建物の権利者や管理者に見つかって問題となることが多いため、これら3つの逮捕種別のなかでも現行犯逮捕されやすい犯罪であることは間違いありません。
    ただし、刑法をはじめとした刑罰法令には「現行犯逮捕の場合に限る」といった規定が設けられている犯罪は存在しません。

    現行犯であることが条件にはなっていないので、不法侵入でも通常逮捕・緊急逮捕されるおそれがあります。

(2)どのような証拠があれば後日でも逮捕されるのか?

ここで挙げるような証拠があれば、不法侵入の容疑者として特定され、後日でも通常逮捕される危険があります。

  • 後から調べてわかった目撃者の供述
  • 防犯カメラなどの映像
  • 指紋・足跡・DNAなど、遺留された鑑識資料
  • 落としてしまったスマートフォン、乗り捨てた車などの遺留物

近年では街中のいたるところに防犯カメラが設置されています。

現場を監視しているカメラがなくても、コンビニやガソリンスタンドなど、現場付近の防犯カメラを詳しく分析されてしまうと、容疑者として捜査の対象となる危険が高まるでしょう。

2. 不法侵入で通常逮捕(後日逮捕)される場合の流れ

不法侵入の容疑で、犯行の後日に通常逮捕される場合の流れを見ていきましょう。

(1)警察が捜査して逮捕状を請求する

警察の捜査線上に容疑者として名前が挙がると、犯行日時の行動や目撃情報・防犯カメラ映像とのすり合わせなどの捜査がおこなわれます。

容疑が濃厚となれば、捜査の結果をもとに警察が裁判官に対して逮捕状を請求することもあります。

裁判官は、なぜその人物が疑わしいといえるのか、逮捕する必要はあるのかなどを審査し、逮捕が妥当だと判断すれば逮捕状を発付します。

(2)逮捕状に基づいて逮捕される

逮捕状が発付されると、警察は逮捕状に基づいて通常逮捕を執行します。

通常逮捕が執行されるパターンとしては、次の2つが典型的です。

  • 突然自宅などに警察官が尋ねてきて、逮捕状を示されて通常逮捕される
  • 警察署への出頭を求められ、認否を含めて任意で取り調べがおこなわれたうえで通常逮捕される

(3)逮捕後の流れ

警察に通常逮捕されると、まず警察の段階で48時間以内の身柄拘束を受けます。

自由な行動は制限されてしまうので、自宅へ帰ることも、仕事や学校へ行くことも許されません。

警察による取り調べを受けたあとは、検察官へと送致されます。

送致を受け付けた検察官は、さらに取り調べを進めたうえで、送致から24時間以内に勾留を請求するか、被疑者を釈放しなければなりません。

検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めると、原則10日間、延長請求があればさらに10日間、合計で20日間にわたる身柄拘束を受けます。

逮捕から数えると23日間も社会から隔離されてしまうので、家庭・仕事・学校への悪影響は大きくなるでしょう。

不法侵入の疑いで後日の通常逮捕に不安を感じているなら、被害者に謝罪のうえで示談交渉を進めることが重要となります。

なるべく早く弁護士に相談して示談交渉を進めてもらい、逮捕を回避するためのサポートを受けられることをおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年01月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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