
- 企業法務
フランチャイズ契約書、締結するときの注意点と7つのリスク
フランチャイズ事業の加盟者として事業を始めるときは、フランチャイズ契約書の作成、内容に関しての交渉というプロセスは避けて通れません。
そこで、本コラムでは、フランチャイズ契約書を作成するときに注意すべき事項についてご説明します。
1. フランチャイズ事業とは?
フランチャイズ事業とは、特定連鎖化事業ともいわれます。
フランチャイズ事業の加盟者は、本部に対して、フランチャイズ契約書で定められたロイヤリティーや加盟金を支払います。
その対価として、本部は、加盟者に対し、本部が保有・管理する商品・サービスの提供を受ける権利や商標を使用する権利を与え、さらに加盟者の事業運営にさまざまなサポートを行います。
加盟者としては、本部のブランド力や商標を使用できることで広告宣伝に要するコストを少なくすることができます。
また、本部から商品・サービスの供給や事業展開のノウハウなどについてサポートを得ることができるため、事業者としての経験が少ない人でも安定した事業運営が期待できるというメリットがあります。
このようなメリットから、さまざまな業態がフランチャイズ方式で事業を展開しています。
2. フランチャイズ事業のリスクとは?
フランチャイズ事業には、以下のようなリスクがあります。
- 事業が不調でも、原則として本部に支払うロイヤリティーは発生する。
- 事業をやめたくても、契約期間中であれば違約金が発生する可能性がある。
- 営業時間は本部の意向次第ということが多い。そのため、人手次第では加盟者の労働時間が過大になる可能性がある。
- 加盟者が出店するエリアに加盟者が十分なマーケティングを行っていないため、開業後の売り上げが伸びないことがある。
- 加盟者が出店したあと、本部がその周辺に他の加盟店や直営店を出店させる。これによる過当競争により加盟者が閉店に追い込まれ、加盟金だけ丸取りされる可能性がある。
- 開店に至らなかったのに、本部が支払い済みの加盟金やロイヤリティーを返還しない。
- リスク全般について、本部が加盟希望者へ十分な説明をしない。
これらの事態により、事業が立ち行かなくなる可能性があるのです。
3. フランチャイズ契約書を締結するときの留意点
フランチャイズ事業に加盟するにあたって、加盟者と本部は「フランチャイズ契約書」を締結します。加盟者にとってフランチャイズ契約書を締結することは、上記のようなリスクを最小化するという意味があります。
そして、フランチャイズ契約書に関連する法律としては、「独占禁止法」と「中小小売商業振興法」があります。
フランチャイズ契約書を作成するときは、フランチャイズ事業に関する独占禁止法と中小小売商業振興法の考え方がフランチャイズ契約書に反映されているか、加盟者として著しく不利な条項はないか、しっかりと確認してください。
(1)独占禁止法
公正取引委員会によりますと、本部による以下のような行為が、独占禁止法上問題になるとされています。
- ぎまん的顧客誘引
加盟者を募集するときに、実際よりも著しく優良または有利であると誤認させること。 - 抱き合わせ販売
商品などを供給する際、特定の事業者から他の商品を購入するよう加盟者に強制すること。 - 再販売価格の拘束
加盟者に対して、再販売価格の決定権を一切与えないこと。 - 拘束的取引
加盟者に本部以外の他の事業者との取引を認めないこと。 - 優越的地位の濫用
加盟者より有利な地位であることを利用して、不利益な取引を強いること。
(2)中小小売商業振興法
フランチャイズ事業において、加盟者と本部の間では、本部の方が圧倒的に情報やノウハウを持っています。このような情報格差から、加盟者に不利益が生じることもあります。
これを防ぐために、中小小売商業振興法第11条第1項では、フランチャイズ契約書を締結するにあたり、本部に「(法定の)事項を記載した書面を交付し、その記載事項について説明をしなければならない」ことを義務付けています。
また、加盟希望者に対して開示・説明されるべき事項とは、主に以下のとおりです。
- 契約の期間、更新、解除
- 加盟者に対する守秘義務および競業避止義務の有無、有の場合はその範囲
- 加盟時に必要な保証金や加盟金など
- ロイヤリティーの計算方法、および徴収方法や徴収時期
- 原材料などの仕入れ条件、商品やサービスの販売条件
- 本部の経営指導や研修などのサポート体制
- 使用できる商号、商標、その他の表示
- 店舗の営業時間、休業日
- 本部直営店や他の加盟者との間のテリトリー権
- 店舗の内外装や構造の義務
- 契約違反があった場合の違約金などのペナルティ、および一審の裁判所
- その他、経済産業省令で定める事項
上記の重要事項については、そのままフランチャイズ契約書に記載しておくとよいでしょう。
なお、中小小売商業振興法における上記事項の開示は、小売業および飲食業を対象としており、サービス業は対象外です。
フランチャイズ契約書を作成するにあたっては、弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士であれば、交渉を委任させられるだけでなく、契約書の作成やチェックをしてもらうこともできます。本部と対等な立場でフランチャイズ契約書を締結するために、まずは相談してみましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年05月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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