知的財産権の侵害リスクとは? 基礎知識と回避方法を解説
  • 2021年04月22日 (更新:2021年07月15日)
  • 企業法務

知的財産権の侵害リスクとは? 基礎知識と回避方法を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

技術・コンテンツの重要性は年々高まっており、今日ではほとんどの企業が、知的財産権と何らかの関わりを持っています。こうした状況の中で、他の会社から知的財産権の侵害を理由として訴えられてしまうと、自社にとって不測の損害が生じてしまいかねません。

この記事では、知的財産権の侵害に関する基礎知識や、侵害リスクの回避方法などについて解説します。

1. 知的財産権の侵害とは?

まずは、知的財産権侵害に関する基礎知識について解説します。

(1)知的財産権=独占利用権|勝手に利用すると侵害に

「知的財産権」とは、人間の創造的活動によって生み出された無形の資産について認められる権利の総称を意味します。

各種の知的財産権に共通しているのは、知的財産権を有する権利者に一定の範囲で権利の独占利用が認められていることです。つまり、誰かが知的財産権を有している技術・コンテンツなどについては、他の人が権利者に無断で利用すると違法になります。

したがって、知的財産権に関連する技術・コンテンツなどを取り扱う企業としては、自社のビジネスが他者の知的財産権を侵害していないか、常に気を配っておく必要があるのです。

(2)主な知的財産権の種類

知的財産権にはさまざまな種類があり、それぞれ個別の法律によってルールが決められています。日本における主な知的財産権の具体例としては、以下のものが挙げられます。

①特許権

自然法則を利用した、新規かつ高度で産業上利用できる発明を対象として認められる知的財産権です。

②実用新案権

物品の形状・構造・組み合わせに関する考案を対象として認められる知的財産権です。

③意匠権

物のデザインを対象として認められる知的財産権です。

④商標権

商品やサービスに使用されるマークなどを対象として認められる知的財産権です。

⑤著作権

文芸・学術・美術・音楽・プログラムなどの思想又は感情を創作的に表現したものを対象として認められる知的財産権です。

⑥営業秘密(不正競争防止法)

企業が保有する事業活動に有用なノウハウなども、営業秘密として法律上の保護を受けます。

(3)知的財産権侵害に対するペナルティ

知的財産権を侵害した場合、大きく分けて以下の3つのペナルティが科される可能性があります。

①差止め

裁判所により、知的財産権の侵害に該当する利用行為(販売・掲示など)の差し止めが命じられます。

②損害賠償

知的財産権の侵害行為により不当に得た利益(=権利者に与えた損害)を賠償する責任を負います。

③刑事罰

知的財産権侵害のうち、特に法律で定められた行為類型については、刑事罰の対象となる可能性があります。

2. 知的財産権を侵害するリスクを回避するには?

知的財産権の侵害で訴えられてしまうと、自社に経済的な面での実害が生じるほか、対外的なレピュテーションの面でも大きくマイナスに働いてしまいます。

知的財産権の侵害リスクを回避するには、以下の点に留意した対応が求められます。

(1)行政のデータベースを利用して事前調査を行う

自社として公式に技術やコンテンツを利用した商品・サービスをリリースする場合、知的財産権に関する網羅的な事前調査を行うことが不可欠です。

登録が必要な知的財産権(特許・実用新案・意匠・商標)については、行政機関が運営している専用のデータベースが存在します。
(参考:「特許情報プラットフォーム」(独立行政法人工業所有権情報・研修館))

一方著作権については、著作物が生み出された時点で権利が発生するため、専用のデータベースは存在しません。
そのため、適宜Google検索などを利用した調査を行うのが良いでしょう。

上記の各方法を用いて、自社がリリースしようとしている商品・サービスの中で、既存の知的財産権と類似した技術・コンテンツなどが利用されていないか、事前にきちんと調査しましょう。

(2)侵害の疑いが生じたら速やかな危機管理対応を

しかし、世の中には無数の知的財産権が存在するので、事前調査に漏れが生じ、後から知的財産権の侵害が判明するというケースも、一定の確率で生じてしまいます。

自社が知的財産権を侵害している可能性が浮上した場合には、速やかに調査に着手することが大切です。

そのうえで、侵害に当たると判断されるのであれば、商品・サービスを回収して謝罪し、再発防止策の徹底に努めましょう。

迅速かつ適切な危機管理対応をとることにより、自社に生じる経済的ダメージや、レピュテーションの毀損を最小限に食い止めることができます。

一方、知的財産権の侵害には当たらないと判断される場合には、弁護士に相談して法的な観点から反論を行いましょう。訴訟対応には膨大な労力を要しますが、迅速な問題解決に繋がります。

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