無断欠勤が多い従業員を解雇することはできる? 解雇要件・注意点
  • 2021年06月28日
  • 企業法務

無断欠勤が多い従業員を解雇することはできる? 解雇要件・注意点

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

無断欠勤の多い従業員がいる場合、会社の規律を乱す存在として解雇したいと考えるケースもあるでしょう。
しかし、日本の労働法では労働者の権利が厚く保護されているので、解雇のためには慎重なプロセスを経る必要があります。
この記事では、無断欠勤が多い従業員を解雇することの可否や注意点などをご紹介します。

1. 無断欠勤が多い従業員を解雇することは可能?

会社への連絡もなしに欠勤することが多い従業員を解雇するためには、その従業員が就業規則上の懲戒事由または解雇事由に該当することが必要です。

しかし、それだけでなく、いわゆる「解雇権濫用の法理」による制限にも注意する必要があります。

(1)解雇権濫用の法理とは?

「解雇権濫用の法理」とは、労働契約法第16条に規定される以下のルールを意味します。

(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

解雇権濫用の法理に従うと、たとえ欠勤が懲戒事由や解雇事由に当たるとしても、欠勤の悪質性などに照らして解雇理由が合理的かつ相当であると認められない限り、解雇は無効になってしまいます。

特に、欠勤の理由が職場環境や労災による疾病などにある場合には、欠勤を理由とする解雇が認められる可能性は、限りなく低くなってしまうでしょう。

(2)欠勤を理由に直ちに解雇することは難しい

無断欠勤は、多くの場合就業規則違反に該当しますが、1回や2回の無断欠勤で直ちに懲戒解雇することは、解雇権濫用の法理に照らして違法となる可能性が高いでしょう。

もし無断欠勤の多い従業員を解雇したい場合には、後述するように、会社側として必要なステップを踏む必要があります。

2. 無断欠勤を理由に従業員を解雇する際の注意点・チェックポイント

無断欠勤の多い従業員の解雇を検討する場合、トラブル防止の観点から以下の各点に留意して、労働法の規定を踏まえた対応を心がけましょう。

(1)まずは改善指導を試みる

使用者が再三にわたり改善指導を行ったものの、無断欠勤の傾向が改善されないという事実が認められれば、解雇が有効と認められる方向に働きます。

逆に言えば、使用者が無断欠勤の多い労働者を解雇する前に、まずは十分な改善指導を行う必要があるということです。
後で実際に解雇が必要になる場合に備えて、文書などの証拠が残る形で、従業員に対する注意・指導を行いましょう。

(2)懲戒処分は段階的に行うべき

懲戒解雇は、懲戒処分の中でもっとも重い処分なので、いきなり懲戒解雇をすることは解雇無効のリスクを高めてしまいます。

そのため、まずは戒告やけん責にとどめ、それでも改善されなければ減給、降格……というように、段階的に懲戒処分を行うことをお勧めいたします。
そして、あらゆる懲戒処分を行ってもなお、無断欠勤の傾向が改善されない場合には、懲戒解雇を行うことも検討しましょう。

(3)解雇の際には解雇予告等が必要

会社が従業員を解雇する場合、30日以上前に解雇予告(解雇通知)を行うか、または30日分以上の平均賃金に相当する「解雇予告手当」を支払う必要があります(労働基準法第20条第1項)。

この点は、無断欠勤のように、従業員側に解雇の責任があるケースでも同様なので注意しましょう。

(4)解雇を行う前に弁護士に相談を

これまで解説したように、無断欠勤など、専ら労働者側に非があると考えられるケースでも、解雇を行うかどうかの判断は慎重に行う必要があります。

もし解雇後に労働者から解雇無効を主張され、労働審判や訴訟などに発展した場合には、対応に多大なる労力やコストがかかるうえ、労働者の復職を認めざるを得ないという事態にも陥りかねません。

解雇に関しては、法令上の厳格なルールが定められているので、実際に解雇の判断を下す前に、弁護士に相談することをお勧めいたします。
弁護士に相談すれば、解雇を適法に行うために必要なステップや、労働者との紛争を防止するための対策などについてアドバイスを受けることができるでしょう。

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