- (更新:2023年01月31日)
- 企業法務
廃業と倒産の違いとは?廃業回避にはM&Aも有力な解決策
「廃業」と「倒産」は似た意味の言葉に思われますが、どのように使い分けられているかはあまり知られていません。
今回は、廃業と倒産の意味の違いを解説したうえで、廃業を回避する方策として有力である、M&Aによる事業承継についても簡単にご紹介します。
1. 廃業と倒産の違いとは?
「廃業」と「倒産」は、いずれも法律上の定義語ではありませんが、一般的には、両者は異なる意味を持つ言葉として使い分けられています。
この機会に、「廃業」と「倒産」の正確な意味について理解しておきましょう。
なお、実際には、両者の意味には重なっている部分もあるため、「廃業でも倒産でもある」というケースもあり得ます。
(1)「廃業」=単に事業をやめること
「廃業」とは、事業を営む法人や個人事業主が、その事業をやめることを意味します。具体的には、法人であれば解散・清算の手続きをとり、個人事業主であれば廃業届を役所に提出することになります。
廃業の理由は、事業主によってさまざまです。たとえば、後述する「倒産」に伴って(債務が支払えなくなって)廃業するケースもあり得ます。
その一方で、財務状態は健全であるものの、
- 事業の将来性が見込めなくなった
- 十分にお金を稼いで満足した
- 単純に飽きてしまった
などの理由から廃業するケースも考えられます。
このように、廃業は単に事業をやめることを意味するのみであり、必ずしも財務状況の悪化などが理由とは限らないことを理解しておきましょう。
(2)「倒産」=債務が支払えなくなった状態
これに対して「倒産」とは、資金繰りの悪化などにより、債権者に対する債務の支払いが不可能または著しく困難になった状態を意味します。
倒産状態に陥った法人や個人事業主は、弁護士に依頼して「債務整理」を行うのが一般的です。債務整理とは、債務カットや返済期日の延長などにより、債務負担を和らげる以下のような手続きを意味します。
- 破産手続き(法人破産)
- 特別清算手続き
- 民事再生手続き
- 会社更生手続き
- 任意整理
など
上記の債務整理手続きのうち、法人や個人事業主の「廃業」を伴うのは、「破産」と「特別清算」の2つのみです。それ以外の「民事再生」「会社更生」「任意整理」は、事業の継続を前提としています。
このように、「倒産」状態に陥ったからといって、必ずしも「廃業」しなければならないわけではないということを理解しておきましょう。
2. 廃業する前にM&Aによる事業承継の検討を
「廃業」をしてしまうと、それまでの取引先との関係性や、従業員の雇用が失われてしまいます。せっかく築き上げてきた事業を畳んでしまう前に、M&Aによる事業承継を検討してみましょう。
(1)M&Aとは?
M&Aとは、複数の法人(または個人事業主)による経営統合の手続き全般を意味します。
売り主側の事業を売却したいというオファーに対して、買い主側がその事業を必要としている事情が存在する場合、双方にとって利益のある取引として、M&Aが実現します。
特に廃業を検討する事業主にとっては、その事業を買い取り、再生してくれる優秀な経営者を見つけることができれば、大切な事業の廃業を回避することが可能です。
(2)M&Aによる事業承継を行うメリット
M&Aによる事業承継を行うことの主なメリットは、以下のとおりです。
①事業の売却代金が得られる
M&Aによる事業売却が実現すれば、売り主は売却代金が得られます。売却代金はまとまった金額になるケースが多いので、それを元手に新たな事業を起こす、資産投資を行う、老後資金に充てるなど、さまざまな用途に資金を用いることができます。
②会社のブランドを存続させられる
長年築き上げてきた会社のブランドは、事業主にとってはかけがえのないものです。たとえ経営の一線から退くとしても、末永く続いてほしいと考える事業主の方が多いでしょう。M&Aによる事業承継が成功すれば、会社自体の存続とともに、ブランドの継続も実現することが可能です。
③従業員の雇用を維持できる
会社が突然廃業してしまうと、従業員は全員解雇となり、路頭に迷ってしまうことにもなりかねません。
M&Aによる事業承継を行う際には、買い主側との間で雇用の維持に関する合意を締結することによって、従業員の雇用を引き続き確保できるメリットがあります。
(3)事業承継M&Aの交渉・手続きは弁護士に相談を
M&Aは時に大規模な取引になるため、契約交渉やデューデリジェンスなど、複雑かつ多段階のプロセスを経ることになります。
M&Aによる事業承継を成功に導くためには、各段階において適切な方針による交渉を行いつつ、法令に沿った手続きを確実に履践していくことが必要不可欠です。
そのため、M&Aによる事業承継を検討されている事業主の方は、一度弁護士まで相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年01月31日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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