M&Aにはどのような種類がある?選択のポイントや各手法の長所・短所
  • 2021年06月21日
  • 企業法務

M&Aにはどのような種類がある?選択のポイントや各手法の長所・短所

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

M&Aの種類・手法にはさまざまなパターンが存在し、その中から売り主・買い主のニーズに合った手法を選択することが大切です。
この記事では、M&Aの各手法の種類・概要について紹介したうえで、よく利用される「株式譲渡」と「事業譲渡」のメリット・デメリットについて見ていきます。

1. M&A手法を選択する際のポイント

M&Aの各手法には、それぞれメリット・デメリットが存在します。
したがって、どの種類の手法を選択すべきかについては、契約当事者のニーズに応じてケース・バイ・ケースで異なります。

これからM&Aを実行しようとする場合には、各手法の特徴を踏まえたうえで、どの手法が売り主・買い主の双方にフィットするかを、事前によく検討することが大切です。

2. M&A手法の種類にはどのようなものがある?

M&Aの手続きを規律する会社法では、さまざまな種類のM&A手法が認められていますので、各手法の概要について理解しておきましょう。
また、特に中小企業では「株式譲渡」と「事業譲渡」がよく用いられるので、この2つの手続きのメリット・デメリットについては少し詳しくご紹介します。

(1)M&Aの種類一覧

会社法上認められている主なM&A手法は、以下のとおりです。

①合併

複数の企業が合体して一つの会社になる手続きです。
既存会社が他の会社を吸収する「吸収合併」と、当事者の会社をすべて消滅させたうえで新会社を設立する「新設合併」の2つがあります。

②会社分割

会社の事業の一部を切り離し、他の会社に吸収させる手続きです。
既存会社に事業を吸収させる「吸収分割」と、切り離した事業をそのまま新会社とする「新設分割」の2つがあります。

③株式交換

対象会社の発行済み株式をすべて買い主が取得し、100%の親子会社関係を作り出す手続きです。

④株式移転

売り主・買い主双方の会社の発行済み株式を、新設会社に取得させる手続きです。
持ち株会社を設立する際によく用いられます。

⑤事業譲渡

会社の事業の全部または一部を、買い主に対して売却譲渡する手続きです。
合併や会社分割とは異なり、契約関係を個別に承継することになります。 詳しくは後述します。

⑥株式譲渡

売り主が買い主に対して対象会社の株式を売却し、経営権を移転する手続きです。 詳しくは後述します。

⑦第三者割当増資

対象会社が買い主に対して新株を発行する手続きです。
新株発行を受けた買い主は、会社法上の手続きを利用して少数株主から残りの株を買い取り、対象会社の支配権を100%獲得するケースもよく見られます。

(2)株式譲渡のメリット・デメリット

株式譲渡は、M&Aの中でも比較的シンプルな手法として好んで用いられます。

株式譲渡の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

<株式譲渡のメリット>

  • 株式譲渡契約の締結、実行のみで譲渡が完結するため、手続きがシンプル
  • 対象会社の組織をそのまま温存できるため、買収後の経営統合プロセス(PMI=Post Merger Integration)に関する苦労が少ない

<株式譲渡のデメリット>

  • 必然的に会社全体を買収することになるため、特定の事業を選んで買収することはできない
  • デューデリジェンスで見落とされていた簿外債務を承継してしまうリスクがある

株式譲渡は、手続きがシンプルであるメリットが大きい反面、対象会社のリスクを丸ごと買い主が承継することになるため、デューデリジェンスを適切に行うことが大切です。

(3)事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡も、株式譲渡と並んでポピュラーなM&A手法といえます。

事業譲渡の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

<事業譲渡のメリット>

  • 特定の事業を選んで買収することが可能
  • 簿外債務を承継するリスクが小さい

<事業譲渡のデメリット>

  • 契約関係を引き継ぐためには、相手方の個別承諾が必要となる
  • 行政上の許認可を引き継ぐことはできないため、買い主側で必要な許認可を再取得する必要がある

事業譲渡は、買収対象となる事業や契約関係を絞ることができるため、買い主側としては買収リスクを限定できるメリットがあります。
その反面、手続きの観点からは煩雑になりがちなので、必要な手続きについてあらかじめ確認し、必要に応じて実行前から根回しを行っておきましょう。

M&Aの手続き選択を適切に行うには、各手法のメリット・デメリットを比較し、どの手続きがもっともよく売り主・買い主のニーズを実現できるかを判断する必要があります。

弁護士に相談すれば、依頼者や相手方の状況に応じたオーダーメードのアドバイスを受けられるので、M&Aの手続き選択にお悩みの経営者の方は、一度弁護士までご相談いただくとよいでしょう。

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