
- (更新:2023年01月31日)
- 債権回収
債権回収を民事裁判・訴訟で解決するときのメリット・デメリットは?
「料金の支払いを再三請求しているのに、相手方が支払ってくれない。」というときには、請求書や督促状を送り続けるよりも、民事裁判・民事訴訟にしてしまったほうがいいケースもあります。
今回は、債権回収で民事裁判・民事訴訟を利用するときのメリット・デメリットについてみていきましょう。
1. 裁判・訴訟は債権回収の最終手段
債権回収には、督促状や内容証明郵便を送るほか、民事調停や支払督促などさまざまな解決手段があります。借金の返済を請求する場合は債権回収会社に依頼する方法もあるでしょう。しかし、あらゆる手を尽くしても債務者が返済や支払いに応じない場合は、最終手段として裁判・訴訟を申し立てることになります。
(1)裁判・訴訟にしたほうがよいケースとは
裁判・訴訟にしたほうがよいのは、債務者が支払いを拒否しているような話し合いの余地がないケースです。いくら請求書や督促状を送っても無視したり、あれこれ言い訳をしながら支払いを逃れようとしたりする債務者には、時間をかけて交渉しても問題解決は期待できないでしょう。そういうときは、早期に裁判・訴訟にしてしまったほうが債権回収できる可能性が高くなります。
(2)訴訟の流れ
ここでは、通常訴訟に関する訴訟手続きの流れについて簡単に解説します。
①訴状の作成
まず、訴訟を起こすために必要なのが訴状の作成です。契約を締結した事実、契約内容や履行内容の完了日、本来の支払期日、勝訴するために認められるべき事実など必要事項を記入し、債権者の所在地(住所)を管轄する裁判所に提出します。
②証拠の提出
訴状とともに証拠の提出も必要になるので、証拠資料は契約書や納品書、領収書、検品報告書などを裁判所に持参しましょう。相手方と交渉するときに録音していた場合は、その録音を文字起こししたものを提出します。どのような証拠が必要かわからないときは、弁護士に相談することをおすすめします。
③裁判期日
訴状と証拠を提出後、1か月程度で裁判期日を迎えます。期日前には相手方から原告の主張に対する答弁書が送られてくるので、それに対して自らの意見を述べたり相手方の主張に反論することになります。その後は、結審するまで答弁と反論のやりとりが続きます。ちなみに、第1回期日当日に相手方が出廷せず、答弁書も提出しない場合はそのまま勝訴となります。
④判決もしくは和解の成立
結審した後、裁判長が双方の主張や証拠、尋問の結果を総合的に考慮したうえで判決を下します。ただし、訴訟の途中で、裁判官から和解を勧告されることも少なくありません。当事者双方がそれに合意すれば和解が成立し、和解調書が交付されます。
2. 債権回収で裁判・訴訟をするメリット・デメリット
債権回収では、最終的に裁判・訴訟で決着をつけることになりますが、裁判・訴訟にはメリットがある反面、デメリットもあります。
(1)メリット
①問題解決につながる可能性が高くなる
相手方が支払いのみならず協議にも応じない場合、相手方の反応をずるずると待っているとそのうち時効になってしまうことも考えられます。裁判・訴訟を提起すると相手方に届く訴状や呼び出し状が相当なプレッシャーとなり、裁判・訴訟に応じてもらえる可能性が高くなります。そうすれば、未回収だった売掛金や代金などの回収が期待できるでしょう。
②判決を得られれば強制執行できる
裁判・訴訟の結果として得られる確定判決や和解調書は債務名義になります。裁判・訴訟を終えてもなお相手方が支払わない場合は、これらの債務名義を使って裁判所に強制執行を申し立てることで、強制執行をすることが可能です。相手方の給与債権などを差し押さえてそこから債権を回収する債権執行や、不動産を競売にかける不動産執行などを通じて債権回収ができるでしょう。
(2)デメリット
①通常訴訟の場合は時間がかかる
一方、通常訴訟の場合は時間がかかることがデメリットのひとつです。未収金が60万円以下の場合は1日で結審する少額訴訟制度を利用すれば短期間で終わりますが、通常訴訟の場合は期日が1~2か月ごとになるため、半年から1年ほどかかります。その間、追加資料の提出などもしなければならないことがありますが、弁護士に依頼すればすべての手続きを任せることが可能です。
②費用倒れになる可能性もある
裁判・訴訟を起こしても、費用倒れになることも考えられます。相手方が経営難に陥っていて資力がない場合は、「ない袖は振れない」状態なので、裁判・訴訟費用をかけても無駄になってしまうことがあります。また、相手方がこっそり財産を処分したために手元に支払えるだけの財産がないこともありえるでしょう。弁護士に依頼すれば、事前に財産調査をしたり、仮差し押さえをして財産を保全することも可能です。
裁判・訴訟は、自力で準備して提起することもできます。しかし、未回収になっている債権が高額な場合は、より確実に回収するためにも弁護士に相談されることをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年01月31日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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