国家賠償請求訴訟とは? 手続きの流れや具体的ケースを解説
  • 2022年03月30日
  • 行政事件

国家賠償請求訴訟とは? 手続きの流れや具体的ケースを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

国の行為または不作為によって損害を被った場合、「国家賠償請求訴訟」を通じて、国に対して損害賠償を請求することができます。国家賠償請求訴訟は、国を相手とする厳しい訴訟となることが少なくないため、弁護士に相談しながら入念に準備を進めていきましょう。

この記事では、国家賠償請求訴訟の概要・問題となるケースの具体例・手続きの流れなどを解説します。

1. 国家賠償請求訴訟とは?

国家賠償請求訴訟は、国の法的責任を追及する訴訟手続きの一つです。

(1)国に対して損害賠償を請求する訴訟

国家賠償請求訴訟では、国家賠償法第1条第1項に基づき、国に対して損害賠償を請求します。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
(国家賠償法第1条第1項)

公務員以外の、一般の民間人(私人)に対しては「不法行為」(民法第709条)に基づき行為者の損害賠償責任を追及できるほか、組織に対しては、「使用者責任」(民法第715条)に基づき損害賠償請求ができます。

これに対して、国の公務員による「不法行為」に該当する行為については、行為者である公務員の個人責任を直接追及することはできません。しかし、公務員個人の代わりに、国家賠償請求訴訟を通じて、国自体の責任を追及することができます。

(2)国家賠償請求訴訟以外の国に対する訴訟手続き一覧

国に対して損害賠償を求める「国家賠償請求訴訟」のほかにも、国民が国に対して法的主張を行うための訴訟手続きとして、以下の各種「行政訴訟」が用意されています。

  1. 取消訴訟(行政事件訴訟法第3条第2項3項)
  2. 無効等確認の訴え(同条第4項)
  3. 不作為の違法確認の訴え(同条第5項)
  4. 義務付けの訴え(同条第6項)
  5. 差止めの訴え(同条第7項)
  6. 当事者訴訟(同法第4条)
  7. 民衆訴訟(同法第5条)

これらの行政訴訟は、国に対して違法行為をやめるように求めたり、逆に何らかの必要な措置をとるように求めたりする場合などに提起します。国家賠償請求訴訟を含めて、どの訴訟手続きを利用すべきかについては、弁護士にご確認ください。

2. 国家賠償請求訴訟が提起されるケースとは?

国家賠償請求訴訟は、国の行為または不作為によって何らかの損害が発生した場合に、広く利用することができます。国家賠償請求訴訟に発展する主なケースは、以下のとおりです。

(1)公害等による健康被害

国の公共事業の一環として行われる工事によって健康被害が発生した場合、国家賠償請求を行うことができます。

また、国が規制権限を有する工場などで公害が発生した場合など、国の規制権限の不行使を理由として、国家賠償請求訴訟を提起することが可能です。

(例)アスベスト訴訟、水俣病訴訟、新潟水俣病訴訟、ハンセン病訴訟

(2)予防接種禍

国が主導して行われる予防接種で健康被害が発生した場合、国の衛生管理の不備等を理由として、国家賠償を請求できます。

(例)B型肝炎訴訟

(3)誤認逮捕

罪を犯したとして逮捕・勾留されたものの、その後誤認逮捕であることが判明して釈放された場合、刑事補償法に基づく補償を受けることができます。

しかし、刑事補償法に基づく補償額は限定的であるため、誤認逮捕の被害者に生じた損害の全額を補塡(ほてん)できるとは限りません。この場合、不足額は国家賠償請求訴訟によって、国に補填を求めることができます(刑事補償法第5条第1項)。

3. 国家賠償請求訴訟の手続きの流れ

国家賠償請求訴訟の大まかな流れは、以下のとおりです。

訴訟手続きは専門性が高く、また国の反論に備えて周到に準備を行う必要があるため、弁護士に相談しながら対応することをおすすめします。

(1)裁判所に訴状を提出

国家賠償請求権が発生する根拠となる事実(国の行為または不作為による損害の発生、国の故意または過失)を記載した訴状を、裁判所に提出します。国家賠償請求訴訟の場合、不法行為のケースに準じて、原告の住所地を管轄する裁判所に訴状を提出することができます。

(2)口頭弁論期日での主張・立証

公開の法廷で行われる「口頭弁論期日」において、国家賠償責任を基礎づける事実を主張し、各事実を証拠によって立証します。

期日の都度「準備書面」に主張をまとめて裁判所に提出し、準備書面の内容に基づいて審理が進められるのが一般的です。また口頭弁論期日では、必要に応じて証人尋問なども行われます。

裁判所が十分な心証を形成するまで、口頭弁論期日は何度でも開催されます。

(3)和解または判決

国家賠償請求訴訟の途中で、原告と国の間で裁判上の和解が成立した場合、その時点で訴訟は終了します。

これに対して、和解が成立しない場合には、最終的に裁判所が判決を言い渡します。

(4)上訴・判決確定

判決に対して不服がある当事者は、上級裁判所へ控訴または上告をすることができます(民事訴訟法第281条第1項、第311条第1項)。控訴・上告期間は、いずれも判決書等の送達を受けた日から2週間です(同法第285条、第313条)。

期間内に控訴・上告が行われなかった場合、または上告審の判決が言い渡された場合には、判決が確定します。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年03月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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