マンション管理費の時効は何年? 回収のために何をすべきか
  • 2022年05月11日
  • 不動産・建築・住まい

マンション管理費の時効は何年? 回収のために何をすべきか

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

マンション管理費や修繕積立金の滞納が生じている場合に、マンション管理会社(管理組合)が気を付けなければならないのが時効の問題です。滞納額が少ないからといって、長期間管理費が滞納している状態で放置していると、時効によって滞納管理費の請求権が消滅することがあります。

マンション管理会社としては、適切に債権管理を行っていくためにも、マンション管理費の時効についてきちんと理解しておくことが重要です。今回は、マンション管理費の消滅時効と時効成立を阻止するための手段について解説します。

1. マンションの管理費の消滅時効とは

マンション管理費を滞納していた場合には、どのような場合に時効になるのでしょうか。以下では、マンション管理費の消滅時効について説明します。

(1)そもそも消滅時効とは

消滅時効とは、債権者がもつ法的な権利が消滅する制度のことをいいます。

たとえば、マンションの管理費の支払いを滞納し、法で定められた一定期間以上、返済も請求もされなかった場合には、消滅時効が成立して、マンション管理費の支払い義務は消滅します。

なお、消滅時効の期間は令和2年4月に改正されました。マンションの管理費への影響については、以下の(2)(3)で詳しく説明します。

(2)令和2年4月1日以降に発生した管理費の時効

令和2年4月1日以降に発生した管理費については、改正民法の規定が適用されます。

改正民法では、時効期間は以下のとおり規定されており、いずれか短い方が適用されます(民法166条1項)。

  • 権利を行使することができることを知ってから5年
  • 権利を行使することができるときから10年

管理費の請求権は、各支払期日に発生し、そのことは当然マンション管理会社としても認識していますので、5年の時効期間が適用されます。

(3)令和2年3月31日以前に発生した管理費の時効

改正民法施行日よりも前に生じた債権については、改正前民法の規定が適用されます。

改正前民法では、通常の債権の時効期間は10年と規定されていましたが、マンション管理費については、通常の債権ではなく定期給付債権として扱われるとの最高裁判決が存在しています(最高裁平成16年4月23日判決)。定期給付債権の時効期間は、5年とされていますので(改正前民法169条)、マンション管理費の時効期間は、5年です。

つまりマンション管理費の時効は、改正民法前後にかかわらず、5年となります。

2. 時効を成立させないための法的手段

マンション管理費の滞納が生じた場合にそのまま放置していると、上記のとおり時効によって権利が消滅してしまう可能性があります。そのため、マンション管理会社としては、時効完成前に適切な手段を講じる必要があります。

(1)時効の更新

時効の更新とは、一定の時効更新事由が生じた場合に、それまで進行していた時効期間がいったんリセットされ、再びゼロから時効期間が進行することをいいます。

時効更新事由とされているものには、以下のものが挙げられます。

  • 承認
  • 裁判上の請求
  • 強制執行
  • 破産手続き参加

時効の更新をする場合には、まず、マンション管理費を滞納している相手に対して、任意の合意書を作るよう働きかけてみましょう。合意書には、管理費の滞納額の確認と支払いに応じる旨などを記します。滞納者との間で合意書面が作成されれば、時効更新事由である「承認」に該当しますので、その時点で時効の進行はリセットされます。

滞納者が合意書面の作成を拒絶している場合には、合意による解決は難しいため、民事訴訟を起こして判決を得ることによって、時効の更新を行います。

(2)時効の完成猶予

時効の完成猶予とは、一定の時効完成猶予事由が生じた場合に、時効期間の進行がいったんストップするという制度です。時効の更新とは異なり、時効期間がリセットされることはなく、完成猶予事由が終了した場合には、ストップした時点から再び時効期間が進行することになります。

マンション管理費の滞納の場合には、改正民法によって新たに導入された“合意による時効の完成猶予”を利用することが有効な場合があります(民法151条)。合意による時効の完成猶予とは、債権者と債務者との間で、権利について協議を行う内容の合意書面が作成された場合には、1年間時効の完成が猶予されるというものです。

改正前の民法のものでは、時効の完成が近づいてくると、たとえ当事者間で話し合いをしていても、訴訟提起などの手段をとらざるを得ませんでした。そのため、お互いの関係性の悪化が深刻になる可能性もありましたが、合意による時効の完成猶予の制度を利用することによって、友好的な関係を維持したまま話し合いを継続することが可能です。

また、合意による時効の完成猶予は、催告と異なり、重ねて完成猶予の効力を得ることもできます(民法150条2項、151条2項)。

どちらにせよ、法的な知見をもとに手続きを進めることが安心です。マンション管理費滞納で悩んだら、時効という問題に対処する上でも、長期化する前に弁護士に相談することをおすすめします。

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