管理会社が対応してくれない! 弁護士に依頼するメリットは?

管理会社が対応してくれない! 弁護士に依頼するメリットは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

住居トラブルに管理会社が対応してくれず、どのように解決したらよいかお悩みの方もいるのではないでしょうか。状況を改善する方法には行政への相談などがありますが、訴訟の提起を検討する場合には、弁護士への依頼も検討しましょう。

本コラムでは、管理会社が対応してくれない理由や、住居トラブルの例と対処法、弁護士に依頼するメリットとデメリットについて解説します。

1. 管理会社が住居トラブルに対応してくれない理由

敷金の返還トラブルや騒音トラブルなど、住居に関するトラブルにはさまざまな種類があります。ここでは、住居トラブルの種類や、こうしたトラブルに管理会社が対応してくれない理由について解説します。

(1)よくある住まいのトラブル

住居のトラブルとしてよくあるのが、敷金の返還、近隣からの騒音、事前に説明されていない不備、故障した設備の修繕に関するものです。

①敷金が返還されない

マンションやアパートの退去時に発生しうる問題のひとつが敷金の返還に関することです。原状回復にかかる費用が敷金を超える場合には、入居者(退去者)は大家から超過分を請求されます。ただし、居室の原状回復の範囲や程度について、退去者と大家との意見が対立することはめずらしくありません。退去者として納得できない場合には、大家に対して敷金の返還を要求することが可能です。

②騒音

近所からの騒音に悩まされている場合には、建物の大家または騒音を出している本人に対して騒音を出さないために必要な措置を求めることができます。ただし、何をもって騒音と判断するのかは、個人や状況によって大きく異なります。騒音が起こる時間帯や騒音の大きさなどの客観的なデータをそろえた上で対応する必要があります。

③事前説明にない不備

入居後に居室内の不備が発覚して、トラブルにつながる場合もあります。居室の不備に関して事前に説明を受けていない場合は、大家や不動産仲介業者に対して修繕や状況の改善を求めることができます。契約時に費用負担などの説明を受けていない場合には、契約を解除することも検討すべきでしょう。

④設備を修理してもらえない

居室内の設備が故障したからといって、必ず大家が費用負担して修繕してくれるとは限りません。前に入居していた人が残していった設備の故障を修繕する場合などに、大家と現在の入居者のどちらが修繕に必要な費用を負担するか問題となることがあります。設備故障時の費用負担については、入居前に必ず確認しておきましょう。

(2)管理会社が対応してくれない理由

管理会社の役割は一般的に、入居者からの家賃を漏れなく定期的に回収することにあります。大家が管理会社に貸している建物に入居する、などのように管理会社が貸主になっている例を除いては、管理会社は入居者に対して何らの責任も負っていません。契約して報酬を払っているのは大家であり、入居者ではないからです。

2. 管理会社が対応してくれない場合の対処方法

(1)行政への相談

自治体によっては、住居トラブルの相談窓口を設けているところもあり、職員からのアドバイスが受けられます。ほかの公的機関に相談する、訴訟を提起するといった解決のための方向性を決められるかもしれません。

(2)担当者の変更

担当者が変わることによって、停滞していた問題が改善の方向に動く可能性もあります。現在の担当者の対応に明らかな問題がある場合には、管理会社に連絡して、担当者の変更を依頼してみることもひとつの方法です。

(3)家主(建物のオーナー)への直接連絡

マンションやアパートの家主に直接連絡し、家主から管理会社に働きかけてもらう方法もあります。報酬を支払う立場の家主が対応を迫れば、管理会社が問題解決に向けて取り組んでくれる可能性が高まるでしょう。

(4)大家や不動産仲介業者への訴訟提起

行政などに相談しても解決が難しい場合には、訴訟の提起を検討する必要があります。訴訟の相手としては大家や不動産仲介業者が考えられます。

3. 大家や不動産仲介業者を訴えるときの手順

(1)証拠を集める

訴訟を提起する場合、裁判所に証拠を提出する必要があります。契約書、被害の程度を示す写真、大家や不動産仲介業者とのやり取りがわかるデータなどが証拠になります。訴状や証拠のほかに、証拠説明書や委任状、登記事項証明書などもあわせて裁判所に提出します。

(2)弁護士へ依頼

訴訟の手続きは煩雑であり、個人には大きな負担がかかります。弁護士に依頼すれば、大家や不動産仲介業者との交渉を請け負ってくれ、訴訟の提起をスムーズに進められます。ただし弁護士に依頼する場合には、相談料や着手金、弁護士の日当や実費などが必要です。さらに成功報酬も支払わなければなりません。弁護士費用が訴訟によって得られる金額を上回らないように注意しましょう。

(3)訴訟の提起

個人で提起する場合と集団訴訟を起こす場合に分けて解説します。

①個人で提起する場合

弁護士に依頼することで赤字になる場合は本人訴訟をおすすめします。請求額が60万円以下であれば、少額訴訟を提起することも可能です。少額訴訟の審理は原則として1回であり、即時解決を図れる特別な訴訟手続きです。

訴訟を提起した場合でも、当事者間の話し合いによって途中で和解することも可能です。

②集団訴訟の場合

住居トラブルが自分の居室だけでなく、マンションやアパートといった建物規模で起きている場合は、賛同する入居者による集団訴訟を起こせます。集団訴訟のメリットは、すべての証拠を自分だけで集めずに済むことや、ほかの入居者と協力しあえること、弁護士に依頼する場合には費用を折半できることなどです。ただし、多くの人が関係してくるため、訴訟が長期化する場合もあります。さらに、訴訟内容に必ずしも自分の要求が盛り込まれるとも限りません。

4. 弁護士に依頼するメリット・デメリット

住居に関してトラブルが発生した場合、弁護士に依頼すれば書類の作成や交渉などを一任でき、問題の解決までスムーズに進む可能性が高まります。さらに、同様のトラブルに関して熟知している弁護士であれば、賠償請求額の相場も判断してもらえます。

ただし、弁護士に依頼するには相応の費用がかかる上、訴訟を提起した場合にも、必ず勝訴できるとは限りません。弁護士に依頼することで明らかに赤字になる場合は、少額訴訟や集団訴訟の検討をおすすめします。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年12月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

不動産・建築・住まいに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す
まずはご相談ください

お一人で悩まず、まずはご相談ください

不動産・建築・住まいに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

関連コラム

不動産・建築・住まいに強い弁護士